バーバンクサウンドの影の立役者、
ロン・エリオットが残した、
唯一のソロ作
『キャンドルスティックメイカー』は
隠れた名盤

レニー・ワロンカーのもとで
バーバンク・サウンドの一翼を担う

ロン・エリオットは優れたギタリストとしても知られ、バンドと並行して他のアーティストのレコーディングセッションに招かれるようになる。彼の関わったもので、比較的知られているアーティストとアルバムを列挙してみよう(年代順)。Van Dyke Parks – Song Cycle(’67)、Harpers Bizarre – Feelin’ Groovy(’67)、The Everly Brothers– Roots(’68)、Harpers Bizarre – The Secret Life Of Harpers Bizarre(’68)、Randy Newman – 12 Songs(’70)、Van Morrison-Almost Independence Day(’72)、Little Feat – Sailin’ Shoes(’72)、Randy Newman – Good Old Boys(’74)などがある。特にランディ・ニューマンの『12 Songs』ではあのクラレンス・ホワイト(EX:ケンタッキー・カーネルズ、ザ・バーズ)、ライ・クーダーとともにギタリストとして名を連ねている。リトル・フィートの名盤ではローウェル・ジョージ作の『アポリティカル・ブルース(原題:A Apolitical Blues)』でエレクトリック・ギターとしてロン・エリオットがクレジットされている! また、ハーパース・ビザールやエヴァリー・ブラザーズのアルバムでは楽曲提供の形でクレジットされていて、彼のソングライターとしての才能にも注目されていたことが分かる。他にも私の知り得ていない、実は相当な数のセッションワークがあるのかもしれない。

いずれにせよ、彼のセッションワーク、関わった人脈から浮かんでくるのが、先述の「バーバンクサウンド」と呼ばれる、凝った音作りで知られる括りだった(簡単には説明しにくい。ここに挙げたアーティストの作品を聴くしかない)。カテゴリーでもなければ音楽のジャンルでもない。主にカリフォルニア州ロサンゼルス近郊、ハリウッドの映画関連の企業が集まるエリアであるバーバンク(Burbank)、そこを拠点とするセッション系ミュージシャンらによって生み出されるもので、誰からともなくそう呼び出したものだ。本作やロン・エリオットが率いた先のボー・ブランメルズはその草分けで、ランディ・ニューマン、ヴァン・ダイク・パークスは代表的なアーティストとして知られる。その中心人物というか、キー・パースンとなるのがワーナー・ブラザーズのプロデューサー、レニー・ワロンカーで、彼の手腕によってライ・クーダーやランディ・ニューマンらの数々の名盤が生まれ、それと共に“バーバンク”の名も多くに知られるようになる。

OKMusic編集部

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