SHERBETの
1st『セキララ』から考察する
浅井健一の
アーティストとしてのピュアさ
最新取材でも伺えるベンジーらしさ
“そういうのも全部が感覚。“SHERBETSのギターはこうじゃないといけない”というようなことは一切ないんだ。時間がかかるのは大変だから、“シンプルなのが良いわ”というのはあるけど”。以下はアレンジについての質問に対する返答だ。“この4人でやると自然とそういうものになるんだよね。頭から始まってふた周りめからキーボードがフワンと入ってくるけど、それも言ったわけじゃなくて福士さんが自由にやったことだしさ。そこがSHERBETSのいいところ”。
両発言からSHERBETSには決め事がないことがよく分かる。『セキララ』のアプローチがああなったことも、この発言が証明しているように思う。最新インタビューでも“作っている時は周りがあまり見えてない。だけど、でき上がるとちゃんと良いものになるから不思議なんだよね”とも語っているが、この発言はM9「ゴースト」のアンサンブルについても同様のことが言えるのではなかろうか。
冒頭でM1「水」の歌詞を“純粋さを凝縮したかのよう”と言ったが、それもまた今回のベンジー発言をもって裏付けることができる。新作の制作にあたって事前にどんなことを構想したのかという問いに対して、“毎回だけど、何も考えずにやるのがSHERBETSの特徴”とズバリ。流石にまったく何も考えずに臨んだわけではないだろうが、妙な思考をアレコレと働かせる必要はないということだろう。その後こうも続ける。
“歌というのは作為的になっちゃダメじゃん。本物じゃないといかんでしょう? “本物になるぜ!”と歌うのも変だから(笑)。だから、フラットな感覚で歌うというかさ。歌はすごく深いものだし、ものすごく簡単なものだと思うんだ。レコーディングをする時は、何も考えずにいく”。
まさに《素直なその気持ちを/その人に伝える》ということだろう。ここでもベンジーのちゃんと筋の通った姿勢がよく分かる。そうしたスタンスが楽曲にも滲み出ているからこそ、SHERBETSを始め、ベンジーのやっていることは多くのロックファンから支持されているのだろう。
『Midnight Chocolate』のSHERBETSインタビューがとてもいい内容で、同じくインタビューを生業とする者として完全に羨望するだけだったので、そこから大分引用させてもらった。この場を借りて御礼を申し上げます。新作が聴きたくなるインタビューだと思うので、未読の方はこちらも是非!
TEXT:帆苅智之
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