【ライヴアルバム傑作選 Vol.7】
EARTHSHAKERの
『LIVE IN 武道館』が映す
ライヴバンド、
ロックバンドとしての確固たる姿
優れたライヴ盤は優れたベスト盤
『RHAPSODY』はいわゆるレコ発ツアーを収録したものではないため、こういう容姿になっていたところもあろうが、『“GIGS”~』はサブタイトルにもある通り、アルバム『JUST A HERO』(1986年)のツアーファイナルを収めたものである。しかしながら、『“GIGS”~』には『JUST A HERO』から5曲しか入っていない。これは意外と見落とせないところである。そこからは制作サイドの意図が読み取れる。その意図とは、言うまでもなく、スタジオ音源にはない、あるいは音源では出せないBOØWYのライヴの空気感を盤に封じ込めようとしたことに他ならないだろう(BOØWY解散後に発売された『“GIGS” JUST A HERO TOUR 1986 NAKED』(2012年)では、『“GIGS”~』に収録されていなかった『JUST A HERO』の楽曲も収められているので、こちらを聴くとレコ発ツアーだったことがよく分かる)。『RHAPSODY』では、[忌野清志郎は「ライヴの勢いをそのまま出した方がいい」と考え、また、スタジオ録音で音をいじられることを嫌っていたため、敢えてライヴ盤の発表に踏み切った]という([]はWikipediaからの引用)。楽曲でメンバー紹介をする「よォーこそ」がまさにRCのライヴの雰囲気をそのまま表現したものであろうし、『“GIGS”~』での「IMAGE DOWN」のサビの長さ(?)やコール&レスポンスからは、スタイリッシュなだけでない、BOØWYのライヴバンドとしての熱のようなものが伝わってくる。
収録されているMCも忘れてはならない。『“GIGS”~』の「IMAGE DOWN」でのヒムロックの“ライヴハウス武道館へようこそ!”はあまりにも有名である。筆者はBOØWYの影響を公言するアーティストが初の武道館公演を前に“俺も“ライヴハウス武道館へようこそ!”って言ってみようかな”と笑っていたのを聞いたことがある。そのライヴには行くことができず、実際に言ったかどうかは確認してないけれど、彼がそれだけ『“GIGS”~』を愛聴していたことが分かるエピソードだし、何ならMCを含めて『“GIGS”~』からライヴの何たるかを学んだようなところもあったと想像できる。『RHAPSODY』には清志郎の“愛し合ってるかい?”という、これまた超有名なMCは入っていないのだが(「雨あがりの夜空に」のアウトロで“愛してまーす!”とは言ってます)、『RHAPSODY NAKED』(2005年)では「スローバラード」と併せて収録された。正直言うと、筆者は『RHAPSODY NAKED』にはあまり好感を持ってないのだけれど(勝手な物言いですみません)、あの“愛し合ってるかい?”があるだけで“これはこれでアリかな”と思ってしまうところも正直ある。
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