歌舞伎町タワー開業で新たな時代の幕を開けた、“新宿”にちなんだ5曲

歌舞伎町タワー開業で新たな時代の幕を開けた、“新宿”にちなんだ5曲

歌舞伎町タワー開業で
新たな時代の幕を開けた、
“新宿”にちなんだ5曲

東京をひとつ象徴する街であり、たくさんの歴史と文化とカルマを背負った街、新宿。4月14日には歌舞伎町に歌舞伎町タワーが開業して、地下にはZepp Shinjukuもオープン。歌舞伎町の風景も大きく変われば、そこからまた新たな歴史や文化が生まれようとしている。そんな街に今、改めて注目して、新宿にちなんだ5曲をセレクト。ちなみに長野県出身の僕は、特急あずさで上京した時に降り立つ駅が新宿ということもあり、“東京=新宿”のイメージが抜けず。憧れの地であり、どこか恐ろしい存在という感覚が今もある。
「東京流星群」収録アルバム『世界が目を覚ますのなら』/SUPER BEAVER
「新宿」収録アルバム『MUTEKI』/大森靖子
配信シングル「歌舞伎町の女王」/DAOKO
「浴室」収録アルバム『勝訴ストリップ』/椎名林檎
「ア・イ・キ・タ」収録アルバム『ベスト・オブ・ニューロティカ』/ニューロティカ

「東京流星群」('13)/SUPER BEAVER

「東京流星群」収録アルバム『世界が目を覚ますのなら』/SUPER BEAVER

「東京流星群」収録アルバム『世界が目を覚ますのなら』/SUPER BEAVER

歌舞伎町タワーが4月14日に開業して、4月17日にオープンしたZepp Shinjuku(TOKYO)のこけら落としを務めたのが、SUPER BEAVER。そして、そのライヴの1曲目を飾ったのがこの曲。コロナ禍でのリリースだったため、声出しOKとなったライヴ会場で《東京流星群》と、一緒に叫ぶ日を楽しみにしていたファンも多いであろうこの曲。あくまでも“東京”であって、“新宿”とは歌ってないが。さよならや裏切りや悩み事や孤独や優しさや愛しさといった、さまざまな感情が入り混じって形成されていることが容易に想像できる歌舞伎町に、この曲がやけにマッチするなと感じるのは、ボーカルの渋谷龍太が新宿生まれだからという理由だけではないはず。眠らない街・歌舞伎町で、新宿東宝ビルのゴジラや、歌舞伎町タワーのてっぺんを見上げることはあっても、夜空を見上げることはないもんなぁ。

「新宿」('13)/大森靖子

「新宿」収録アルバム『MUTEKI』/大森靖子

「新宿」収録アルバム『MUTEKI』/大森靖子

そして、その翌週。4月23日に歌舞伎町で行なわれたサーキットライヴ『CONNECT歌舞伎町』。2014年にスタートし、今年で最終回を迎えたこのイベントにて、Zepp Shinjuku(TOKYO)ステージのトリマエを務めたのが、大森靖子。昔は新宿の駅前あたりによくいた、ストリートミュージシャンを思い出させるような弾き語りスタイルで、限りなく近しいところから魂の叫びを聴かせた大森。「新宿」~「パーティードレス」と続けて始まったセットリストは明らかに歌舞伎町を意識していたし。「この街で歌う私の歌が一番私の歌だなって感じがして、すっごくすっごく好きです!」とMCで語っていたように、Zeppのステージと歌舞伎町の路上が直結したような彼女のライヴは「CONNECT歌舞伎町」のステージによく映えていたし、世代も性別もジャンルも問わない多様な観客が集まる街にぴったりだった。歌舞伎町に巣食うひとりの少女が憑依したような、「パーティードレス」も壮絶だった。

