中島みゆき、長渕剛、ゴスペラーズ…
…時代を彩る珠玉の大ヒット曲をヴァ
イオリンの音色で! ドス・デル・フ
ィドル×妹尾武『80-90年代のJ-POP
セレクション』インタビュー

カリスマ的人気を誇る石田泰尚と、若きリーダー・﨑谷直人によるヴァイオリン・ユニット DOS DEL FIDDLES(ドス・デル・フィドル)が2023年11月9日(木)に神奈川・横浜みなとみらい大ホールでコンサートを行う。『80-90年代のJ-POPセレクション』と題した演奏会は2部構成。1部ではバッハやドビュッシーなどのクラシック曲を。2部では中島みゆきや、CHAGE and ASKAなど幅広い層に人気の楽曲を演奏する。公演にはスペシャルゲストとしてゴスペラーズの大ヒット曲「永遠に」を作曲した妹尾武を招き、伝説的な記録を持つ同曲で音を合わせることが決定。バンドネオン奏者の三浦一馬が手がけたこの日だけの特別なアレンジを楽しむことができる。本番を前に顔を合わせた3人に、コンサートの魅力を聞いた。
左から 﨑谷直人、石田泰尚、妹尾武
――2022年はX JAPANLUNA SEAなど、ビジュアル系ロックのヒット曲を演奏するコンサート『V CLASSIC』を開きました。今回はまたガラッと違うテーマですね。
﨑谷:2020年にドス・デル・フィドルを立ち上げたときから「ヴァイオリンという楽器の可能性を広げたい」と考えていました。あらゆるジャンルをやろうと話していて、昨年はクラシックとビジュアル系ロックを演奏するコンサートを開催したんです。スタッフと「次はどうしようかな」と話して、浮かんだのが今回のテーマでした。洋楽もいいかなって思ったんですけど。
――タイトルには「80-90年代」とありますが、2000年まで選曲が広がったと聞きました。
﨑谷:そうなんです。演奏曲を考えていたときに、井上陽水さんと玉置浩二さん率いる安全地帯が共演した「夏の終わりのハーモニー」が浮かんで、ドスデルも僕と石田さんのコラボレーションですし、「いいじゃん!」って。そこからですね。どんどん広がっていったのは。
﨑谷直人
――「飾りじゃないのよ涙は」(中森明菜、85年)、「巡恋歌」(長渕剛、91年)など、本当に多岐に渡る選曲です。それぞれ演奏を楽しみにしている曲について、教えていただけますか。
石田:長渕さんです。長渕さんの曲をヴァイオリンで弾く日が来るなんて思ってもみませんでしたし。過去にもあまりないことなんじゃないでしょうか。三浦一馬がどんなアレンジをしてくるのか。トリオでやる「巡恋歌」は3人それぞれの特徴が出るように考えてくれているみたいなので。リハーサルがこれからなので、音を合わせてみてまた考えようかなって。
妹尾:僕は手前みそですが、やはり「永遠に」ですね。実は今日この取材の前に初めてお2人にお会いしたので、こうして隣で話している今もドキドキしているんです。僕自身、ヴァイオリン奏者と共演することがあまりなかったので、男3人で熱いステージを見せたいと思っています。
﨑谷:僕も「永遠に」です。ステージで、憧れていた妹尾さんとご一緒できるのが楽しみです。スイング感がクラシックと違うので、この取材の後にあるリハーサルで音を合わせて、本番に臨みたいです。
――今回の演奏会で演奏してほしい曲をファンの方に募ったところ、「永遠に」は1位だったと聞きました。2000年8月23日のリリース以降、オリコン週間シングルランキングで44週連続チャートインしましたが、これはシングルの中で最長記録という偉業ですね。
妹尾:当時は氷川きよしさんのデビュー曲「箱根八里の半次郎」と競っていました。たくさんの人に支持をしていただき、ありがたいです。
妹尾武
﨑谷:この曲はどんなきっかけで誕生したんですか?
