『湘南乃風〜Riders High〜』に見る
4人のキャラクターとグループの本質
4つのソロ楽曲の個性
本作にはメンバー4人のソロ楽曲が収められている。本作に限らず、湘南乃風の全てのアルバムがそうであるから、それがことさらに『湘南乃風〜Riders High〜』の特徴ではないのだが、これは重要である。湘南乃風というグループはメンバーが4人で、それぞれの個性=キャラクターがちゃんと分かるからである。そんなことを言うと、湘南乃風のファン以外にも“何を当たり前のことを!?”と叱られそうだけど、これができているグループは案外少ない。メンバーのソロ楽曲を入れて“とりあえずやってる感”(?)を出すことは多々あると思うが、ここまでしっかりと入れてきているのは珍しいと言える。ていうか、しっかりとソロをやるなら、最近ではグループとは別のところで別個にやるだろう。湘南乃風の4人はもともとソロで活動していたし、グループ結成後もソロワークを欠かしていない。それなのに、こうしてグループのアルバムにソロ楽曲を入れるということには、そこに何らかしらのメッセージがあると見るのが素直な受け取り方であろう。それが何なのかを端的に述べるよりも、各ソロ楽曲を並べてみるのが分かりやすいと思う。
《Do you love reggae music? All right》《何はともかく相当デカく鳴らした"Boom Boom Bass"/乗って明るい未来へ繋げてくれと 今は亡き Bob marley が/俺らに残したヒントは? もちろん"One Love"》《死ぬまで叫ぶ"I love reggae"/人生全て こいつのおかげ だから決して忘れない んで渡さない》《マジ変えてやるぜ ジャパレゲ行くぜ 世界へ》(M6「サンクチュアリ」)。
《全力で遊べ 全力で働け 天国で笑うため/結局ごまかしてみたって 虚しいだけだろ/さぁ 笑いたきゃ笑えばいいさ 気にせず踏み出す お気に入りのビーサン/バカにする奴らはみんな 熱くなれる俺らがうらやましいんだ/好きな事しよう 本当に 今日も明日もGo for it/女神も踊る Big Wave に乗ってけ》(M8「晴れ波とSong」)。
《Oh… 負けたくねぇから/Oh… 全て捨てる覚悟はある》《野良犬達よ決して群れるな 弱いなんて誰でも同じさ/怖いから群れんじゃなくて 群れるから弱くなってるんだ》《首輪なんて付けたくねぇ俺 戻れる場所など求めちゃいねぇ/前しか向けなくなってもいいよね 走り続ける荒野で》《社会の中で勇敢に生きる 野良犬達にエールを送る/怒鳴り合う声で存在示す お前は逞しく見える》(M10「犬の唄」)。
《届くまで歌い続けるよ/長い夢は時々お前を不安にさせるけど/孤独はね 誰にでもあるもの/その寂しさよ いなくなれ》《そう俺は夢追うミュージシャンって/カッコつけてみたって/裏を返せばその日暮らし/悔しい時間持て余すだけの男さ》《泣き出しそうでも 投げ出しそうでも/震える小さな手をグッと抱き寄せるよ/泣き出しそうでも 投げ出しそうでも/大丈夫! 俺に任せてゆっくりとおやすみ…》(11「ワンルーム」)。