『m.c.A・T』は
日本ヒップホップシーンを加速させた
音楽史上での重要作であると思う
メロディーに重きを置いたナンバーたち
2ndシングルとなったM2「Coffee Scotch Mermaid」はどうだろう。ソウルフルな女性ヴォーカルで繰り返さる《Coffee Scotch Mermaid》はコーラスといった印象であり、メインとなっているのはそれに続く《絶え間なく/微笑みのシャワー浴びて》の箇所であるのは明らかである。これも《季節がおまえ呼んでる》と歌い上げている。もちろんM2にはラップパートもあるけれど、いわゆるCメロに該当する《ひとりじめにしたい 夜更けも朝も/夏が開いた心を今奪ってみたい》もあるなど、J-POP寄りのR&Bと言ってもいい作りなのである。
3rdであったM3「Funky Gutsman!」も方向性は同じ。というか、よりはっきりとメロディー指向であることを示しているように思う。サビ頭で、《熱い熱い命 Funky Gutsman!》からしっかりとメロディーがあり、コーラスなしでm.c.A・T本人が歌っており、どこか精神的に突き抜けているようにすら感じる。《おお さびしさも 見せやしない》や《おお くやしさも ジョークにかえて》などの箇所(ここはBメロに当たるか)も歌い上げている。トラックで言えば、M2は軽快なギターのループミュージックであるし、当時らしくスクラッチノイズも加えている。M3のイントロで聴かせるサンプリング的なサウンド(レコードを使っているかもしれない)を聴くことができる。もちろん全てにおいてラップもある。完全にヒップホップである。しかしながら、歌要素の強いヒップホップと言っていい代物なのである。