L→R 桜井 青(Gu&Vo)、村井研次郎(Ba)、石井秀仁(Vo)

L→R 桜井 青(Gu&Vo)、村井研次郎(Ba)、石井秀仁(Vo)

【cali≠gari インタビュー】
いろいろなカラーがあることが
cali≠gariにとってプラスになる

独創的な音楽性や異彩を放つキャラクターなどにより、多くのリスナーからアツい支持を得ているcali≠gariがニューアルバム『16』を完成させた。同作はメンバー3名がそれぞれの個性を発揮した上でスタイリッシュ&エモーショナルな世界にまとめた手腕が活き、多彩さと密度の濃さを兼ね備えた佳作に仕上がっている。年を追うごとに魅力を増していることを実感させるcali≠gariの全員インタビューをお届けしよう。

それぞれの個性が
折り重なっているのがcali≠gari

今作の制作にあたってテーマやコンセプトなどはありましたか?

桜井
ナンバリングを冠したアルバムを作る時は、いつも“こういうアルバムにしよう”というアバウトなコンセプトみたいなものを立てるんです。例えば前回の『15』(2021年12月発表)でしたら“エネルギッシュなもの”とか、『13』(2017年5月発表)は“ダークな感じ”というふうにやっていたんですけど、今回は特にそういったものは設けず、昔からcali≠gariがやっているように、メンバーそれぞれが曲を出して各々のコンセプトを活かすかたちにしました。だから、昔よく言っていた“おもちゃ箱をひっくり返したようなアルバム”になりましたね。いろんなおもちゃが箱の中に入っていて、それがちょっと大人のおもちゃになったみたいな(笑)。『16』はそういうアルバムです。

幅広さを見せつつも楽曲の世界観が深いため散漫さはなく、非常に密度の濃い一作になっています。それに、スタイリッシュな楽曲が並んでいることも印象的です。

桜井
そこに関しては以前から意識していて、今は自然とそうなっている感じですね。解散する前までのcali≠gariは背伸びしていたと思うんですよ。復活してもう13年が経つわけだし、メンバーみんなの音楽的な知識やコンポーザー/プレイヤーとしてのスキルといったものもアップデートされていくじゃないですか。それが自然にいい方向に出たんじゃないかと思います。

自然体でこういうお洒落な音楽を作れるのは大きな強みと言えますね。アルバムに向けて曲を揃えていく中でキーになった曲などはありましたか?

桜井
先駆けて「16 予告版」(2023年1月発表)というシングルを出したんですけど、そこで「狂う鐫る芥」と「燃えろよ燃えろ」の2曲をとりあえず録って、結果的に『16』のリード曲になった「銀河鉄道の夜」もすでに出来上がっていたので、前回に引き続き死生観にまつわるさまざまなことが『16』のテーマになっていますね。『15』の時もそうでしたけど、年齢を重ねてある程度自分が完成していくと書くことがなくなっていくから、最終的に誰もがぶち当たる死生観がテーマになっていくという。歌詞をメンバーひとりが書いているバンドさんなんかは作品のテーマが散漫にならないからちょっと羨ましいですよね。うちはメンバーそれぞれが歌詞を書くので、死生観が全体を通したテーマにはなっていない。石井さんに歌詞を全部任せてもいいんですけど、きっとお断りされるんですよ(笑)。
石井
そうですね(笑)。うちはみんな強烈だし。だから、自分が作った曲の歌詞を書くのは全然いいけど、他のふたりが作った曲も書くとなったら、全て自分の世界観になるわけじゃないですか。それはどうなんだろうと思う。やっぱりそれぞれの個性が折り重なっているのがcali≠gariなんじゃないかと思うんですよ。だから、全曲の歌詞を書く気はないです。
桜井
それが“おもちゃ箱をひっくり返したようなアルバム”ということにつながっているんですよね。だけど、みんなが向いている方向が一緒だから、それでいいんじゃないかと思う。3人が向いている方向が同じであれば、いろんなカラーがあることがcali≠gariにとってプラスになるととらえています。

『16』を聴かせていただいて、それは強く感じました。それに、先ほど“最終的に死生観を書くようになる”という言葉がありましたが、確かににそうかもしれないという気がします。

桜井
ビジュアル系の作法として人の生き死を書くというのがあるけど、作りやすいから最初はこの形骸化した方向に行きがちなんですよね。“血まみれの塊”やら“あなたを殺したら”やら(笑)。でも、みんな途中で気づくんですよ、“いや、ちょっと待て。他に何かあるだろ?”と(笑)。このバンドも時代とともにテーマやスタンスを確立していって、最終的に正しく死生観を考察するに至った感じですかね(笑)。あと、これはタイミング的なお話なんですけど、昨年、倍賞千恵子さんが主演されている『PLAN75』という映画を観たんですね。人間は75歳になったら安楽死を選ぶことができるという少子化高齢化社会への警鐘を鳴らしたような映画で、かつて感じたことがない気持ちになったんです。そんな時、ふっと“私、こんなに幸せでいつかブルースに殺される”ってジャニス・ジョプリンが言っていたの思い出して。追い込まれて死を選ばされるよりも幸せなうちに死を選びたい。そんなことばかり考えていたら書かずにいられなくなって、“豊かな死”“幸せな死”とは何なのかを、自分の歌詞の中に落とし込みました。
L→R 桜井 青(Gu&Vo)、村井研次郎(Ba)、石井秀仁(Vo)
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OKMusic編集部

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