柚希礼音、美弥るりから女性キャスト
が美しく力強いショーを繰り広げる 
SHOW-ism Ⅺ『BERBER RENDEZVOUS』会
見&ゲネプロレポート

小林香が創造する、洪水のようなソング&ダンスと共に彩り豊かな演出で上質なステージ、SHOW-ismシリーズ。第11弾となる今回は書き下ろしの最新作『BERBER RENDEZVOUS』(ベルベル・ランデヴー)が上演される。メインを担うのは、宝塚歌劇団星組のトップスターとして絶大な人気を集め、2015年に退団して以降も舞台や映像で精力的に活動する柚希礼音と、2019年に宝塚歌劇団退団後はジェンダーフリーな表現者として活躍する美弥るりか。さらにJKim、佐竹莉奈、鈴木瑛美子、宮本美季、原田薫、菅谷真理恵、中嶋紗希、RISA、宮城ユリカという個性的なキャストと日替わり豪華キャスト、オール女性キャストによって華やかなショーが展開される。
ゲネプロに先駆けて、柚希礼音と美弥るりか、作・演出の小林香による会見が行われた。
――まず小林さんにお伺いします。今回11回目ということです、内容や演出についてお聞かせください。
小林:おかげさまで2クール目にきたという実感があります。今回はゲストを含めて全員女性のみ。この世相ですので、シンプルにかっこいい、美しいといった感情を楽しむために劇場に来ていただきたいと思っています。
――見どころをお願いします。
柚希:宝塚を退団するとショーをやる機会が中々ないので、とても楽しみにしておりました。お稽古が始まったら、振り付けの数が凄くて。宝塚の倍くらいあります。すごい数の場面があり、歌と踊り、お芝居もあるのでいろんな見所があると思っています。観てくださる方によって刺さるところも違うでしょうし、小林さんの作品に出演する度に思いますが、女性の背中を押すようなセリフや歌詞もたくさんあります。楽しんでいただけると思いますね。
――男役は久々だと思いますが。
柚希:そうなんです。とても大変ですが、女性が男役を演じているという設定でもあるので、丁寧にやっていきたいと思っています。
美弥:一瞬で切り替わっていらっしゃいました。宝塚時代、下級生として一時期ご一緒させていただいていましたが、その頃見ていた背中、みんなを引っ張るエネルギーを久しぶりに感じました。当時よりもさらに進化されているので、緊張感がありますね。また、私は退団後、女性らしい役を演じることがあまりなくて。こんなに女性感を出すのは初めてかと思います。自分の新たな表現力を見せられるよう、一生懸命やりたいなと。さらにゲストを含めて12名のキャストが常に七変化を見せるので、走り続けるショーになると思います。
――柚希さんと美弥さんは長いお付き合いですが、お互いの第一印象と今の印象を教えていただけますか。
柚希:最初からスタイルがよくて可愛かったです。新人公演で私の役を演じてくれた時は毎日いっぱい質問してくれたので、なるべくいろんなことを教えました。涙涙で月組に送りましたが、こうしてまた共演できるのは奇跡のようだと思います。今も相変わらず可愛いな、おしゃれだなと思いますね。
美弥:私にとって柚希さんは入団した時からスター。音楽学校時代から有名人でした。初対面から雲の上の存在だった方と卒業後にご一緒させていただき、お話しているうちに舞台での勢いのある柚希さんではなくすごく癒し系な素顔が見えてきました。いつも癒されてぬくぬくしています。内面の繊細さや優しさに触れ、ちょっと近付けたことがすごく嬉しいですね。
――最後に、意気込みをお願いします。
小林:会見で作品の見所を言わなきゃいけないと思ったんですが、たくさんありすぎてどこだか分からないという話をみんなとしていました。自画自賛しているわけではなく、作中で5つの短編が描かれ、いろんな音楽とキャストたちの多種多様な魅力が散りばめられているからです。どこかしらに喜びや楽しみを見出していただけると思います。また、映画を作るという流れの他にこの2人(柚希と美弥)が最初とても険悪なところから変化していくというストーリーもある。そこもショーで作っているため、楽しめるはずです。気楽な気持ちでお越しいただけたら嬉しいです。
美弥:11名のキャストとゲストさんが歌、ダンス、芝居と全てを出し切り、様々な役に挑戦して、いろんな変化を皆さんにお見せします。そのエネルギーをお客様にお届けできるよう、やれることは全部やってきました。みんなで千秋楽まで無事に走り抜けたいと思いますし、柚希さんと私の仲が悪いバディがどう変化していくかという展開・ストーリーも、ショーと一緒に楽しんでいただきたいです。
柚希:シアタークリエの客席数と距離でショーをするのは初めての経験です。劇場を砂漠にしてものすごく掻き乱しますので、風といろんな思いを感じに、ぜひお越しいただければと思っております。
続いてゲネプロの様子をお届けしよう。
ゲネプロではスペシャルゲストとして愛月ひかるが登場した。
>(NEXT)ゲネプロレポート

