「臼井孝のヒット曲探検隊
~アーティスト別 ベストヒット20」
地元を愛し、地元に愛された
いきものがかりのヒットを探る

こうして総合ランキングを見てみると、TOP10の10曲はいずれも2006年から2012年の作品で、ここ4年ほどは彼らの代表曲は出ていなかったことが分かる(そこそこのヒット曲だったのだが、あくまでも代表曲はなかった)。また、オリジナルアルバムでも常に年間TOP50入りするほどのアルバムアーティストでありながら、アルバムからの人気曲がTOP20中には見当たらない。勿論、シングルだけで名曲が大量にあるという表れでもあるのだが、こうしたヒットの閉塞感も、活動休止して更なるステップを目指したいというきっかけになったのでは、と総合ランキングを見てあらためて思った。

アルバム中で最も人気曲は
「心の花を咲かせよう」

そんな彼らの中で最も有名なアルバム曲は、2008年末に発売された3rdアルバム『My Song Your song』に収録された「心の花を咲かせよう」だろうか。本作は第87回全国高等学校サッカー選手権大会応援歌に起用された山下穂尊の作詞・作曲のナンバーで、サッカー経験者を対象としたエールソングのアンケートでは上位に来ることも多く、彼らのアルバム曲の中で唯一配信10万件ヒットを記録している。

ちなみに、これまで発売された3作のベストアルバムすべてに収録されているので、幾つかのシングルより人気だろうし、この後もサッカー少年たちのエールソングとして広まっていくだろうし、数年後、更に人気が上昇していることだろう。

色あせることのない
スタンダードな音楽を

それにしても、J-POPのど真ん中を挑む若手バンドが活動休止してしまうのは、なんとも寂しい限り。それでも、彼らにしか描けない世界はしっかりあるので、活動再開後、突如、リズム中心のEDMなどに目覚めることなく(笑)、以前にもまして、いつ聞いても色あせることのないスタンダードな音楽を私たちに届けてくれることを信じている。

プロフィール
臼井 孝(うすい・たかし)
1968年京都府出身。地元大学理学部修了→化学会社勤務という理系人生を経て、97年に何を思ったか(笑)音楽系広告代理店に転職。以降、様々な音楽作品のマーケティングに携わり、05年にT2U音楽研究所を設立。現在は、本業で音楽市場の分析や配信サイトでの選曲、さらにCD企画(松崎しげる『愛のメモリー』メガ盛りシングルや、演歌歌手によるJ-POPカバーシリーズ『エンカのチカラ』)をする傍ら、共同通信、月刊タレントパワーランキングでも愛と情熱に満ちた連載を執筆。Twitterは @t2umusic、CDセールス、ダウンロード、ストリーミング、カラオケ、ビルボード、各番組で紹介された独自ランキングなどなど、様々なヒット情報を分析してお伝えしています。気軽にフォローしてください♪

OKMusic編集部

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