城 南海

城 南海

【城 南海 インタビュー】
これからの幅を
広げてくれる種になるアルバム

私が歌うためプラス、
今までにやっていない感じ

そして、南海ちゃん作詞作曲の「陽だまりのワルツ」。この曲についてもお願いします。

“1曲、作詞作曲をしてみない?”って言われて“します!”って。この曲が一番最後にできたんですよ。私は構想を練る時間が長いタイプなので、締め切りを過ぎたあとにできました(笑)。笹川さんの1stアルバム再現ライヴを観に行った次の日に出来上がったんです。すごく感化されて。みなさんに提供していただいた曲とのバランスだったり、これまでに作詞作曲したものが壮大なバラードだったりしたので、ちょっと吉田山田さんの曲と通ずるものがあるんですが、日常を歌いたいと考えて“これは三拍子だな”と思って書きました。

ピアノアレンジで?

自分の家でピアノを弾きながら作ったんですけど、その感じのままアレンジしてくださって。歌詞もディレクターさんから“歌詞カード開かないと分からないようなものじゃなくて、常日頃使っているような言葉で書いてほしい”と言われたんですよ。これまでは歌詞っぽい言葉だったり、奄美の言葉を意識して使ったりしていたんで、逆に“どうしょう?”となって(笑)。でも、日常というとことで“おはよう”“おやすみ”というものに振ったというか、“普通の生活という特別じゃない日が、また明日も続いていくといいな”みたいな歌詞にしました。

南海ちゃんらしい温かい曲になりましたね。間奏まで温かいし(笑)。

あははは。ピアノとチェロがいいって言ったんですよ。チェロの方も譜面があっても自分でどんどん重ねていく人だったので、3本重ねて、最後も響くようにしてくださったんです。ピアノは編曲のきなみうみさんなんですけど、他の曲ではベースを弾いてくださっていて、…“自分、本当はピアノなんですよ”っておっしゃっていて(笑)。で、私の弾き方を参考にして弾いてくださったんです。派手じゃなく、温かい曲になりましたね。

きなみうみさんってどんな方なんですか? すごく気になっていたんですよ。

気になりますよね(笑)。すごくマルチな方で、まだ23歳とかなんですよ。松岡モトキさんと同じ会社に所属されていて、松岡さんの片腕みたいな存在ですね。ご自身でもいろいろ楽曲提供したり、バンドもやっていて…ヴォーカルをされていて、すごくいい声なんですよ! ギター、ピアノ、ベース、ドラムもできる多彩な方で、いろいろアイディアも出してくださる感性豊かな方ですね。

そんなきなみうみさん作詞作曲「さよならの唄」はアルバムのいいフックになっていますね。

曲順もすごく考えたんですよ。この曲から第二章の始まりみたいな。きなみさんは私のこれまでの歌を全部聴いた上で、これまでにないものを作ったって言っていました。

そうなんですね。むしろ、南海ちゃんが歌うための曲を作ったと思っていました。

あっ、それも含めてです。私が歌うためプラス、今までにやっていない感じのものを意識したって。あと、自分は人生経験があまりないから(笑)、歌詞はシンプルにしたと言っていました。でも、それがすごく活きていて、さわやかなアレンジと歌詞の寂しさがマッチしていると思います。

歌詞だけを読むとバラードなんですけど、さわやかなポップチューンになっているという。

そうなんですよ! 先に歌詞だけを読んでいたんで、デモを聴いてびっくりしました(笑)。私の曲ってコーラスも自分でやっているものがほとんどなんですけど、この曲は男女のことを歌ったものだから、きなみさんはいいお声を持ちだし、ぜひ歌ってほしいと。男性の声が入ることでかなりアクセントがつきますからね。これ、松岡さんも歌っています。

《さよならの唄を君に》のフレーズも意味深で。

そうなんですよ。どんどん展開していくし、私もすごく共感して“いい歌詞だなぁ”って。未練じゃないけど、“ずっと思っているよ。でも、自分は前に進むよ”って歌で浄化するみたいな感じが、歌詞にもメロディーにもあるというか。最後の《さよなら》を繰り返すところも自由に歌わせてもらったんですが、確かにこういう曲って今までなかったなって。気を抜くと涙が出そうになるんですけど、明るく歌いました。

このさわやかさが寂しさを引き立てますよね。

そのギャップがいいんですよね。

それに続く「私だけの海」は師匠の松岡さんの作曲・編曲で。

松岡さんが“1曲書くね”と言ってくださって。私はエンヤが好きなので、コーラスを重ねる曲をやりたいって言っていたのを覚えてくれていて。

北欧系の音楽が好きで、大学でそういう音楽の勉強をしていたんですよね。

そうなんです。で、歌詞は松岡さんの奥様である矢野まきさんが書いてくださりました。

矢野まきさんからの提供は、そういう経緯なんですね!?

はい。“歌詞を書く前にふたりで会えるといいね”と言っていたんですけど、都合が合わず、結局電話でお話して、それから書いてくださったんですよ。今回のアルバムのコンセプトである、自我と向き合うということをお伝えした上で、“あなたと私”がいいか、自分自身がいいかって訊かれたので、“自分自身がいいです”とお答えしたり。そうやって電話で話した中で矢野さんが感じたことを歌詞にしていただきました。《ようやく今気づいたの/ずいぶん私、強くなったって》というフレーズがすごく好きなんですけど、本人的には全然強くなっている感じはなくて(笑)。でも、デビューした頃よりかはそうかなって、気づかされたというか。矢野さんから“お話した中でこういうヒントを得て、こう思って書きました”っていうお手紙付きでいただいので、それもとても嬉しかったです。

まずタイトルがいいですよね。

そうなんですよ! 「爛漫」にも通じるものがあるんですが、自分のルーツと今の自分っていうものを歌っていて、本当に自分を見つめている歌だなと。だから、松岡さんのギターと歌だけで、まさに自分と向き合えるようなかたちで歌えましたね。あと、三声でやろうっていうのも言っていて、そういうコーラスを重ねました。

まさにエンヤとかの北欧系の音楽ですね。

好きなので、そこを踏襲してくれたというか。

OKMusic編集部

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