「歌舞伎町の女王」('17)/DAOKO

配信シングル「歌舞伎町の女王」/DAOKO

配信シングル「歌舞伎町の女王」/DAOKO

新宿、歌舞伎町と聞いて、真っ先に浮かぶ曲がこの曲だと思うが。ここはあえて原曲でなく、DAOKOのカバーをセレクト。言うまでもなく、強烈な個性と魅力を持つ、唯一無二の女性シンガーである椎名林檎の代表曲と言えるこの曲。DAOKO本人もインタビューなどで、椎名林檎への愛やリスペクトが強いがゆえに、この曲とすごく真摯に向き合ったことを語っているが。エレクトロポップなトラックに乗せたウィスパーヴォイスや、メロディーやラップアレンジに流麗さを感じさせるカバーは、オリジナルとは印象が異なる彼女の個性や独創性を感じさせて、めちゃくちゃカッコ良い。ちなみにこの曲の歌詞は、当然ながらノンフィクションで。オリジナルを歌っていた椎名林檎は、作品ができ上がった後も歌舞伎町を訪れたことが無かったというエピソードがある。

「浴室」('00)/椎名林檎

「浴室」収録アルバム『勝訴ストリップ』/椎名林檎

「浴室」収録アルバム『勝訴ストリップ』/椎名林檎

そんな椎名林檎が00年にリリースしたアルバム『勝訴ストリップ』に収録。《新宿のカメラ屋さんの階段を降りた茶店は》と始まる、“新宿”が歌詞に入った楽曲。最初のワンフレーズで風景や空気感が頭に浮かび、他の街にないドロッとした人間の生臭さを感じさせるのが新宿だし、そこからどんどん楽曲世界の奥底へと心地良く誘ってくれるのが椎名林檎。ライヴ映像で魅せる色気と狂気が同居する表現は、息を呑むほど美しい。ちなみに03年にリリースされたシングル「りんごのうた」のカップリングには、英詞でアレンジの異なる「la salle de bain」が収録。さらに07年にリリースした、斎藤ネコとの共同名義のアルバム『平成風俗』にもリアレンジver.が収録。自身にもファンにも長く愛されている曲。

「ア・イ・キ・タ」('93)/
ニューロティカ

「ア・イ・キ・タ」収録アルバム『ベスト・オブ・ニューロティカ』/ニューロティカ

「ア・イ・キ・タ」収録アルバム『ベスト・オブ・ニューロティカ』/ニューロティカ

初めてニューロティカのライヴを観たのが、20歳の頃。95年3月の新宿ロフト10DAYSの1日だったはずで、恐らくその日が初めての新宿ロフト体験でもあったと記憶している。あれから28年の時が経って、つい最近観たロフトのライヴでも演奏していたし、あの日のロフトでも演奏していたのが、「ア・イ・キ・タ」。俺もすっかりおっさんになったけど、新宿ロフトに行くと、変わらずあっちゃんが元気にステージを跳ね回って冗談言って。あの時と同じ曲で、あの時と同じ気持ちとテンションで盛り上がれるのが、本当に嬉しい。この曲のMVの舞台となっている、“この街”は新宿。「ア・イ・キ・タ」リリース時だから、90年!? まだ髪もふさふさのあっちゃんと旧メンのみなさんが新宿を闊歩する映像は、当時の新宿を知る資料映像としても貴重です!

TEXT/フジジュン 

フジジュン プロフィール:1975年、長野県生まれ。『イカ天』の影響でロックに目覚めて、雑誌『宝島』を教科書に育った、ロックとお笑い好きのおもしろライター。オリコン株式会社や『インディーズマガジン』を経て、00年よりライター、編集者、デザイナー、ラジオDJ、漫画原作者など、なんでも屋として活動。12年に(株)FUJIJUN WORKSを立ち上げ、バカ社長(クレイジーSKB公認)に就任。メジャー、インディーズ問わず、邦楽ロックが得意分野。現在は音楽サイトや、雑誌『昭和50年男』等で執筆。

OKMusic編集部

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