Tempalay、1万人超動員の全国ツアー
完走 「とってもいい旅になりました

7月3日(月)、Tempalayが8都市9公演に及ぶ全国ツアー『ドォォォン!!』のファイナルとなる東京公演をZepp DiverCity(TOKYO)で開催した。インディーズ時代の楽曲をアップデートした『from JAPAN 3』のリリースやAAAMYYYの産休などを経て、この規模感では約2年ぶりとなった今回のツアーでは、セットリスト一般応募企画『ドォォォン!!と投票』を実施。投票結果を参考にしたセットリストでファンを喜ばせるとともに、バンドの新たなスタートを刻む充実のツアーとなった。
「今回のセットリスト選定に伴い、みなさまからたくさんの応募をいただきました。集計結果を基に作成した極上のラブ & サイエンスコスモをご堪能ください。なお、セットリストに関する一切の文句、SNSによる誹謗中傷、政治的発言などは受け付けませんのでご了承ください。みなさまのご多幸とご健康をお祈り申し上げます。それではしっかりとケツの穴を引き締めて、行ってらっしゃ〜い」という子供の声のナレーションとともにステージを覆っていた黒幕が開くと、けたたましいノイズとともに巨大な“ドォォォン!!”の文字が浮かび上がり、ライブは『from JAPAN 3』でも一曲目を飾っている「JOE」からスタート。赤を基調とした照明がスネアと呼応するように明滅する中で、序盤からバンドはテンションの高い演奏を聴かせる。
小原綾斗が豪快なギター・リフを奏でる「SONIC WAVE」では中盤で合唱が起こり、アウトロでは小原に加えてサポートのOCHAN(NIKO NIKO TAN TAN/ギター、シンセ)と高木祥太(BREIMEN/ベース)が前方に出て熱狂を生み出し、その様子はまるでスタジアム・ロックのよう。過去曲を現在のモードで再録したからか、2年ぶりの大規模なツアーの締め括りだからか、この日のバンドはどこか吹っ切れたかのように開かれたムードがあり、そこに楽曲ごとにデザインされた素晴らしい照明演出が加わることによって、フィジカルでありながら芸術性の高いステージが進行していった。
「『ドォォォン!!』ツアーへようこそ!どうやら今日はファイナルということです」と小原が挨拶をし、改めて高木とOCHANを紹介すると、今回のツアーで全公演に参加したOCHANは「Tempalayを通じて出会う人がめちゃくちゃ多い」とバンドとオーディエンスに感謝を伝え、温かな拍手が贈られる。「Festival」ではアウトロで小原と高木がドラムを囲んで藤本夏樹とともにサイケデリックなジャムを聴かせ、演奏後に「新宿MARZぶりくらいにやった」と話したインディーズ時代の楽曲「Oh.My.God!!」では、藤本の4つ打ちにOCHANがパーカッションを加えたりと、ライブ中盤では多彩なグルーヴを生み出していく。
「この曲だけ撮影オッケー」と話して始まった新曲「Booorn!!」は、スクラッチをフィーチャーしたオールドスクールなヒップホップ風のトラックが懐かしくも新鮮で、AAAMYYYがソロで歌う《全身全霊の泣きように泣きそうにね 知らずに育つよ こんな小さな心臓が鳴る》という歌詞にグッと来る。この曲を終えたところで改めてAAAMYYYの出産を報告し、小原が「AAAMYYYちゃん復活ということで、ここでラップをかましてもらおうと思います」と話すと「テレパシー」へ。普段はクールにシンセを弾き、コーラスをするAAAMYYYだが、このときばかりはステージ前方に出てラップをするとともにコール & レスポンスを決め、しっかり主役を務め上げるのは流石だ。
チルな雰囲気の中でノスタルジックなメロディーを紡ぎながら、間奏に入ると曲調が一変して、リフの反復とともに小原がお馴染みのステップで飛び回る「あびばのんのん」から、イントロとともに歓声の起こった「大東京万博」では《らっせーら らっせーら》の合唱が起こり、間奏でOCHANがボーイング奏法でノイズを起こしていたのもインパクト大。そのままシームレスに流れ込んだ「のめりこめ、震えろ。」も、いつも以上にハードコアな印象で、手数多くパワフルにドラムを乱打する藤本と、こちらも派手なパフォーマンスで人目を引く高木のリズム隊を軸としたバンドの演奏に対して、オーディエンスも熱狂的なリアクションで応えている。
「今日は僕らから見てもお客さんの熱気が異様な感じがすると言いますか、イヤモニ越しでも声がだいぶ届いております」という言葉にさらに大きな歓声が起こると、改めて今日がツアー・ファイナルであることを話して、ツアー前半でベースを弾き、この日は客席に座っていたODD Foot Worksの榎元駿を紹介。「いつの間にかステージ上がってきてよ」「無理です!」という小原とのやりとりに、場内が笑いに包まれる場面も。そして、小原が藤本を、藤本がAAAMYYYを、AAAMYYYが小原を紹介して、「とってもいい旅になりました。終わり良ければすべて良しと言いますか、次の活力になりました。また何処かで会えたらと思います」と話した小原の様子は、やはり2年の時を経て再びメンバー全員でツアーを完走できることの喜びに満ちていたように思う。
ここからの終盤戦はクライマックスの連続。ミラーボールとスモークによる幻想的な雰囲気の中で演奏された「深海より」、会場中がクラップに包まれた「革命前夜」、ミニマルなループを基調としたアンセミックなダンス・ナンバー「新世代」は、この日一番の盛り上がりを見せたと言っていいだろう。さらに、小原のソングライティングの力量とボーカリストとしての魅力を改めて印象付ける「そなちね」を経て、本編ラストは壮大なスケールの「Last Dance」で見事な大団円を迎えた。
アンコールでは本編で客席に座っていた榎元がステージに登場。「だいぶ緊張感が。ホントにただ観に来たんで」と戸惑いながらもベースを弾いて「GHOST WORLD」を披露すると、最後は再び高木がベースを持ち、榎元がパーカッションを担当する形で、「このツアーで一回もやってない曲」という「Austin Town」を演奏することに。小原が「本来僕ら仕事終わってるんで、あとは楽しんで帰りたいと思います。みなさんも勝手に楽しんで帰ってください。ありがとうございました!」と話すと、パーティー・モードな盛り上がりで全21曲のライブが終了。ここからもう一度走り出すための、非常に有意義なツアーが幕を閉じた。

