4月は桜のシーズンです。なので、桜ソングのタイミングだろ!と思ったのですが、あえてここは上の桜よりも、下にある食べ物こそ、みんなが興味あるものだろ!という勝手な決めつけで、食べ物にちなんだ楽曲を取り上げてみました。野外フェスもそうですけど、外で食べるご飯って、なぜあんなにオイシイんでしょうね。今の季節はきれいな桜に一応目をやりながらも、ビールやお弁当の旨味を満喫していることでしょう。個人的にも最近食べ物ソングを聴く機会が増え、ライヴでそういう楽曲を聴いてると、夜という時間帯もあって、お腹が空いてきて仕方がありません。

1. 「ギョウザ食べチャイナ」(’16)
/PAN

今年結成22年目に突入する大阪発の4人組、PAN。ライヴで鉄板のキラーチューンであり、今まで振り向かった人をも強引に振り向かせるほど、凄まじいパワーを発揮しているのがこの曲なんです。本当にただただ純粋に「餃子食べたいなぁ」という動機から生まれた楽曲で、あの『餃子の王将』とも見事にコラボレーションを果たしました。歌詞の中でもはっきり《王将 行きたいな》と言ってますからね(笑)。MVではメンバー4人がポップなダンスを繰り広げ、途中で餃子・作り方講座を挟んだりと、楽しい映像になってます。中毒性の高い大名曲と言っておきます。

2. 「ヤキトリズム」(’13)/打首獄
門同好会

来年、日本武道館でワンマン公演を発表した打首獄門同好会。いやぁ、めでたいめでたい。先日、新木場スタジオコーストで行なわれたワンマンも完全ソールドアウト。しかも、二階席はファミリー席となっており、本当に幅広い層の観客を取り込んでいます。その要因のひとつが食べ物ソング。今、“食べ物ソング”というジャンルの最前線を突っ走っていると言っていい。ライヴにおいてもスクリーンで歌詞と食べ物がきっちり映像で流れ、フロアとの一体感もちゃんと計算されています。そして、この曲はひたすら焼き鳥の種類を歌詞で歌い上げるストレートさで、ほかにもそういうタイプの楽曲が打首には多く、ある意味必勝パターンの曲調になってます。特に《せせり》で連呼し、観客と共に大合唱するパートには笑いさえ込み上げてきます。

3. 「黒毛和牛上塩タン焼680円」(’0
5)/大塚愛

この曲名に当時驚いた人も多いだろう。05年2月9日(肉の日)リリースというこだわりぶりで、まるでマキシマム ザ ホルモンみたいな設定を大塚愛がするのか!と腰を抜かしました。《あみの上に優しく寝かせて》と曲名に引っ掛けた歌詞もあり、内容そのものは男女の恋愛を歌い上げた楽曲です。曲調もゆったりしたバラードで、大塚愛の甘いヴォーカルがとてもセクシーです。食べ物はあくまで比喩表現として取り上げた変化球的な切り口ではありますが、やはりフック抜群の曲名のインパクトがすごすぎて…焼肉を食べに行きたくなります(笑)。

4. 「日本印度化計画」(’89)/筋肉
少女帯

今年3月にこの楽曲を収録する3rdアルバム『猫のテブクロ』完全再現ライヴを披露し、話題を呼んだ筋肉少女帯。この作品自体のリリースはは89年にまで遡ります。僕もテレビでこの曲が流れているのを聴いて、耳を持っていかれたことを鮮明に覚えている。《オレにカレーを食わせろ》というど直球の歌詞にやられ、いつの間にか口ずさんでました。さらに坂上二郎のギャグを歌詞に織り込むセンスにもぶっ飛びました。世代と言えばそれまでですけど、カレーを食べる時はふとこの曲を思い出すことがあります。カレー好きの日本人としては、知らない合間に生活と切っても切り離せない食べ物ソングになりました。まさに“日本印度化計画”です。

5. 「Sweetness」(‘01)/JIMMY EAT
WORLD

テレビでこの曲が流れてきた時は驚きを通り越して、耳を疑いました。アサヒスーパードライCMソングに、なんとUSエモの代表的バンド、ジミー・イート・ワールドの名曲中の名曲が使用されたのだから。食べ物ではなく、ここでは飲み物になりますけど、取り上げさせてください。ビールのCMソングに彼らの楽曲を起用するセンスには唸りました。それ以降、ビールを飲む時は彼らの曲が頭の中で自然と鳴るようになりました(笑)。不思議ですね、これは洗脳でしょうか。本当にメロディーが美しく、日本でも人気の高いバンドでしたが、このCM起用で一気に認知度は上がりました。彼らの作品を聴いてみてください。まずはこの曲が入ってる『ブリード・アメリカン』をお薦めします。

著者:荒金良介

OKMusic編集部

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