卒業は学生だけの特権じゃない! 様
々な「卒業」を歌った名曲5選

卒業シーズンのこの時期。街で袴姿の大学生などを見ると、希望にあふれた眩しすぎる姿にキュンとしてしまいますが。卒業は学生だけの特権じゃなくて、大人になっても様々な卒業が待っていたりします。今回は学校に限らず様々な卒業を歌った、「卒業」というタイトルの曲を5曲セレクト。卒業していったい何分るというのか!? 

「卒業」(’85)/斉藤由貴

1985年リリース、斉藤由貴のデビューシングルであり、卒業ソングの金字塔。発表から30年以上経つ現在でも“卒業ソングと言えば?”とアンケートを取れば、尾崎豊と並んで必ず上位にランクイン(ちなみに尾崎豊の「卒業」も同時期のリリース)。毎年、卒業シーズンになると必ず耳にする卒業ソング。作詞・松本隆、作曲・筒美京平という、昭和歌謡曲の最強タッグで作られたこの曲。サビのキュンキュンくる歌声とメロディーで歌う、《ああ卒業式で泣かないと 冷たい人と言われそう》の歌詞に分かる通り、卒業の寂しさや切なさに浸りながらも、どこかクールに客観性を持って卒業に向き合う主人公。《でも過ぎる季節に流されて 逢えないことも知っている》と歌う大人びた感じが妙にリアルで、この曲のすごさに大人になって改めて気付かされたことを思い出した。

「卒業」(’02)/ガガガSP

2002年リリース、ガガガSPのメジャーデビューシングル。突き上げるビートと《さよなら さよなら さよなら》と叫ぶ暑苦しいコーラスで始まるこの曲。苦手な人もきっといるだろうが、僕の中では“卒業”と言って最初に思い浮かぶ曲がこの曲だし、インディーズ盤の「線香花火」を聴いて気になっていたガガガSPが大好きになったのもこの曲だった。ここで歌ってるのは学校からの卒業でも、支配からの卒業でもなく、君からの卒業。男臭い歌声とサウンドで、《また多分君を思い出す事があるだろう》などと、女々しくて自分勝手なことをバカ正直に歌い続ける歌詞は男として実によく分かるし、共感できるし、この曲を聴いて頭に思い浮かぶ“君”が誰しもいるはず。僕は君を卒業できているのだろうか?

「卒業」(’16)/MY HAIR IS BAD

現在人気急上昇中、新潟県上越市出身の3人組ロックバンド・MY HAIR IS BAD。2016年リリース、2ndアルバム『Woman's』収録のこの曲。これまた“君”からの卒業を歌った曲だけど、恋愛中の気持ち、別れてやっと気付いた気持ち、そして俺と君は…と、それだけじゃ終わらない物語性がこの曲の聴きどころ。マイヘア聴いて思うのが、結局リスナーもバカじゃないから、カッコ付けたり万人受けする表面的なことばっかり歌ってても、何も響かねぇぞ!ってこと。ガガガもそうだけど、気持ちに正直になればなるほどダサかったり女々しかったりするんだけど、それくらいの覚悟を持って表現してくれねぇと聴き手には伝わらないって!! この曲が現実か空想かは分からないけど、僕には胸が痛くなるほどのリアルがあったし、そう思って聴いてるのは僕だけじゃないはずだと思う。

「卒業」(’12)/高橋 優

2012年リリース、高橋 優の6thシングル。東日本大震災直後の2011年4月、TOKYO FMの人気番組『SCHOOL OF LOCK!』に出演した高橋 優が、リスナーから受けたメッセージをもとに制作したこの曲。過去から卒業の時、僕らの目の前には新しい今があると、“悲しみからの卒業”を歌ったこの曲は、たくさんの人が深い悲しみを背負った震災を想像させながら、それだけでなく日常に不安や絶望感を抱く全ての人たちに、《このままでは終わらないさ》と肩を叩いてくれるようなやさしさと温かみがあり、《どんな昨日さえもあってよかったと讃え合おう 呆れるほど》の叫びは力強く希望にあふれている。あれから6年、昨日があってよかったとはまだ言えないけど、いつかきっと――。

「卒業」(’05)/坂上 弘

…と、わりと真面目なことや女々しいことを書いてきましたが。最後は現在95歳の現役最年長ラッパー・坂上 弘による、尾崎豊の大名曲「卒業」のカバー。1995年くらいに、特殊漫画家の根本敬がオススメしてて、「交通地獄/恋しのアンジェラ」のカセットテープを買って、ライヴにも行ってた時期があって。“卒業”で調べてて、このカバーに辿り着いた時は何かの因果を感じた。この曲は2005年リリース「交通地獄そして卒業」収録(興味ある人は「交通地獄」も是非に!)。坂上先生、その時すでに83歳! 83歳になって《信じられぬ大人との争いの中で》って、どんな気持ちで歌ってたんだろう!?と思うけど、本人はいたって大真面目。聴き進めていくうちに、なぜかグッときてしまうから参ってしまう。坂上先生の「卒業」を聴いてると、結局は人間なんて何度自分自身を卒業しても、本当の自分には辿り着けないのでは?と思ってしまった。

著者:フジジュン

OKMusic編集部

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