Text by 金子厚武
Photo by 井手康郎(GRACABI)
【イベント情報】

Tempalay 『ドォォォン!!』

日時:2023年6月1日(木) OPEN18:00 / STRAT19:00
会場:東京・Zepp DiverCity

日時:2023年6月8日(木) OPEN 18:00 / STRAT 19:00
会場:大阪・Zepp Namba

日時:2023年6月10日(土) OPEN 17:30 / STRAT 18:30
会場:宮城・仙台 PIT

日時:2023年6月12日(月) OPEN 18:00 / STRAT 19:00
会場:北海道・PENNY LANE24

日時:2023年6月27日(火) OPEN 18:00 / STRAT 19:00
会場:愛知・Zepp Nagoya

日時:2023年6月28日(水) OPEN 18:00 / STRAT 19:00
会場:岡山・YEBISU YA PRO

日時:2023年6月30日(金) OPEN 18:00 / STRAT 19:00
会場:福岡・Zepp Fukuoka

日時:2023年7月1日(土) OPEN 17:30 / STRAT 18:30
会場:広島・VANQUISH

日時:2023年7月3日(月) OPEN 18:00 / STRAT 19:00
会場:東京・Zepp DiverCity


【リリース情報】

Tempalay 『from JAPAN 3 [LP]』

Release Date:2023.09.06 (Wed.)
Label:Warner Music Japan
Cat.No.:WPJL-10193~4
Price:¥5,500 (tax in)
Tracklist:
[DISC 1 / Side A]
A1. 続・JOE
A2. 続・Austin Town
A3. 続・my name is GREENMAN

[DISC 1 / Side B]
B4. 続・sea side motel
B5. 続・Festival

[DISC 2 / Side C]
C6. 続・新世代
C7. 続・革命前夜
C8. 続・かいじゅうたちの島

[DISC 2 / Side D]
D9. 続・New York City
D10. 続・Have a nice days club

※12インチ・レコード(2LP)

