サラ・バレリスが3年ぶりの来日公演
『Little Black Dress Tour』が決定

 2013年7月にリリースされた最新アルバム『ザ・ブレスド・アンレスト』をサポートする形で6月からスタートしたこのツアーも、あと2夜を残すのみ。アルバム収録曲のタイトルに因んで「リトル・ブラック・ドレス・ツアー」と名付けられ、彼女自身もブラックのワンピース姿で登場すると、アコースティック・ギターを持って「レット・ザ・レイン」(2010年発表のアルバム『カレイドスコープ・ハート』から)でスタート。その途端、会場となった恵比寿リキッドルームは大きな歓声と、サラ自身も感激するほど一体化した温かい手拍子で包まれた。
2曲目の「アンチャーテッド」(同じくアルバム『カレイドスコープ・ハート』から)ではピアノに向かい、3曲目の「ラヴ・オン・ザ・ロック」(2004年発表のアルバム『ケアフル・コンフェッションズ』から)では2人のバック・ミュージシャン(パーカッション担当者と、サポート・アクトとして前座を務めたギター&キーボード奏者の女性:ミスティ・ボイス)を率いてシンプルながら機知に富んだ演奏を聴かせてくれる。更に「カム・ラウンド・スーン」(2007年発表のアルバム『リトル・ヴォイス』より)ではエレクトリック・ギターを用いたりと、さりげなく変化を付けながらステージは進行。曲毎に面白おかしく解説を付けて会場を盛り上げる様子は相変わらずチャーミングだし、そこにいるだけでパッと明るくなるスター性は正しく天性のもの。生まれながらのパフォーマーでありエンターテイナーなのだと痛感させられる。オーディエンスの盛り上げ方も実にスマートで、日本語訳の書かれた単語カードを持参して、ほとんど言葉の壁を感じさせることなくスムーズに展開。しかも、今回シンガーとしての成長の著しさにも目を見張らされた。その「カム・ラウンド・スーン」での意外なほどブルージーな歌唱や、シーアのヒット曲「シャンデリア」の清涼感溢れるカヴァーなどでの揺るぎなき自信と冒険心とは、やはり地道なツアー活動で培われた賜物であり、グラミー賞候補に幾度も挙がる成功の成せる業という気がする。最新アルバムの『ザ・ブレスド・アンレスト』は決して明るい作風ではないが、長年連れ添った恋人との別れが契機になったという(本人もMCで説明)「マンハッタン」「ディセンバー」といった内省的な曲でも神妙に聴き入らせ、共感を呼び覚ませる力量を発揮した。

 終盤からラストに向けてはアップ曲の連打。彼女曰く「たまには気の滅入らない曲を書いて」という友人の言葉を受けて作った「アイ・チューズ・ユー」、普段は大っぴらに言えないような他人を罵る言葉を皆で大声で連呼した「スウィート・アズ・ホール」、会場中がコーラスで湧いた「キング・オブ・エニシング」、そして最後は彼女が友人女性のカミングアウトに触発されたという「ありのままのあなたでイイの」というメッセージ・ソング「ブレイヴ」の大ヒットで締めくくられた。以前のようなビヨンセのヒット曲をフリ付きで歌ったりするお転婆な姿はここにはなかったけれど、歌と語りとだけでオーディエンスを虜にできるシンガー・ソングライターとしての幅広い包容力に圧倒された。  アンコール曲「グラヴィティ」では、以前の儚さよりもグッと人間的な深みを増した歌唱をしっとりと披露。年齢と共にますます多彩な魅力を身に付けてゆくタイプのアーティストであることを確信。会場を後にする人々はすっかり満足しきった様子で瞳を輝かせ、「あんなに歌える人だとは思っていなかった」「絶対また観たい」といった声があちこちで飛び交っていた。

2014-9-30 Sara Bareilles@恵比寿リキッドルーム
(ライヴレポート文:村上ひさし)
(photo by Yoshika Horita)

【オフィシャルサイト】
Sara Bareilles (サラバレリス) 日本オフィシャルサイト
■Sara Bareilles - A Trace Of The Sun: Volunteering In Japan
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