一過性のブームよりも長く聴ける音楽
を! 2015年要注目アーティスト5選

すっかり2月ですが、まだまだ一年の序盤! というわけで、そんな時期を意識しつつ、今回は2015年の要注目アーティストとそのおすすめ曲をご紹介します。ちなみに、一過性のブームで終わりそうなものは対象外。僕が個人的にプッシュしていることはもちろん、時が経っても色あせない=長く聴かれていくであろう音楽をセレクトしました。素直に選んでみたところ、期せずしてどれも清々しさを持った曲。かつ、この1年以内にリリースされた曲が並んだので、フレッシュな気持ちになりたいときにも合うかもしれません。

1.「COSMOS」('15)/おとぎ話

1月に7枚目のアルバム『CULTURE CLUB』をリリースしたばかりのおとぎ話。結成15年目の彼らをなぜここで要注目として挙げるのか。それはニューアルバムが“第2のデビュー作”とメンバーが謳うほど素晴らしい仕上がりで、再スタートを切った今こそこのバンドの音楽に触れてほしいタイミングだからです。そのリード曲であり、約5年にわたって温め続けて、待望の音源化となったのが「COSMOS」。儚く消え入りそうなキラキラした音の粒、全てをやさしく包み込むような歌、生命力にあふれた演奏、どこを取っても長く聴かれる名曲だと思います。まずは、映画『おとぎ話みたい』でもタッグを組んだ山戸結希監督によるMVをチェックしてみてください!

2.「Just one girl」('15)/藤原さく

去年の夏に初めてライヴを観て、衝撃を受けました。その後、彼女がパーソナリティーを務めるラジオ番組を聴いたり、ベルメゾンのCMで観かけたり。で、大きなイベントのオープニングアクトに抜擢されるなど評判が上がっていって、いつの間にやらアミューズ所属に! 雰囲気たっぷりのスモーキーな歌声、英詞の美しい発音(日本語詞もあり)、オルタナフォーク感は、海外の青春映画なんかと相性が良さそう。この曲は日本でドラマ『学校のカイダン』の挿入歌としてオンエア中ですが、やはり輝いています。近頃の“ギタ女”ブームとは異なる印象。“和製ノラ・ジョーンズ”の呼び声も高い19歳のシンガーソングライター、今後も注目です。

3.「ココロデウス」('14)/OverTheD
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オバ犬(ケン)ことOverTheDogsもキャリアのあるバンドですが、メジャーからインディーに移り、スタジオを作って、自分たちだけで何ができるのかを試している最中。そういう意味で、楽しみな時期を迎えています。ライヴ会場限定シングルを立て続けに出したり、佐藤ダイキ(Ba)のソロ活動が突如始まったり、このところより自由度の高いアプローチを見せていて、2015年はニューアルバムの発売予定も! 「ココロデウス」は昨年リリースのミニアルバム『冷やし中華以外、始めました。』に収録。悩みごとで頭がいっぱいなとき、深呼吸的に聴くといいかも。《春は好きだけど花粉は辛いのです》なんて歌詞が今のシーズンに合いますね。

4.「世界」('15)/ハルカトミユキ

初のワンマンツアーのファイナルが、ものすごい大雪に見舞われたのも懐かしい。ハルカトミユキが魅力的に変わり始めたのは、1年前のあのライヴあたりだと思います。初期の彼女たちはナイーブでダークな印象が強く、歌詞にゾクッとする恐さがあって、攻撃性も滲んでいたんですけど、ここへ来て脱皮したかのように、オープンなマインドに変貌! それを象徴しているのが、1月に配信リリースされたばかりの「世界」でしょう。さよならから生まれる始まりをこんなにも美しく、清々しい疾走感で描くなんて…本当に驚いたし、涙、涙です。聴いたあとには、一歩踏み出せる力がもらえるはず。“2015年は新曲を毎月発表する”という堂々たる宣言からして、2人の躍進に期待が高まりますね。

5.「贅沢ないいわけ」('14)/パスピ

2014年は充実の2ndフルアルバム『幕の内ISM』をリリースし、同作を引っさげたバンド史上最大規模のワンマンツアーを行なったパスピエ。ライヴでは実にフィジカルな演奏を繰り広げ、クールなイメージを気持ちよく覆してくれる彼らですけど、その進化はまだまだ止まらないんじゃないかと思います。「贅沢ないいわけ」は昨年秋に配信された現時点での最新曲で、これまでとは異なるキャッチーさで攻めている点に、次のフェーズへと飛び出したい姿勢が見えて素敵だし、爽快さとキラキラした生命力に満ちていて、始まりの季節に合いそう! 流行に背を向けてポップミュージックを批評的に考えるこの5人組、きっともっとすごくなりますよ。

著者:田山雄士

OKMusic編集部

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