『LOVE GOES ON…』の
歌声を聴けば誰もが納得、
DREAMS COME TRUEが
愛され続けている理由

『LOVE GOES ON…』(’89)/DREAMS COME TRUE

『LOVE GOES ON…』(’89)/DREAMS COME TRUE

DREAMS COME TRUEが4年に1度開催しているグレイテストヒッツ・ライヴ『史上最強の移動遊園地 DREAMS COME TRUE WONDERLAND 2019』が7月14日、埼玉・さいたまスーパーアリーナからスタートした。遅ればせながら、当コラムでも彼女らの過去作品にスポットを当ててみたい。今も根強い人気を誇る「うれしい!たのしい!大好き!」「未来予想図II」が収録された最初のヒットアルバム『LOVE GOES ON…』である。

ドリカムとは吉田美和なり

DREAMS COME TRUE(以下、ドリカム)の魅力とは何かと言えば、それはもう吉田美和(Vo)の魅力に他ならない。そう断言しても、それが決して中村正人(Ba)の存在を軽んじている発言ではないことは、生粋のドリカムファン(ベイビーズ?)には理解してもらえると思う。中村が“最初はバンドを組むのではなく、吉田のマネージャーになろうと思っていた”というのはファンの間では有名な話だと思うし、今も事あるごとに“自分は吉田の保護者”といった主旨の発言をしている。2002年までメンバーであった西川隆宏(Key)が“吉田のためなら何でもやる”とドリカムに参加したこともファンのよく知る話であろう。

また、これも中村の発言であるが、仮にふたりが仲違いすることになったとしても、そこで解散とはならず、中村が脱退するだけと彼自身が語ったことがある。氏曰く“吉田ひとりになってもドリカム”だという。これはテレビのバラエティー番組での発言だということだが、吉田美和の圧倒的な存在感を強烈に感じさせるひと言である(もちろん、この発言は逆説的にふたりの結び付きが強固であることの証左であろうし、仮の話にしても解散や脱退を公にできる中村の決意、その凄みも感じるところである)。

あと、これはソースが示せないので都市伝説の類い、与太話のひとつとして聞き流してもらって構わないのが、ずいぶん前にこんな話を聞いたことがある。プロデューサーだったかディレクターだったか忘れたけれども、その人とデビュー前のドリカムとの出会いの話だ。ある時、部下だったか知り合いだったかから“この女性シンガーを聴いてみてください”とデビュー前の吉田美和の歌が収められたデモテープを渡された。日々そうした売込みがとても多かったことに加えて、テープを渡された人がルックスを重視する人だったのか、その時たまたまアイドルの制作を考えていたかで、渡されたテープをすぐ聴かずに放っておいたという。しかしながら、“あのテープ、聴いてもらいましたか?”とあまりにもしつこく訊いてくるので、渋々、重い腰を上げた。“これで大したことがなかったらとっちめてやる”と思ったとか思ったとか、確かそんなふうに思っていたという話だったと思う。だが、1曲聴き終えてその人の表情が一変。紹介してくれた人に“この娘のルックスがどうであろうと、俺が手掛ける!”と豪語したそうである。かなりうろ覚えで恐縮だが、ドリカム、吉田美和がもともとすごかったことを示す話として忘れ得ない逸話である(もしかするとまったくの作り話である可能性も否めないので、それをご承知いただければ幸いです)。

OKMusic編集部

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