エリック・クラプトンを聴くなら、こ
の5曲

エリック・クラプトンの来日40周年(!)記念公演が、2月18日からスタートする。1974年10月の初来日時と同じく、ツアー開始は日本武道館から。さすがに、ウドーはシャレた演出するなぁ。74年当時、僕は高校生だったが、クラプトンはすでにスーパースターだった。今の音楽ファンからすると、歌の巧い、渋いおっちゃんぐらいの印象しかないかもしれないが、かつては世界中のロックファンから“ギターの神様”と崇められていたのだ。そんなわけで、今回はクラプトンを代表する5曲をセレクトしてみた。ホントは50曲ぐらい選びたいとこだけどね…。

1.「CROSSROADS」/CREAM('68)

クリーム時代のアルバム『WHEELS OF FIRE(邦題:クリームの素晴らしき世界)』に収録されたライブ演奏。クリームは、ジャック・ブルース、ジンジャー・ベイカー、クラプトンの3人によるロック界最初のスーパーグループであり、歴史に残る名バンドだ。ビートルズ以後のロックはクリームによって始まったと言っても言い過ぎではない、ロバート・ジョンソン作のカントリー・ブルースを、ここまでハードにドライヴするロックに仕上げたバンドの力量は見事のひと言。まだクラプトンのヴォーカルは線が細いものの、ギターに関してはロックの将来を予感させるような革命的なソロを弾いている。クラプトンの長い活動の中でも、間違いなくトップクラスに入る演奏だ。

2.「LAYLA」/DEREK & THE DOMINOS(
'70)

音楽好きなら、これまでに1回は聴いたことがあると思う。それぐらいよく知られた名曲。ザ・バンドが68年にリリースした『MUSIC FROM BIG PINK』というアルバムを聴いてショックを受けたクラプトンは、あっさりとクリームを解散、アメリカに渡って作り上げたアルバムが『LAYLA AND OTHER ASSORTED LOVE SONGS』。この作品以降、それまでの英国らしい音作りから一変して、アメリカの泥臭いサウンドを追求することになるが、これはその最も大きな成果となった曲かもしれない。曲の途中に出てくるスライドギターは、クラプトンが敬愛するデュアン・オールマンのプレイだが、この1年後、彼は24歳という若さで交通事故により亡くなっている。

3.「I SHOT THE SHERIFF」/ERIC CL
APTON('74)

長期の薬物使用でボロボロになっていたクラプトン。回復後の復活第一弾アルバム『461 OCEAN BOULEVARD』に収録されているこの曲で、初の全米ナンバーワンヒットを勝ち取った。でもこれ、オリジナル曲じゃなく、作ったのはジャマイカのカリスマ的なレゲエシンガーのボブ・マーリー。このカバーが大ヒットしたことで、世界的にレゲエが知られるようになったのは、クラプトンの大きな功績だと思う。この時期のクラプトンはゴリゴリとギターを弾きまくるのではなく、聴き手の心に染み込むような、歌手としての魅力を伝えようとしていたようだ。曲の良さはもちろん、バックヴォーカルのイヴォンヌ・エリマンとの掛け合いは、いつ聴いても鳥肌ものだ。

4.「WONDERFUL TONIGHT」/ERIC CLA
PTON('77)

ヤードバーズ時代の彼の愛称をタイトルにした『SLOWHAND』に収録されたのが、この名曲。「LAYLA」と同じく、この曲もパティ・ボイドへの愛を切なく歌い上げている。情感たっぷりのギターと囁くようなヴォーカルが、文句なしに素晴らしい。彼自身、この曲は相当お気に入りのようで、この後も『JUST ONE NIGHT』('80)や『24 NIGHTS』('91)などのライブ録音が残されている。また、前述の『461 OCEAN BOULEVARD』から続くバンドのメンバーとの息の合ったプレイも素晴らしく、個人的には74~80年頃までのクラプトンが最も好きな時代である。クラプトンのソングライターとしての才能が、この頃に花開いたことは間違いない。

5.「FOREVER MAN」/ERIC CLAPTON(
'85)

クラプトンさえも時代に迎合するのか…と、往年のファンを悲しませた、シンセ多用のアルバム『BEHIND THE SUN』に収録されたナンバー。確かに、フィル・コリンズをプロデューサーに迎え、新しいサウンドを生み出そうとしたその気持ちは分からなくはないが、アルバムとしては失敗だと思う…が、しか~し、この曲だけはクリーム時代のクラプトンにも負けないぐらい、図太く骨のあるサウンドに仕上がっているのだ。枯れたヴォーカルも、ブルースをベースにしたギターソロも、“ロックはまだまだ死んでいない!”と思わせるほど熱い。傾聴! そうそう、この曲のPVは格好良いクラプトンが見られるので、特に女子は必見♪

著者:河崎直人

OKMusic編集部

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