バンドネオンの三浦一馬に聞く、個性
溢れるソリスト3人について ヴァイ
オリンの成田達輝、ピアノのロー磨秀
と奏でるコンサート『TRINITYISM』を
開催

バンドネオンの三浦一馬、ヴァイオリンの成田達輝、ピアノのロー磨秀の3人による『トリニティイズム』。パリで学んだ成田とローの二人とともに三浦がフランス音楽やピアソラを奏でる。2024年4月27日(土)のコンサートを前に、三浦にこの3人によるトリオについて聞いた。
ーー今回の3人でのコンサートに『トリニティイズム』というタイトルがついていますが、それはどういう意味ですか?
最初は特に名称もなく、3人の名前を並べて、トリオとしてコンサートをしていましたが、「何か名前がほしいよね」ということになり、3という数字をキーワードに「トリニティイズム」と付けました。「イズム」は3人の流儀を意味します。コンサートのタイトルだけでなく、これをユニット名にしてもいいかなと話しています。
ーーまずは、成田達輝さんの印象から話していただけますか。
成田さんの音は、巨匠時代の音が今に生きているようで、風格さえ感じます。私は、成田さんの音を聴いて、「(自分の音楽に)あの音がほしい」と思いました。
ーーロー・磨秀さんについてはいかがですか。
磨秀さんは、シンガーソングライターであり、クラシックのピアニストとしてもピカイチで、二刀流といいますか、新しさを感じます。
三浦一馬
ーーこれまでに3人で演奏されたことはあるのですか?
今までに、2回ほど演奏会をしましたが、何十年も前からずっと一緒に演奏してきたんじゃないかという感じがしました。特に言葉を交わさなくても、みんなで同じ方向を向いて、自然に音楽が行きたいように行くという親密さを感じました。
ーーバンドネオン、ヴァイオリン、ピアノという楽器編成についてはいかがですか?
バンドネオン、ヴァイオリン、ピアノというトリオは珍しいかもしれませんが、バンドネオン、弦楽アンサンブル、ピアノの組み合わせが私は大好きなのです。ピアソラもそういう編成の曲をたくさん残しています。バンドネオンはリードを使っているので管楽器的な音がして、それが弦楽器とよくブレンドします。サウンドとして成立しやすい編成だと思います。
ーー今回のプログラムはフランス音楽とピアソラの作品ですが、どうしてこのような選曲をされたのですか?
コンサートの前半はフランスものです。個人的にフランス音楽が好きということもありますが、3人のそれぞれのもつ音色がフランス音楽に合うような気がしました。ピアソラがパリでブーランジェに学んだという伏線があり、なにより、成田さんと磨秀さんがフランスで勉強したというルーツもあります。二人とも上品な香りのする音を出すんですよ。年代物のワインのような豊潤な音です。
ドビュッシーの「月の光」は私のアレンジで、バンドネオンのソロで始まり、そこにだんだん二人が乗ってきます。バンドネオンとヴァイオリンがどちらがメロディということなく入れ替わっていきます。
ーープーランクの「城への招待」はどのような曲ですか?
これは、劇伴というか、劇に付随する音楽です。20ほどの細かい曲が連なる、組曲のような15分ほどの作品です。最初のガチャガチャは、幕の開く音楽。心躍るもの、切ないもの、怒り狂ったもの、いろいろあって、聴いていて楽しい曲ですね。原曲は、ヴァイオリン、ピアノ、クラリネットの三重奏で、まったく編曲なしに、バンドネオンはクラリネットの譜面をそのまま弾きます。
三浦一馬
ーー後半はピアソラですね。今回はどのように曲を選びましたか?
ピアソラでは、ヴァイオリンとバンドネオンがそれぞれ映える曲を選びました。たとえば、「エスクアロ(鮫)」ではヴァイオリンの超絶技巧が披露されます。タンゴとしての魅力ももちろんですが、トリオという室内楽のような形で、クラシカルな響きも感じられるピアソラをお聴かせしたいです。
ーー共演を通しての、成田さんやローさんとのエピソードを教えていただけますか?
成田さんは、根っからの音楽家、どこまでも自然体ですよね。行雲流水というか、その瞬間を音楽を通して生きるみたいな、どこか達観したものを感じます。成田さんは、どんなものが来たとしてもその瞬間の自分の直観で弾くというところがあります。すごく自由人だと思います。
磨秀さんは、他人に見せないけど、実は努力家だと思います。シンガーソングライターの側面もあり、彼の曲がドラマの音楽になったりもしています。今の時代に即したモダンなものを感じます。ナイスガイですよ。
ーー今回のコンサートで三浦さんが特に楽しみにしていることは何ですか?
成田さんの影響もありますが、その瞬間、その時間をどう楽しむか、今から本番が待ち遠しいです。リハーサルもしますが、本番はその瞬間しかないわけで、何が起こるかわかりません。心配になることもありますが、成田さんを見ていると、それも含めて楽しむことができたらいいよねと思えるようになりました。本番、二人とも何か仕掛けてくると思いますから、自分も何かやりたいですね。本番という特別な時間だからこそ、みんなでいろいろ出し合って、楽しめる時間にしたいです。
ーー最後に聴衆へのメッセージをお願いいたします
心から来て良かったと思えるコンサートにしたいと思っています。違う楽器の違うキャラクターの3人が音楽を通して一つのものを作り上げるのを楽しんでいただけたら、うれしいです。きっと私たちも楽しむでしょうから、その時間をみなさんと共有できればと思っています。

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