2020年のライヴで印象に残った5曲

2020年のライヴで印象に残った5曲
あけましておめでとうございます! 新年一発目のコラムということで、2021年は良い年にしたいと思っている方がほとんどではないでしょうか。しかしながら、今なお予断を許さない状況が続いています。そんな中、2020年はライヴ自体が圧倒的に少なかった一年でもあり…そこであえて自分が観たライヴの中でも印象深かったものを挙げて、振り返るのもアリなのかと思いました。有観客、無観客配信、有観客+配信ライヴなど、ライヴの見方も様々な変化を遂げた年になりました。結論としては生のライヴには勝てないと個人的には思っています。2021年は生のライヴをたくさん観られることを祈りつつ…。
「Final Destination」収録アルバム『Final Destination』/coldrain
「Horizon」収録アルバム『eureka』/04 Limited Sazabys
「SWEET MELODY」収録ED『LOVE&POP』/東京初期衝動
「人として」収録アルバム『27』/SUPER BEAVER
「Bite Back」収録配信EP『Wrong Generation』/FEVER 333

「Final Destination」('09)
/coldrain

「Final Destination」収録アルバム『Final Destination』/coldrain

「Final Destination」収録アルバム『Final Destination』/coldrain

名古屋発のラウド・ロック・バンド、coldrain初の主催大型フェス『BLARE FEST.2020』が地元・ポートメッセなごやで2月1日&2日に開催。内外から集めた参加アーティストの豪華さもあり、2万人×2デイズというキャパに対して、10万人の応募があったという。もっとも大きな盛り上がりを魅せたのは2日目のトリ前を務めたPay money To my Pain〜coldrainの流れだった。PTPがゲスト・ヴォーカルを迎えて熱演を繰り広げた後、大トリのcoldrainは機材トラブル発生により1時間押しでようやく開始。鬼神のごとき危機迫るライヴパフォーマンスで観客を見事に蹂躙した。特にラストにプレイした1stアルバム表題曲「Final Destination」は壮絶で、今まで観た中でもダントツの爆発力を発揮していた。

「Horizon」('16)
/04 Limited Sazabys

「Horizon」収録アルバム『eureka』/04 Limited Sazabys

「Horizon」収録アルバム『eureka』/04 Limited Sazabys

こちらも名古屋発のフォーリミが地元・Aichi Sky Expo(愛知県国際展示場)にて単独公演『YON EXPO' 2020』を11月28日&29日に開催。“空港”をキーコンセプトにした大掛かりなワンマンは、ガイダンスに沿って有観客で実施。初日は少し硬さがあったものの、2日目は本来のフォーリミらしい人間臭いライヴを展開。とりわけアコースティックで披露された楽曲が素晴しく、GEN(Vo&Ba)はハイトーンヴォイスの魅力をこれでもかと突きつけ、ここに集まった観客を骨抜きにしていた。もともと楽曲がいいだけに、歌にフォーカスを当てることでグッドメロディーが際立ち、奥深い聴き応えをもたらしてくれた。いつかアコースティックセットで丸々一本ライヴを観てみたい。

「SWEET MELODY」('16)
/東京初期衝動

「SWEET MELODY」収録ED『LOVE&POP』/東京初期衝動

「SWEET MELODY」収録ED『LOVE&POP』/東京初期衝動

コロナ禍の中で延期を繰り返し、全国ツアーをやり遂げた肝っ玉の据わった女子4人組・東京初期衝動。そこには絶対中止にできない理由があった。あとで分かったことだが、かほ(Ba)が今ツアーで脱退するから、中止はあり得なかったわけだ。名古屋HUCK FINN(7月19日)にも観に行ったが、マスク必須、フェイスシールド着用の観客もいたりと、厳戒態勢の中で最高のライヴをやり切った。そして、迎えたツアーファイナルは新代田FEVERで行なう予定だったものの、ソーシャルディスタンスを保つために急遽、恵比寿LIQUID ROOM(8月16日)に変更。かほ在籍時のラストワンマンは12月発売されたライヴDVD『ぼくたちは何だかすべて忘れてしまうね』にも収録。現場でも観たが、映像で見返してもエモーショナル極まりなかった。特にこの曲でしーなちゃん(Vo&Gu)はずっとかほ側を見ながら演奏に励み…その姿に涙腺は崩壊した。

「人として」('16)/SUPER BEAVER

「人として」収録アルバム『27』/SUPER BEAVER

「人として」収録アルバム『27』/SUPER BEAVER

SUPER BEAVERが12月8日&9日に横浜アリーナで無観客生配信ライヴを2デイズで行なった。初日は中止を余儀なくされた全国ツアーのチケット払い戻しを希望しなかった人を対象とした限定配信ライヴ、2日目はYouTube公式チャンネルで無料配信された。2日目を現場で観させてもらったが、もちろんアリーナのだだっ広いスペースに観客はひとりもいない。人がいないとここまで静まり返った空気になるんだなと初めて感じた。けれど、そこで観たビーバーのライヴはひらむきな熱さに満ちており、何より画面越しのあなたに届けよう!というピュアな姿勢に貫かれていた。そして、ラストに披露したこの曲は6名のストリングス隊を交えたスペシャルバージョンで聴かせ、楽曲に込められた強いメッセージ性と壮大なストリングの融合に心底感動した。無観客でも、本気で伝いたい気持ちがあれば届くものなのだ。それを痛感した一夜だった。

「Bite Back」('20)/FEVER 333

「Bite Back」収録配信EP『Wrong Generation』/FEVER 333

「Bite Back」収録配信EP『Wrong Generation』/FEVER 333

世界的なパンデミックにより、海外のバンドも試行錯誤している。アメリカ発のトリオ、FEVER 333は冒頭でも書いたcoldrain初の主催大型フェス『BLARE FEST.2020』にも出演しており、日本でもファンベースを固めている要注目バンド! 彼らがニュータイプのライヴを届けるべく、グローバル・ライヴストリーム・ツアーを敢行。各国に向けて計6回、編集なしのリアルライヴを実施。ロンドン/ヨーロッパ(10月23日)、シドニー/日本(10月27日)の2公演を観たが、フルテンションで襲いかかるパワフルなステージングをここでも披露。ミネアポリスで起きた警察官によるジョージ・フロイド傷害致死事件を受け、そこからインスパイアされたこの曲のアグレッシヴさは半端ではなかった。ハードコア衝動を脳天に叩き付ける驚愕の一曲である。

TEXT:荒金良介

荒金良介 プロフィール:99年からフリーの音楽ライターとして執筆開始。愛読していた漫画『ジョジョの奇妙な冒険』(登場人物に洋楽アーティスト名が使用されていたため)をきっかけに、いきなりレッド・ツェッペリンの音源を全作品揃える。それからハード・ロック/ヘヴィ・メタルにどっぷり浸かり、その後は洋邦問わずラウド、ミクスチャー、パンクなど、激しめの音楽を中心に仕事をしてます。趣味は偏ってますが(笑)、わりと何でも聴きます。

OKMusic編集部

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