■ Tempalay オフィシャル・サイト(https://tempalay.jp/)
7月3日(月)、Tempalayが8都市9公演に及ぶ全国ツアー『ドォォォン!!』のファイナルとなる東京公演をZepp DiverCity(TOKYO)で開催した。インディーズ時代の楽曲をアップデートした『from JAPAN 3』のリリースやAAAMYYYの産休などを経て、この規模感では約2年ぶりとなった今回のツアーでは、セットリスト一般応募企画『ドォォォン!!と投票』を実施。投票結果を参考にしたセットリストでファンを喜ばせるとともに、バンドの新たなスタートを刻む充実のツアーとなった。
「今回のセットリスト選定に伴い、みなさまからたくさんの応募をいただきました。集計結果を基に作成した極上のラブ & サイエンスコスモをご堪能ください。なお、セットリストに関する一切の文句、SNSによる誹謗中傷、政治的発言などは受け付けませんのでご了承ください。みなさまのご多幸とご健康をお祈り申し上げます。それではしっかりとケツの穴を引き締めて、行ってらっしゃ〜い」という子供の声のナレーションとともにステージを覆っていた黒幕が開くと、けたたましいノイズとともに巨大な“ドォォォン!!”の文字が浮かび上がり、ライブは『from JAPAN 3』でも一曲目を飾っている「JOE」からスタート。赤を基調とした照明がスネアと呼応するように明滅する中で、序盤からバンドはテンションの高い演奏を聴かせる。
小原綾斗が豪快なギター・リフを奏でる「SONIC WAVE」では中盤で合唱が起こり、アウトロでは小原に加えてサポートのOCHAN(NIKO NIKO TAN TAN/ギター、シンセ)と高木祥太(BREIMEN/ベース)が前方に出て熱狂を生み出し、その様子はまるでスタジアム・ロックのよう。過去曲を現在のモードで再録したからか、2年ぶりの大規模なツアーの締め括りだからか、この日のバンドはどこか吹っ切れたかのように開かれたムードがあり、そこに楽曲ごとにデザインされた素晴らしい照明演出が加わることによって、フィジカルでありながら芸術性の高いステージが進行していった。
「『ドォォォン!!』ツアーへようこそ!どうやら今日はファイナルということです」と小原が挨拶をし、改めて高木とOCHANを紹介すると、今回のツアーで全公演に参加したOCHANは「Tempalayを通じて出会う人がめちゃくちゃ多い」とバンドとオーディエンスに感謝を伝え、温かな拍手が贈られる。「Festival」ではアウトロで小原と高木がドラムを囲んで藤本夏樹とともにサイケデリックなジャムを聴かせ、演奏後に「新宿MARZぶりくらいにやった」と話したインディーズ時代の楽曲「Oh.My.God!!」では、藤本の4つ打ちにOCHANがパーカッションを加えたりと、ライブ中盤では多彩なグルーヴを生み出していく。
「この曲だけ撮影オッケー」と話して始まった新曲「Booorn!!」は、スクラッチをフィーチャーしたオールドスクールなヒップホップ風のトラックが懐かしくも新鮮で、AAAMYYYがソロで歌う《全身全霊の泣きように泣きそうにね 知らずに育つよ こんな小さな心臓が鳴る》という歌詞にグッと来る。この曲を終えたところで改めてAAAMYYYの出産を報告し、小原が「AAAMYYYちゃん復活ということで、ここでラップをかましてもらおうと思います」と話すと「テレパシー」へ。普段はクールにシンセを弾き、コーラスをするAAAMYYYだが、このときばかりはステージ前方に出てラップをするとともにコール & レスポンスを決め、しっかり主役を務め上げるのは流石だ。
チルな雰囲気の中でノスタルジックなメロディーを紡ぎながら、間奏に入ると曲調が一変して、リフの反復とともに小原がお馴染みのステップで飛び回る「あびばのんのん」から、イントロとともに歓声の起こった「大東京万博」では《らっせーら らっせーら》の合唱が起こり、間奏でOCHANがボーイング奏法でノイズを起こしていたのもインパクト大。そのままシームレスに流れ込んだ「のめりこめ、震えろ。」も、いつも以上にハードコアな印象で、手数多くパワフルにドラムを乱打する藤本と、こちらも派手なパフォーマンスで人目を引く高木のリズム隊を軸としたバンドの演奏に対して、オーディエンスも熱狂的なリアクションで応えている。
「今日は僕らから見てもお客さんの熱気が異様な感じがすると言いますか、イヤモニ越しでも声がだいぶ届いております」という言葉にさらに大きな歓声が起こると、改めて今日がツアー・ファイナルであることを話して、ツアー前半でベースを弾き、この日は客席に座っていたODD Foot Worksの榎元駿を紹介。「いつの間にかステージ上がってきてよ」「無理です!」という小原とのやりとりに、場内が笑いに包まれる場面も。そして、小原が藤本を、藤本がAAAMYYYを、AAAMYYYが小原を紹介して、「とってもいい旅になりました。終わり良ければすべて良しと言いますか、次の活力になりました。また何処かで会えたらと思います」と話した小原の様子は、やはり2年の時を経て再びメンバー全員でツアーを完走できることの喜びに満ちていたように思う。
ここからの終盤戦はクライマックスの連続。ミラーボールとスモークによる幻想的な雰囲気の中で演奏された「深海より」、会場中がクラップに包まれた「革命前夜」、ミニマルなループを基調としたアンセミックなダンス・ナンバー「新世代」は、この日一番の盛り上がりを見せたと言っていいだろう。さらに、小原のソングライティングの力量とボーカリストとしての魅力を改めて印象付ける「そなちね」を経て、本編ラストは壮大なスケールの「Last Dance」で見事な大団円を迎えた。
アンコールでは本編で客席に座っていた榎元がステージに登場。「だいぶ緊張感が。ホントにただ観に来たんで」と戸惑いながらもベースを弾いて「GHOST WORLD」を披露すると、最後は再び高木がベースを持ち、榎元がパーカッションを担当する形で、「このツアーで一回もやってない曲」という「Austin Town」を演奏することに。小原が「本来僕ら仕事終わってるんで、あとは楽しんで帰りたいと思います。みなさんも勝手に楽しんで帰ってください。ありがとうございました!」と話すと、パーティー・モードな盛り上がりで全21曲のライブが終了。ここからもう一度走り出すための、非常に有意義なツアーが幕を閉じた。

