【仲村宗悟 インタビュー】
より仲村宗悟というものを
感じてもらえる作品にしたかった
「JUMP」だけじゃなくて、
ぜひ3曲セットで聴いてほしい
続いて、3曲目の「オブラート」にいきましょう。
2020年の夏頃に作った曲ですね。これはすごく“美メロ”ということを意識しました。コードとメロディーが本当に融合しているというか、芸術的な曲を書きたいという気持ちになって。そう思いながら曲を作っていたらメロディーが降りてきて、そこから一節一節を大事にしながら紡いでいって1コーラスを完成させました。歌詞はメロディーを邪魔しない、角のないものにしたいと思ったので、角ばっていない言葉や言い回しを大事にしましたね。で、出だしの《透明な膜が僕を包んでるみたいだ》という言葉が出てきた瞬間に、タイトルは“オブラート”にしようと決めたんです。
この曲も歌詞の中に“オブラート”という言葉は出てこないんですよね。
そうなんです! この曲も「てこと」と同じで、歌詞全体の意味を表す言葉をタイトルにしたいという想いがあったんです。ただ、1番はスッと書けたけど、2番以降の歌詞が全然書けなくなってしまったんです。それで、数カ月も開いたんですよ。フルサイズの構成やアレンジが11月にできて、それから急いで録りました(笑)。
“時間もないし、今回はこれでいいや”で済まさないのは仲村さんらしいです。「オブラート」は美しいメロディーを活かしたバラードでいながら、歌詞はもがいている心情が描かれていますね。
この歌詞の主人公の男は甘ちゃんというか。“俺は本当の自分を見せたいと思っているよ。見せたくて膜を剥がそうとしているけど剥がれないんだよ”と言っているけど、最後は“溶かしてほしい”と言っているんですよ。つまり、自分で剥がすんじゃなくて、結局は他人任せなんです。そういう人物像を描いてみました。
いろいろな理由をつけて始めの一歩を踏み出さない人は、自分がそこまでの覚悟を決めていないことが多い気がします。もうひとつ、「オブラート」は静かに始まって、どんどん盛り上がっていく流れも心地良いです。
かなりドラマチックに仕上げました。この曲は大胆で、かつ贅沢なアレンジにしようと。出だしは最小限の音数で、かなり静かな世界にしたいという話をさせてもらったんです。そういう手法をとることで、より後半の盛り上がりを際立たせることができたんじゃないかと思います。
強く惹き込まれる一曲になっています。今回のシングルはカラーの異なる3曲が収録されていて、より仲村さんのアーティスト像を味わえる一作になりましたね。
今回は“トリプルA面”みたいなシングルにする気はなかったんです。おっしゃられた通り、より仲村宗悟というものを感じてもらえる作品にしたかったので。そういうものにはなったと思うから、「JUMP」だけじゃなくて、ぜひ3曲セットで聴いてほしいです。
本当にそう思います。さて、2020年は世界が痛みや苦しみを感じる一年になってしまいましたが、2021年はどんな年にしたいと思っていますか?
僕にとって2020年は“待つ”という感覚が強い一年だったんですよね。2019年の10月にデビューして、2020年はガンガンいきたいと思っていたのに、デビューから数カ月で思うように活動できない状況になってしまったから。でも、僕の中には今のこの状態だからやれることをやろうという気持ちがあって、それはチームのみんなも同じだったんです。だから、この状況の中でも動くことができた…それこそ配信シングルも急きょ出すことを決めてリリースしたんですよ。2021年がどういう状態になるかはまだ分からないけど、コロナが収まらなくても、その中で自分がやれることを一歩一歩やっていきたいですね。エンターテインメントの灯を消したくないから、みんなの心の栄養になるようなものを作り続けたい。どういう状態であれ、僕自身がナーバスになってしまうことは絶対にないです。
取材:村上孝之
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シングル「JUMP」2021年2月10日発売
Lantis
- 【初回限定盤】(CD+Blu-ray+フォトブック)
- LACM-34013
- ¥2,800(税抜)
- 【通常盤】(CD)
- LACM-24013
- ¥1,300(税抜)
ナカムラシュウゴ:1988年7月28日生まれの沖縄県出身。中学生の頃にギターにのめり込み、音楽の楽しさを知る。高校卒業後、音楽の道を志し東京に上京。その後、友人の舞台を観劇したことがきっかけで 声優を目指すようになり、ゲーム『アイドルマスター SideM』の天道輝役に大抜擢される。その後も「TSUKIPRO THE ANIMATION」久我壱星役を担当するなど活躍中。19年3月に第13回声優アワード新人男優賞を受賞。同年10月にはシングル「Here comes The SUN」でアーティストデビューを果たした。仲村宗悟 オフィシャルHP
「JUMP」MV