「BASTARD!!」谷山紀章、自分の能力
すべてを活かせると感じたダーク・シ
ュナイダー

(c)萩原一至/集英社・BASTARD!! 製作委員会 Netflixで第2期「地獄の鎮魂歌編」の一挙配信がスタートしているアニメ「BASTARD!!―暗黒の破壊神―」シリーズは、萩原一至氏によるダークファンタジー漫画が原作。封印から解き放たれた大魔法使いダーク・シュナイダー(通称:D・S)は、圧倒的な魔力で次々と敵を退けていく。

 D・S役を演じる谷山紀章に「アニメハックTV」生配信の出演後、オーディションや第1期の収録を振り返ってもらいながら、第2期の注目ポイントを聞いた。(取材・構成:五所光太郎/アニメハック編集部)
――「アニメハックTV」に出演していかがでしたか。
谷山:見た目も雰囲気も明るい徳井(青空)さんがMCならきっと楽しい感じになるだろうと思っていましたが、想像どおり明るく楽しく進行していただきました。番組でもお話しましたが、徳井さんとは不思議と声優としてご一緒する機会がなくて、「アニサマ」などのライブで挨拶するぐらいだったんですよ。今回初めてこういうふうに1 on 1でお話できたのは新鮮でした。
――ダーク・シュナイダー(以下、「D・S」と略」)役は、オーディションで決まったそうですね。「BASTARD!!」が新たにアニメ化されると知ったとき、どう思われましたか。
谷山:オーディションを受けたのはたしか3年ぐらい前でした。当時からかつて人気を博した漫画やアニメをリバイバルする動きがあって、あれもやるんだ、これもやるんだという話を聞いていましたから、ついに「BASTARD!!」をやるかとまず感じましたね。
 オーディションではもうD・S役一択で、そのときから生き生きとやることができました。オーディションのときのセリフはもう覚えていませんが、やっぱり叫ぶシーンや、「(声色をつくって)超絶美形主人公!」「爆裂(ダムド)」などのセリフ、ギャグシーンもやったと思います。おそらく演技の幅をみたかったんでしょうね。楽しんで面白がりながらやることができました。テープオーディションのみで決まりましたが、自分のなかでは「俺がだせるD・Sはこれだよね」という感じがあって、しっくりこないっていう感じが全然なかったんです。
 あと、今回やるにあたってはOVA版(※1991~92)で矢尾一樹さんが演じられたD・Sは一切自分のなかに残さないようにしようと思いました。二番煎じになってしまいますから、完全に僕だけのD・Sをいちから構築しようと最初から思っていました。
 そんなふうにオーディションに臨み、これで違う方に決まっても、それは自分と今回のアニメのスタッフの方々との“D・S感”にズレがあったんだなと忘れようと思っていたぐらい自分のなかでやりきった感じがありました。あとで監督にうかがったのですが、1発目に聴いたのが僕の声で、「D・Sが聞こえてきたんで、もう谷山さんでいきましょう」となったそうで、すごくうれしかったです。
――谷山さんの考える“D・S感”とはどのようなものだったのでしょう。お話を聞くと、オーディションの時点でかなりの手ごたえがあり、ご自身がハマり役になるんじゃないかという予感があったように思いました。
谷山:なんでしょう……。根拠のない自信ですけど、我ながら「俺だよな」っていうのはなぜか最初から思っていたんですよね。ただそれは、手ごたえともちょっと違っていて、しいて言えば自分のなかでなんの違和感もなかったんです。やっていて首をひねるところもなく自然にできたので、これはもしこれでD・Sに決まったら、とてもいいだろうなっていうのはその時点から思っていました。ハマり役というのは自分が決めることではありませんが、そういう雰囲気になっていくかもしれないなっていうのはおぼろげに思っていました。
――なるほど。
谷山:ちょっと大げさですけど、なんだか「BASTARD!!」のオーディションには運命的なものを感じたんですよね。もし受かってD・Sをやれるようになったら、30年近く声優をやってきて積みあげてきた自分の能力を全部このキャラクターに活かすことができるのではないか。そんなふうに自分のなかで「万を持してきた」というタイミングもちょっと感じたので、今の時代に「BASTARD!!」をアニメ化するんだったら俺でいいんじゃないかっていうのは正直思ったかもしれません。
――原作漫画が連載されていた頃は海外のハードロック、ヘビーメタルブームでもありました。リアルタイムで読んでいた谷山さんはいかがでしたか。