Text by 金子厚武
Photo by 井手康郎(GRACABI)
【イベント情報】

Tempalay 『ドォォォン!!』

日時:2023年6月1日(木) OPEN18:00 / STRAT19:00
会場:東京・Zepp DiverCity

日時:2023年6月8日(木) OPEN 18:00 / STRAT 19:00
会場:大阪・Zepp Namba

日時:2023年6月10日(土) OPEN 17:30 / STRAT 18:30
会場:宮城・仙台 PIT

日時:2023年6月12日(月) OPEN 18:00 / STRAT 19:00
会場:北海道・PENNY LANE24

日時:2023年6月27日(火) OPEN 18:00 / STRAT 19:00
会場:愛知・Zepp Nagoya

日時:2023年6月28日(水) OPEN 18:00 / STRAT 19:00
会場:岡山・YEBISU YA PRO

日時:2023年6月30日(金) OPEN 18:00 / STRAT 19:00
会場:福岡・Zepp Fukuoka

日時:2023年7月1日(土) OPEN 17:30 / STRAT 18:30
会場:広島・VANQUISH

日時:2023年7月3日(月) OPEN 18:00 / STRAT 19:00
会場:東京・Zepp DiverCity


【リリース情報】

Tempalay 『from JAPAN 3 [LP]』

Release Date:2023.09.06 (Wed.)
Label:Warner Music Japan
Cat.No.:WPJL-10193~4
Price:¥5,500 (tax in)
Tracklist:
[DISC 1 / Side A]
A1. 続・JOE
A2. 続・Austin Town
A3. 続・my name is GREENMAN

[DISC 1 / Side B]
B4. 続・sea side motel
B5. 続・Festival

[DISC 2 / Side C]
C6. 続・新世代
C7. 続・革命前夜
C8. 続・かいじゅうたちの島

[DISC 2 / Side D]
D9. 続・New York City
D10. 続・Have a nice days club

※12インチ・レコード(2LP)

■ Tempalay オフィシャル・サイト(https://tempalay.jp/)

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