『REBECCA IV ~Maybe Tomorrow~』/レベッカ

『REBECCA IV ~Maybe Tomorrow~』/レベッカ

レベッカの大傑作!
世界的ガールポップの潮流を
見事にバンドサウンドに注入した
『REBECCA IV ~Maybe Tomorrow~』

今や当たり前のようなバンドスタイルとなっている女性ヴォーカル+男性楽器隊を、日本の音楽シーンに根付かせたレベッカは誰もが認めるレジェンドバンドだ。1985年にリリースした4thアルバム『REBECCA IV ~Maybe Tomorrow~』はチャート1位を獲得しただけでなく、翌年の年間ベスト3にもランクインを果たすなど、邦楽シーンの勢力図を変えるほどの大ヒットを記録し、後のバンドブームの火付け役にもなった。あれから30年。彼女らのブレイクの要因を、時代背景、そしてこの『REBECCA IV ~Maybe Tomorrow~』の内容と併せて探ってみた。

女性ヴォーカル+男性楽器隊という
スタイルをポピュラー化

 昨年12月10日、NOKKO(Vo)のソロライヴに土橋安騎夫(Key)&小田原豊(Dr)が参加し、全盛期のサポートメンバーであった是永巧一(Gu)も交えて、アンコールで「RASPBERRY DREAM」と「76th Star」を演奏。この日の客席には高橋教之(Ba)も居たことから、“レベッカ、再結成か!?”とのニュースが音楽シーンを賑わせた。あれ以来、未だ具体的な発表はないものの、今年は代表曲「フレンズ」発売から30年目というタイミングでもあり、おそらく近いうちに何らかの発表があるのではないかと想像される。12月10日のライヴでは喜びのあまり号泣するファンも居たというから、実現すればこの上ない吉報となるが、仮にコンサートがあるなら、日程はなるべく早く発表してほしい。当時のファンのほとんどは今40~50代。有給休暇を申請したり、家事のスケジュールを調整したりと、いろいろ大変なんですから。
 さて、再結成報道では、当たり前のように“伝説のロックバンド”という形容をされていたが、レベッカはまごうことなきレジェンドである。レベッカ以前もカルメン・マキ&OZやサディスティック・ミカ・バンド、シーナ&ロケッツら、女性ヴォーカル+男性楽器隊というバンドはシーンに居たので、それ自体はそれほど珍しいものではなかったが、このスタイルをポピュラーにしたのは間違いなくレベッカだろう。後のバンドブームにも大きく貢献したと思われる。決してその後の同スタイルのバンドの多くがレベッカの影響を受けている…ということではなく、リスナーにとって女性ヴォーカル+男性楽器隊というスタイルが馴染みになったということである。これはもはやバンドのスタイルとして王道のものと言えるかもしれない。
 80年代半ば、レベッカがブレイクした要因に、実にうまく時流に乗ったということが挙げられると思う。こう書くと、「実力もないバンドがたまたま運良く売れた」という意味に受け取る方がいるかもしれないが、もちろんそうではない。NOKKOの表現力を始め、メンバー全員が実力派ミュージシャンであったことは疑う余地もなく、歴代で考えても邦楽シーンに比類なきバンドなので、あくまでもそれは大前提。その上で好機を逃さすことがなかったことが、レベッカのすごさだったと思う。

 具体的に言えば、80年代前半のMTVブーム──もっと言えば、そのMTVブームの渦中でシンディ・ローパーからマドンナへと続く、世界的なガールポップの潮流を、ロックサウンドに組み込んだこと。個人的にはこれに尽きるのではないかと思っている。当時は未だアイドル的な括りだったとはいえ、チェッカーズや吉川晃司、C-C-Bらが台頭し、何となくお茶の間にもロックサウンドが漂ってきた頃。筆者のレベッカ初体験は「ラブ イズ Cash」(3rdアルバム『WILD & HONEY』)なのだが(テレビ神奈川の深夜の音楽番組でPVを観た)、「マドンナみたいなことをやってるロックバンドが出てきたな」というのが最初の印象だった。後で知ったことだが、この楽曲は初期メンバーが脱退しメンバーチェンジ直後にリリースする最初のシングルということで、ここで方向性をシフトチェンジしたそうである。これが功を奏したと言ってしまえば簡単だが、このタイミングは100年に一度とも言うべきものであり、NOKKOが言い出したのか、リーダーの土橋氏のハンドリングだったのか分からないが、これは見事な一手だったと言わざるを得ない。

OKMusic編集部

全ての音楽情報がここに、ファンから評論家まで、誰もが「アーティスト」、「音楽」がもつ可能性を最大限に発信できる音楽情報メディアです。

新着