GAUZEのスリリングなサウンドが
真っ直ぐに飛んでくる
日本ハードコアパンクの傑作
『EQUALIZING DISTORT』
担当編集者お薦めの作品
GAUZEの2ndアルバム『EQUALIZING DISTORT』は、そんな担当編集者が笑みを湛えて渡してきたもののひとつである。預かったのは少し前のことだった。いつ取り上げようかとタイミングを計っていたのだけれど、みなさんもご承知の通り、今年は訃報が相次いだこともあって、なかなか本作を取り上げる機会がないままにここまで来た。下手すると、そのまま失念していたかもしれない恐れもあった。ところが、ある日、ボケっとInstagramを眺めていると、その担当編集者のポストが流れてきた。K-POPのアーティストのライヴ取材に赴いたところ、ライダースにマーチンというロック仕様の出で立ちのため、会場で浮きまくっている──そういう内容だった。一瞬“K-POPのライヴには何を着て行けばいいのだろう?”と思ったけれど、今後自分は自発的にK-POPのライヴに行くことはないだろうから、考えても仕方がないと思い、そのポストを見返すと、ライダースの下はバンドTで、“ちなみにGAUZE”とそのプリントまでご丁寧に紹介してある。バンドTはバンドTでも、世界に冠たる有名バンド(THE ROLLING STONESのベロのヤツとか、柄もデザインも派手なヘヴィメタル系とか)ならまだ分からなくもないけれど、よりによって日本のハードコアパンクバンドとは、相変わらず信頼のおける人である。まさか氏が自身のInstagramを介して“そろそろGAUZEを書けよ”と遠回りに私に伝えようとしたのではあるまいが、無言の圧力を感じるところではある。リード文でも書いたように、GAUZE のラストライヴが2022年11月26日であって、その1年後となる2023年11月に『EQUALIZING DISTORT』の紹介文を書こうとは企てていた。若干繰り上げた感じではあるが、今週取り上げたのはそんなわけである。