寒さも薄らぎ、冷たい風の中にも暖かな日差しを感じられるようになってまいりましたね。卒業式も終わり、次は入園、入学、入社の式を迎える方、或いは新学期、新年度へと移行するなど、それまでの生活にピリオドを打ち、新たな生活を間近に控える人も多いはず。今回は多くの出会いと別れに感情が大きく揺れ動く特別なこの季節に、心機一転をアシストしてくれる音楽のチカラを持つ『出会い、別れの季節に聴きたい5曲』をご紹介します。

1. 「You've Got A Friend」(’71)/
Carole King

キャロル・キングの名盤『Tapestry』に収録されているこの曲には、「君の友だち」という邦題も付けられています。今から40年以上前に行われた1972年のグラミー賞において『Song of the Year』に輝いた名曲中の名曲であり、シンガーソングライターであるキャロル・キングの才能があふれた作品です。“あなたが悲しい時や困った時には私を想ってくれたらすぐに駆けつける。あなたはひとりじゃない。”という強力なメッセージは、聴き手に友達は永く友達でいられるということを素直に信じさせ、沈んだ心を落ち着かせてくれます。例え離ればなれになっても、別の道を歩んでいく場合でも、心が通い合う友との出会いを大切にしていこうと思える掛け替えのない一曲です。

2. 「I Will Remember」(’95)/Sar
ah McLachlan

最初にこの曲が収録されたのは、映画『The Brothers McMullen』のサウンドトラックでした。そのサントラがリリースされてから4年後、ライヴバージョンを収録した自身のアルバム『Mirrorball』(1999)のリリースによって脚光を浴びるかたちとなり、結果としてこのライヴバージョンはグラミー賞における『Best Female Pop Vocal Performance』を受賞し、大ヒットへとつながったサラ・マクラクランによるとても美しい作品です。一見、別れた恋人に歌ったものに見えますが、“あなたを愛することよりも失うことの方が怖い”というフレーズには、恋愛を超越した、人間同士の本能的な呼応を感じ取ることもできる深みのある言葉で綴られています。

3. 「With A Little Help From My Fri
ends」(’67)/The Beatles

ドラムのリンゴ・スターがリードヴォーカルを務めたこの曲は、ビートルズが1967年にリリースした8作目『Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band』に収録されたもので、現在でもリンゴのコンサートでは披露され続けていることで有名です。歌詞が書き直される前は「友達からのほんの少しの助けで、何でもできるようになる」という意味が込められていたという逸話もある通り、友情の温かみを歌ったこの楽曲は、ジョー・コッカー、ジョー・ブラウン、ウェット・ウェット・ウェット、サム・アンド・マークなどの多くのミュージシャンによってカバーされています。「ほんの少しの助け」をもらえる友と出逢えたら、人は生きやすく、その人らしく居られるのではないでしょうか。

4. 「Flowers In The Window」(’01)
/Travis

先月の来日公演が記憶に新しいTravis。彼らの3作目のアルバム『The Invisible Band』に収録された人気の高いこの楽曲は、辛かった過去と決別し、新たな季節とも共に喜び、謳歌しようという最上級のラブソングです。プロモーションビデオでは多くの妊婦がフォーカスされていることから新たな命の誕生への喜びの曲と受け止められますが、それに限らず、冬から春への季節の変わり目などのいずれのシチュエーションにも当てはまり、“未来を慈しむ”ことができる愛のあふれた作品と言えるでしょう。過去の別れがあってこその新たな出会いができるという前向きな解釈をして、ともに窓辺の花を綺麗だと思える人との出会いを大切に愛おしむことができたら素敵な人生が約束される気がします。

5. 「Best Of You」(’05)/Foo Fig
hters

最後に重い一曲を選びました。人との出会いには、いいことばかりがあるとは言えません。その人に出会わなければ、しなくて済んだ苦労や経験、抱くことのなかった負の感情などがもたらされることもありますし、その出会いのせいで人生が狂ってしまうことも存在するでしょう。しかし、全ての不運を人のせいにしていては、いつまでたってもあなたの心に晴れ間が広がることはありません。次のステージに進むために、時には自身の迷いや弱さなどの非を認め、自分のために、または相手のために、決別しなければならないときがあります。そんな心の葛藤や決別が歌われたこの曲は、迷いや不安を抱いたままでいる自分と決別したい人にもお薦めです。

著者:早乙女‘dorami’ゆうこ

OKMusic編集部

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