目には目を、暑さには熱さを!と言え
る洋楽5曲

都市型フェス『SUMMER SONIC 2014』の余韻に浸り、心も体もグッタリという人も多いかもしれない。日本の8月はまだまだ暑い。毎日コカ・コーラやアイスクリームを飲んで食べて、体の芯から冷やしたいという人の気持ちもすごく分かる。でも、それでは根治治療にはならない。えっ、根っこから暑さを吹き飛ばす方法があるの? と問われたら、我々音楽ファンを好きな曲に没頭している瞬間だけ完全に暑さを忘れることができる。ということで、暑さには熱さを、オススメの激越ナンバーを紹介します!(※変化球もあり)

「Lords Of Summer」('14)/METALLI
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目下のところ、METALLICAのホヤホヤの新曲になり、約2年半ぶりに発表された楽曲になる。今年3月からライヴで初披露され、各地のフェスでも絶賛披露中だ。曲名を見ても、夏フェスでプレイすることを視野に入れたタイトルにニヤッとさせられる。すでにYouTubeに楽曲はアップされているので、チェックしている人も多いだろう。これがどう考えても、初期METALLICAを意識した首を振らずにはいられないヘッドバンギング仕様の荒々しい曲調なのだ。武骨なリフ、後半に挟まれる叙情的なギターソロといい、8分代の長尺曲にもかかわらず、微塵も緊張感は途切れない。次のニューアルバムも気になるところだが、その予告編としては十分すぎるほどのインパクトを放つ。

「War Ensemble」('90)/SLAYER

上記のMETALLICAに加え、ANTHRAX、MEGADETH、SLAYERと言えば、「スラッシュ・メタル四天王」と呼ばれる存在だ。その中で帝王の枕詞と共に紹介されるSLAYERの音楽性はメタルファンはもちろん、パンクリスナーからも一目置かれている。ライヴ前のサウンドチェックで日本のロック/パンク・バンドがよくSLAYERのリフを弾く場面に出くわすし、洋邦問わず持ち曲に少しだけフレーズを引用していることもしばしばだ。結成30周年を超えた彼らの音はメタルをスピーディーかつアグレッシヴに押し進め、作品ごとに多少の変化はあるものの、苛烈で過激という意味においてブレない姿勢を貫いている。そこがジャンルを超えて、愛されている理由だろう。「Angel Of Death」も捨て難いが、個人的には「War Ensemble」で夏の暑さも余裕で吹っ飛ばせる。

「Aces High」('84)/IRON MAIDEN

ちょうど8月に来日を果たしたLADY GAGA様。彼女が最近、IRON MAIDENのデビュー作『鋼鉄の処女(邦題)』のTシャツを着ているのを見て、オッと思った。もはや世界的な人気を博すベテラン・メタルバンドだけに知らない人はいないだろう。今夏、彼らの地元イギリスでIRON MAIDENを観てきたが、老若男女、三世代に渡るファン層の広さ、そして、ほぼ全曲を大合唱するオーディエンスの姿を観て感動した。ここ日本ではMETALLICAと比べて、IRON MAIDENは知る人ぞ知るメタルバンドという印象は拭えない。しかし、ちょっと待ってほしい。キャッチーさにおいては、ダントツでIRON MAIDENのほうが上だ。口ずさめる歌メロやギターソロといい、真夏にこそIRON MAIDENを歌うべきだ。LADY GAGAも歌ってるかもよ!?

「Breathe」('97)/THE PRODIGY

世界を股にかけて活躍する日本が誇るメタルコア・バンド、CROSSFAITHがTHE PRODIGYの「Omen」を取り上げ、若いファンにも浸透させている点は素晴しい。そのカバー自体もバンドの音楽性にマッチしている。ロック/ダンス・ミュージックを愛する双方のファンから愛されるTHE PRODIGYの名を世に広く知らしめたのは、97年に発表された3rdアルバム『THE FAT OF THE LAND』だ。全世界で1000万枚以上を売り上げる特大ヒットを記録し、うるさい音好きのロックファンをも唸らせた。今なお海外のフェスでもヘッドライナーを務めるほど、根強い人気を誇っている。その事実からもわかる通り、現在も彼らを超える魅力を放つバンドが出ていないと言えるのではないか。フィジカルに訴える血湧き肉踊るサウンドは夏にピッタリだ。

「Rooster」('92)/ALICE IN CHAINS

87年に結成され、90年代に頭角を現したシアトル発の彼らは、瞬く間にグランジ/オルタナ・シーンを牽引するビッグバンドになっていく。カリスマ性のあるレイン・ステイリー(Vo)の呪術性を帯びたヴォーカル、地を這うような重厚かつ粘着質のサウンドは多くの若者を熱狂させた。92年に発表された2ndアルバム『DIRT』は、名曲のオンパレードと言える傑作だ。残念ながら、02年にドラッグの過剰摂取でレインは他界。だが、06年にウィリアム・デュヴァール(Vo)を迎え、バンドは再始動している。音楽性からしてダークなイメージで語られがちだが、ALICE IN CHAINSの楽曲は本当にメロディがいい。その陰りのある美メロは、夏に聴いてこそ味わい深い。

著者:荒金良介

OKMusic編集部

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