トリハチのイナラ・ジョージ、ショー
ケース・リポート

ザ・バード・アンド・ザ・ビーの片割れ、またはリトル・フィートの伝説的スライド・ギタリスト故ローエル・ジョージの娘、世に言われてるいずれのパブリック・ イメージ(筆者が勝手に想像していたものも含む)と符号しない……先ごろ初のソロ・アルバムが日本でもリリースされたソロとして初となるイナラ・ジョージのショウを見に行った印象だ。
2月22日(金)表参道ライヴ・ハウスFABで行われたスペシャル・ショーケース・ライヴ。昨年フジロックにも登場したスタイリッシュなエレクトロ・ポップ・ユニットから一転イナラのソロ作『オール・ライズ』は、なんとも温かみのあるフォーク作品に仕上がっている。
出て来ていきなり隣にいたオーディエンスから“見た目は昔のスザンヌ・ヴェガ、声はジョニ・ミッチェル——”なんて聞こえて来たが、なかなか言い当てていると思った。
ただ音楽的にはフォークからサイケデリックな世界観などもっと幅広くそしてポップな要素を含む。哀愁の帯びた「Fools Work」の微妙浮遊感を帯びたメロディなどは彼女独特のスタイル。今回のショウはプロデュースも務め映画のスコアなどでも幅広く仕事が知られるマイケル・アンドリュースとのデュオ。部分的に打ち込みを入れたりしているアルバムに比べると楽器が2つでのみで質素な印象だが、豊かなソングライティングの輪郭はより際立っていた。後半に披露された「No Poem」のキラキラと美しいギターの音色など往年のソングライター・ファンもやられること必至。今回はショーケースのみの来日ということなので、次回の来日公演を切に願うところだ。

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OKMusic編集部

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