<あらすじ>
「あんたとだけは会いたくなかった!!なのに、砂漠でランデヴー。」
パリで映画撮影のはずが、サハラ砂漠にポツンと建つスタジオに連れてこられた曰くありげな女たち。謎のクライアントからのオーダーは、ここにしばらく滞在して映画を一本撮影せよ、テーマはかくかくしかじか、タイトルは「ベルベル・ランデヴー」とのこと。
ここは電波圏外、交通手段なし、あるのは見渡す限りの砂と空。しょうがない、やるっきゃない。しかも報酬は聞いていたよりもなぜか高い。
世界中から集まった女たちは、急ごしらえの凸凹チームでドタバタと撮影を進めていく……。

謎のクライアントから依頼を受けた彼女たちは、国籍も抱える事情も様々。だが、会話の内容からそれぞれの生い立ちや個性が見えてきて一人ひとりの魅力に惹きつけられる。
男性がいない中で「人間とは」というテーマを表現するために、柚希を男役に据えたサイレント映画、個性的なヒロインたちにスポットライトを当てた映画、彼女たちのありのままを見せるドキュメンタリー、カラフルで幻想的なファンタジー、家族の歴史を描いた映画と、様々な手法で挑んでいくのが面白い。柚希と美弥のディエットダンスを始めとするしなやかで艶のあるダンスや歌唱力を活かしたパワフルで美しい楽曲たち、舞台美術や照明が化学反応を起こし、見応え十分なショーが繰り広げられる。
それぞれの短編から受ける印象、伝わるメッセージが違うのに加え、撮影する映画とは別に、柚希と美弥が演じるバディの過去に関するストーリー、映画制作を依頼したクライアントに関する謎といったストーリーもあるため、会見で出た通り、どんな人にも刺さるシーンや歌詞、セリフがあるだろうと感じた。
また、撮影が進み、彼女たちの関係性が深まっていくのに並行して、短編映画の内容もダークなものや個々の強さを描くものから、人との繋がりを描いたあたたかい印象へと変わっていく。最初は険悪だったバディが映画制作を通してそれぞれの想いや立場を理解し、距離を近付けていく姿に引き込まれる。
そして、日替わりのスペシャルゲストの見せ場も十分。出番は少なめながら強烈な印象を残すキャラクターであり、アドリブではないかと思われるやり取りも。それぞれのゲストがどう演じるのか楽しみになった。
小林が「シンプルにかっこいい、美しいといった感情を楽しんでほしい」と語っていたように、彼女たちのパフォーマンスを素直に受け止めるだけでも楽しめる本作だが、コミカルなシーンが伏線になっていたり、キャラクターたちの心情の揺れや変化が繊細に描かれていたりと、発見も多い。ぜひ劇場に足を運び、自分なりの楽しみ方を見つけてほしい。
本作は11月20日(日)〜12月5日(月)まで、シアタークリエで上演される。
取材・文・撮影=吉田沙奈

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