谷山:あの頃は本当に流行っていて、くわしい友達と一緒に盛り上がっていた気がしますね。当時中学生だった僕は、いわゆる中2病まっさかりで洋楽のメタルとかバカみたいに聴いていましたから。
――中学の頃から洋楽を聴いているのはすごいですね。
谷山:いやいや、背伸びして洋楽専門の音楽雑誌とかを買って、「邦楽なんて……」みたいなこと言っていた気がします。バカな中学生でしたから(笑)。ある洋楽専門誌のアルバムレビューは当時けっこう辛口で、10点満点で5点をつけられているものもあったんですよ。今は5点なんてつける人いないと思いますが、当時は「うわ、5点だよ、5点!」みたいに盛り上がって逆に買ってみようぜみたいな(笑)。今もそんなにくわしくありませんが、当時はスラッシュメタル、デスメタル、ナパームデスとかが好きで、曲のスピードが速ければ速いほどいいみたいに思っていました。そんなふうに洋楽にかぶれていた中学時代に「BASTARD!!」を読んでいましたから、親和性はすごく高かったと思います。
――コロナ禍の分散収録で、限られた人数でアフレコされていたそうですが、第1期の1話の収録はいかがでしたか。
谷山:ヨーコ(ティア・ノート・ヨーコ)役のともりる――楠木ともりさんは、僕とふたまわり年が離れていて「BASTARD!!」世代ではないのですが、そんな彼女が1980年代後半ぐらいの“ボクっ娘”を演じるのは興味深かったです。本人も80年代や90年代のファンタジー作品にでてくるヒロインの雰囲気みたいなものを勉強してきましたと収録でおっしゃっていたのが印象的でした。80年~90年代の漫画やアニメのノリというかセリフまわしって独特で、ボクっ娘だと「だぞっ」とかニュアンスがけっこう難しくて、最初はなかなか苦戦されていたようです。
――シリアスの途中で急にギャグが差し込まれるところなど、今見ると逆に新鮮な感じもしました。
谷山:そうなんですよね。今の世代の人も「BASTARD!!」を原点に生まれてきた異世界ファンタジー系の作品に多く触れていますし、そうした雰囲気も楽しんでもらえているんじゃないかと思います。
――第1期「闇の反逆軍団編」の収録を振り返って、印象的だったことを聞かせてください。
谷山:ダイ=アモン役の子安(武人)さんと一緒に録ることができたのは、とても良かったなと思いました。コロナ禍前のみんな一緒に録るやり方ができていればいろいろエピソードもあったと思いますが、今回は同時に2、3人で録らなければいけない状況で、ただ幸運にも子安さんとはご一緒することができたんです。
 我々声優にとって、一緒に録って掛けあいができるか別録りかっていうのはまったく違うもので、相手の息や言葉をその場で聞き、それをうけてでてくるセリフというのは別録りとは違うものだと思っています。なので、子安さんと一緒に録れたのはよかったですし、何より子安さんのダイ=アモンがすさまじかったんですよね。完成した映像で聴いてもすごいんですけど、現場での迫力は(声を強めて)ああ、やっぱりさすが子安さんだなって。おこがましいようですけど、収録の最後に、「お疲れさまでした。やっぱり子安さん、素晴らしかったです」とご本人にじかに伝えさせてもらいました。
――配信がスタートした第2期「地獄の鎮魂歌編」の収録の手ごたえや、注目ポイントを聞かせてください。
谷山:「BASTARD!!」の収録は、第1期のときからシンプルに火力が高いんです。高火力のハイボルテージな作品の中心にいるのはD・Sで、まわりの人たちに負けないよう自分がいちばん頑張らなければいけない役どころだと思っていて、じっさいセリフの半分以上が声を張っていたりシャウトしたりしているんじゃないかっていうぐらいなんです。それがD・Sというキャラクターを演じる自分の務めだと考えていて、第2期でもそれがまっとうできているんじゃないかと思っています。
 第2期では十二魔戦将軍と侍軍団が加わって一気にキャラクターが増え、物語の舞台も大きくスケールアップしています。新しく加わった福山潤(マカパイン・トーニ・シュトラウス役)も面白いし、寺島(拓篤/ヨシュア・ベラヒア役)も誠実にやっているし、映像とあわせて声優たちの熱演も楽しんでもらえるとうれしいです。
※谷山紀章さんがゲスト出演した「徳井青空のアニメハックTV #24」もあわせてご視聴ください。
【関連リンク】・アニメハック公式YouTubeチャンネルはこちら

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