【明田川進の「音物語」】第67回 O
VA「銀英伝」とつながりのあった「T
YTANIA -タイタニア-」のキャスティ
ング

 田中芳樹さんの「タイタニア」をテレビアニメ化した「TYTANIA -タイタニア-」は、OVA「銀英伝」からの流れで音響監督を担当することになりました。「銀英伝」にも関わっていたプロデューサーの菊川(幸夫)氏が自分で会社を立ちあげられて、「タイタニア」を映像化したいと動いて実現したんです。
 「TYTANIA」は「銀英伝」よりも少しフランクな雰囲気がだせたらと、ある程度誇張された芝居をぽーんとだせるような人に多くでてもらっていると思います。この頃はたくさんの人にでてもらった「銀英伝」の経験もあって、こういうキャラクターならこの人にお願いしようと分かっていましたし、監督の石黒昇さんともツーカーでしたから、決めうちでお願いした人がずいぶんいたはずです。パッと思い出す方だと武虎さん(※ザーリッシュ・タイタニア役)の演技が面白かったのと、矢作紗友里さん(※リラ・フローレンツ役)や保志総一朗さん(※バルアミー・タイタニア役)にリアル寄りのキャラクターを演じてもらったのが印象に残っています。
 「TYTANIA」では、OVAの「銀英伝」に何かしらの役ででているけれど、メインでは関わっていない人たちが多くキャスティングされているんですよ。もしかしたら後付けかもしれませんが、当時からそういう意識をもってキャスティングしていたと思います。例えば、「銀英伝」でラインハルトの姉(※アンネローゼ・フォン・グリューネワルト)を演じた潘恵子さんに「TYTANIA」ではナレーションと乳母役を演じてもらうといった感じです。OVA「銀英伝」のキャスト陣をよくご存じの方からみると、そうしたつながりが見えたかもしれません。
 「TYTANIA」の音楽はオーケストラでした。同じオーケストラでも「銀英伝」は以前お話したとおりアーカイブ音源を使うことがほとんどでしたが( https://anime.eiga.com/news/column/aketagawa_oto/106514/ )、「TYTANIA」では神奈川フィルファーモニーオーケストラに演奏してもらい、めぐろパーシモンホールというところで録音しました。音楽を手がけたのは高木洋さんです。
 僕のなかでは田中芳樹さん原作の「銀英伝」と「TYTANIA」、前回お話した「グイン・サーガ」の3作品は、小説が原作、キャストの多さと会話劇、オーケストラによる音楽など、ひとつの流れとして手がけてきた感覚があります。小説のアニメ化はもとになる絵がないぶん難しい面もありますが、そのぶん“しがい”があってどれも楽しい仕事でした。

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