妹尾:僕は神戸の生まれなのですが、1995年に発生した阪神・淡路大震災で大事な友人を亡くしてから、ずっとくさくさとしていました。なかなか前を向くことができなくて・・・。そのときにパワーをもらっていたのが、地元のラグビーチーム、神戸製鋼の奮闘でした。日本代表選手としても活躍した林敏之選手が引退するときに秩父宮ラグビー場に試合を観に行ったんです。観客席からフィールドを見つめていたときに、いい風が吹いていまのこの瞬間を曲にしたいと生まれたのが「永遠に」でした。この曲が生まれたことで、いろいろなご縁が広がって、今回はお2人と演奏する機会をいただくことができました。
﨑谷:僕らこそとても光栄です。
――石田さんは長渕さんの「巡恋歌」を演奏されます。選ばれた曲とのエピソードがあれば教えてください。
石田:長渕さんのことは、中学生くらいのときから好きで大学2年生のときに、東京ドームにライブを観に行ったんです。そのドームのオープニングが「巡恋歌」でした。5万5000人を収容するドームのど真ん中にセンターステージがあって、そこにギターケースを持った長渕が歩いてきたんです。もう無茶苦茶かっこよくないですか? それを見たとき「あぁ、音を出す前からライブは始まっているんだと思いました。そのパフォーマンスによって、ドームが一瞬で長渕さんのホームになっていて。すごいと圧倒されました。
石田泰尚
――崎谷さんも、選ばれた曲とのエピソードをお話しいただけますか。(※WANDS「世界が終わるまでは…」を演奏予定)
﨑谷:WANDSはいまでも大好きなアーティスト。上杉(昇)さんのコンサートは10月に聞きに行ったばかりですし、ギターの柴崎(浩)さんとは、コロナ禍で流れてしまったのですが、一緒に演奏会をする計画を立てていました。今回演奏する「世界が終わるまでは・・・」(94年)は、アニメ『SLAM DUNK』の(第2期)エンディング曲に起用されて大ヒットしていた曲。当時、僕は小学生ぐらいだったので、「アニメの曲」と思って聞いていました。でも大人になってから、上杉さんが歌うこの曲の歌詞の意味を知って、それからはアーティストとしての思考や、生き様について自分の中のロールモデルといえるものになりました。
――ヒット曲が並ぶ2部は、その歌詞などに聴き手が思い出を重ねて聞く場面も多いと思います。演奏する難しさはどのようなところにあると思いますか。
﨑谷:歌詞のあるなしって、本当に大きくて、歌詞にはかなわないと思うこともあります。本来は歌詞がある曲をどう表現していくのか。でもそこはモーツアルトを演奏するときと一緒かなと。「飾りじゃないのよ涙は」だったら、「ミミミミミレレレ~」ってサビ部分の和音符が浮かんだら台無しですよね。僕らは演奏するために最初はどうしても音符から入るけれど、それを感じさせない演奏。石田さんだったら、身体から発するエネルギーでその世界を表現していく。僕は石田さんとは真逆なんですけど、3人それぞれが発する気を楽しんでほしいです。
左から 﨑谷直人、石田泰尚、妹尾武
――最後に演奏会を楽しみにしている人にメッセージをお願いします。
﨑谷:1部は僕のバッハのソロで幕開けして、クラシック曲をお聞かせします。後半はみなさん聞いたことがある曲が並ぶと思いますので、それぞれの思い出を浮かべながら聞いてもらえたらうれしいです。活動3年目で、僕らも新しい引き出しが増えるので、今後はオリジナル曲も増やしていきたいですね。今回の共演をご縁に、妹尾さんに曲を書いていただけたらいいなって思いますし、第2歩目としてオリジナル曲だけでツアーをするのが将来の目標です。
妹尾:今年は「永遠に」が生まれて23年目の節目。曲が長く愛され、音で繋がる御縁が広がっていることもうれしく思っています。演奏会がある横浜は、大好きな街。そこで3人で演奏ができることを楽しみにしています。見た目と反する繊細な音色を楽しみにしていただきたいです。
石田:昨年、ビジュアルロックをやったときもお客さんの反応を見るのが楽しみだったのですが、今回もどんな風に感じてくれるのか、反応をまず見たいです。今回の演奏会ではPAを入れず、全編生音なので、生音の美しさを楽しんでいただきたいです。まだ、リハーサルをしていないので、詳しくは言えないんですけどね(笑)。
取材・文=翡翠 撮影=池上夢貢

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