「臼井孝のヒット曲探検隊
~アーティスト別 ベストヒット20」
地元を愛し、地元に愛された
いきものがかりのヒットを探る

総合1位は、
全部門制覇の「ありがとう」、
水谷千重子バージョンもCD化希望!

※青い網掛けは、シングルのカップリング曲。(「じょいふる」は両A面扱いだったが、CD2曲目に収録されているので、便宜的にカップリング扱いとする。)

※青い網掛けは、シングルのカップリング曲。(「じょいふる」は両A面扱いだったが、CD2曲目に収録されているので、便宜的にカップリング扱いとする。)

総合1位は2010年発売の18thシングルで、愛する人への感謝をこめたミディアムバラード「ありがとう」。シングル、配信、カラオケ、いずれもダントツ1位で、これは大方の予想通りだろう。NHK連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』主題歌に起用され、実際、前述のようにLIVEのファン層が大きく広がったのも、また同年11月に発売された2枚組のベストアルバム『いきものばかり~メンバーズBESTセレクション~』が140万枚を超える初のミリオンセラーとなったのも、この「ありがとう」効果が大きいはずだ。なにしろ、CDシングルが1年以上にわたってTOP200入りしているのだから。

また、音楽配信でも年間のレコチョクランキングで、2010年15位、2011年14位(前年よりもアップしているのは、紅白歌合戦をはじめとする年末年始効果も大きかった証拠)、2012年74位と3年にわたってヒットしており、まさにお化けヒットと言える。

ちなみに、芸人の友近に酷似(?)しているベテラン演歌歌手・水谷千重子のレパートリーとしても、この「ありがとう」は有名。ドヤ顔でコブシを利かせまくっても、その名曲ぶりがわかるので、今後CD化されることを願う。

総合2位は「YELL」!
カップリングの「じょいふる」も
TOP10入り

総合2位は2009年発売の15thシングルで、両A面扱いだった「YELL/じょいふる」からCDの加点分より上位となった「YELL」。本作は2009年度のNHK全国学校音楽コンクール中学校の部の課題曲(ちなみに前年の課題曲は同じソニーのアンジェラ・アキ「手紙」。後年のYUIやmiwaなどソニーはこの枠に強い)で、「サヨナラは悲しい言葉じゃない」という卒業をテーマにしたエールソングで、翌2010年の春にかけてCDや配信、カラオケでロングヒットした。
もう1曲の「じょいふる」も江崎グリコ「ポッキー」CMソングとして、ポッキーをくるくる回しながらのダンスも話題となり、LIVEでも最高潮に盛り上がるアゲアゲのポップソングとして、75万ダウンロード以上で配信3位、カラオケも6位となり、総合9位とTOP10入りしている。まったく真逆ながら、どちらも彼ららしさを象徴する2曲と言えるだろう。

CDシングルの大ヒットはないが
週間TOP10ヒットは26作あり

ヒット曲が多い印象の強い彼らだが、実はCDが10万枚を超えたのは「ありがとう」の21.4万枚と、「YELL/じょいふる」の14.1万枚のたったの2作。後述する配信でダウンロードが10万件を超えたものは29作(うち、ミリオンヒットが2作)ということからも、彼らのヒット感を従来のシングルだけでは語れないことが分かるだろう。

但し、シングルの大ヒットは少ない彼らだが、オリコンTOP10シングルはなんと26作もある。つまり、アイドルではないけれど、コレクター的に買い揃えたいというファンは少なくないのだ。これは各作品の初回プレスに封入されている「いきものカード」も後押ししていそうだ。トレーディングカードのような仕様で各作品のメッセージを要約し、ジャケットの別バージョンなど関連する写真が印刷されている。こうした手間暇が施されている点も、彼らの親しみやすさを自然にアピールしてきたのだろう。

ちなみに、2018年3月15日に発売されたLPレコード14枚組『レコー丼~超七色大盛り~』は活動休止中かつ税抜3万円という高額セットにもかかわらず、千セット以上を売り上げ、オリコン週間46位にランクインした。これも、彼らが愛され続けている証だ。当然、こちらにも「いきものカード」は封入されている。

総合3位はアニメ『NARUTO』から
ヒットした「ブルーバード」

総合3位は2008年発売の10thシングル「ブルーバード」。ソニーのタイアップ・レギュラー枠でもあるアニメ『NARUTO』のオープニング曲となったこともヒットの要因だが、半年にわたるTOP200入りはタイアップ期間をゆうに過ぎており、これは《飛翔(はばた)いたら 戻らないと言って》とパワフルに始まる楽曲パワーによるところが大きいだろう。

そう言えば、この歌も「ありがとう」もサビ頭から始まるのが特長的。通常、バンドの楽曲はサビ頭のものが少ない気がするが、そういう歌謡曲っぽい構成も気負いなく出来るのも彼らの魅力。ちなみに、シングル曲の多くはリーダーの水野良樹が担当。稀代のヒットメーカーでありながら、決して成り上がらずに「NHKでは警備員に一般人と間違えられて呼び止められる」など自虐的なエピソードも欠かさない点に、彼の俯瞰できる視点を感じさせる。

OKMusic編集部

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