今年のTIFから見えた、アイドルシー
ンの次の潮流とは? 期待のグループ
たちの特徴を探る

(参考:多様化するアイドルオーディション グランプリ以外の賞が増えている理由とは?)

 同フェスは女性アイドルグループを中心に、138組のアーティストが出演する、日本最大規模のアイドルイベント。過去にはももいろクローバーZ(出演当時はももいろクローバー)なども同フェスを足がかりにブレイクしたと言われ、アイドルシーンにおけるネクストブレイクが発掘される場としても注目を集めている。5回目の開催となる今回も、多数のアイドルが出演し、会場を大いに盛り上げた。

 今年のTIFを観たアイドル専門ライターの岡島紳士氏は、次のようなシーンの変化を指摘している。

「今回のTIFへの来場者数は、裏に私立恵比須中学や、ハロー!プロジェクトのコンサートがあるにもかかわらず、昨年の約3万3000人から8000人以上増え、4万1282人を記録しました。これは、アイドルというジャンルが好きな層が増えたことにより、市場全体の規模が広がったということを意味すると思います。アイドルファン増加の影響はシーン全体にも及んでおり、かつては300~500人規模のワンマンを行うのも困難だったのが、今や少しでも良いグループが出てくると、1000人以上の規模までスムーズに到達できるようになりました。そのため、中堅クラスのグループ(世間的には知られていなくとも、アイドルシーンでは有名といえるグループ)が増えており、『ブレイク』の感覚が世間一般と乖離してきています。ある意味ではシーンが成熟しており、いわばアニメ、マンガなどの他のオタク系ジャンルや、あるいはロックシーンと近い感覚になってきたのかもしれません」

 同氏はこうした状況を踏まえた上で、今後、アイドルシーンの中で盛り上がりそうなグループをいくつか挙げた。

「これから1000人以上の規模に届きそうなのは、スターダストの先輩グループに続こうとしているたこやきレインボーなどでしょうか。東京パフォーマンスドールも実力があるので、それを超える規模まで上がっていくのは難しいことではないと思います。また、11月に1000人規模の恵比須・LIQUIDROOMでのワンマンが決定しているlyrical schoolや、TIFのSMILE GARDEN(野外ステージ)の盛り上がりが話題となっているライムベリー、メジャーデビューを控えているprediaも、これから集客が伸びていきそうです。イラストコミュニケーションサービス・pixivを運営するピクシブ株式会社が新たに展開するアイドルプロジェクト『つくドル!』から生まれたグループ“虹のコンキスタドール”にも注目したいところ。彼女たちは竹中夏海さんが振り付けを、前山田健一(ヒャダイン)さんが作曲を担当し、プロデュースにはでんぱ組.incを手がけたもふくちゃんが名を連ねています。TIF当日にお披露目された際は、MCでずっと号泣している子がいて、早くも目立っていましたね」

 また、上記のグループが活躍しそうな要因を、同氏は以下のように分析している。

「たこやきレインボーや東京パフォーマンスドール、prediaなどは大手事務所の所属で、先輩にはすでにブレイクしているグループがいるため、認知も広がりやすく、すぐにある程度の規模までは大きくなるでしょう。しかし、中小の運営だと経営的な体力やコネクションなどの武器がないため、他のグループと何らかの差別化ができていないといけません。中小といえるかは判断が難しいところですが、電波ソングを主軸としたでんぱ組、アイドルカルチャーをメタ的な視点で捉え活動を展開したBiSなどがその成功例です。彼女たちのように楽曲やパフォーマンスなどのコンセプトでいかに差別化を計るかが、ネクストブレイクのカギになってくるのかと思います。前述のグループでいえば、ライムベリーやlyrical schoolは、ヒップホップ・ラップを取り入れたスタイルが特徴ですね」

 シーンが成熟することにより、多様なスタイルが生まれている昨今のアイドルシーン。今回、岡島氏が挙げたグループのほかにも光る逸材は多いので、改めてシーン全体を眺めてみても面白いかもしれない。(リアルサウンド編集部)

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