70年代末のニューヨークの
音楽シーンをリードする存在だった
テレヴィジョンを率いたギタリスト、
トム・ヴァーライン

およそパンクらしくない
音楽性、演奏力の高さ

スティーブがおよそ20年以上前に語ってくれたヴァーライン、テレヴィジョンについての話を思い出しながら、私も初めてテレヴィジョンを聴いた時に、少し困惑させられたことを思い出す。ミュージックシーンを席巻するようなパンク、ニューウェイブ勢力の中にあって、テレヴィジョンの扱いは真打ち登場みたいな感じだった。なにせ、ラモーンズと並んでNYパンクの総本山みたいなライヴハウス「CBGB」の、彼らはメインアクトというべき存在だったからだ。実兄が買ってきたセカンド作の『アドヴェンチャー』のほうを先に私は聴くことになったのだが、とにかくシンプルというか、ほぼエフェクターなど使わず、クリーントーンで弾くギターからは、パンクにありがちなワイルドで粗野、攻撃的な響きはまったく感じられなかった。当時のヴァーラインの恋人、パティ・スミスのアルバムのように、尖ったサウンドを期待していたから、最初の印象は拍子抜けだった。その痩せた体躯そのもののような繊細なヴォーカル、そのしゃっくりあげるような歌い方もパンクらしくない。パティ・スミス直伝のものと思われるそのスタイルは、そもそもあのトッド・ラングレンが彼女に施した指導&特訓によるものらしいのだが。

OKMusic編集部

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