レーベル『TOKYO RABBIT』代表の
堂野晶敬に訊く【前編】
“進んだ先に何か待っているだろう”

血の通った音楽を提示する
『TOKYO RABBIT』を設立

彼は都度変わる方向性を“挫折”と称していたが、ある意味それは自分が本当にやりたいことを探し続けていった旅のようにも感じる。そこから再び自身の創作活動に戻った経緯にも触れてみよう。
「ほんと作家時代はいろいろと創作の勉強になり、今役立っていることも多いです。作家の仕事ってまずは楽曲のテーマがあり、それに沿った内容を曲化していくものが中心なんですよ。それなりの曲が出来るものの、どうしてもそれはコンペ概要に沿って表面的に形作られたもので、自分の真の心の内や想っていること、考えていることの中から生まれたものでないことに、ある種のジレンマもあったんです。そんな中、自作の曲でも心に残っている曲の多くは、誰か特定の相手に向けて捧げたり、自分が心の底から思ったり感じたものを率直に歌に託した曲ばかりだったことに想い当たって。やはり自分がなりたいものは作家ではなく、自分の中から沸き出たものを歌にしていくことなんだと改めて気づいたんです」
そこで始めたのが法人『TOKYO RABBIT』なのだが、この社名の“RABBIT”は童話『不思議の国のアリス』に出てくるウサギを指す。同物語同様、日常に退屈さを覚えている人たちの手を引っ張り、不思議な世界で一緒に遊ぼうと誘う、そのコンセプトから名付けたとのことだ。

これまでのリリース作品は内容もさまざまだ。各人、堂野が作った楽曲を歌いながらも、そのサウンドアプローチや各位持ち前の特性を活かした歌唱とともに、各々しっかりとしたオリジナリティーを醸し出しているものばかりだ。
「その辺りこそ、作家時代に培ってきたものが活かされています。しっかりコミュニケーションを取りながら作っていることもあり、各人の胸の内を知りつつ、それに合わせたものを的確に提示できるというか。いわば各人に沿いながらも、自分もその人に成り切って各曲提供しています。そんなことを語るとプロデューサ―的な役割に映るでしょうが、そのような意識はまったくなくて。音楽のプロデュースこそしますが、自身のプロデュースはあえて各位に任せています」

基本、このレーベルTOKYO RABBITは、経理や事務、宣伝などを除いて堂野ひとりで運営されている。
「少人数で運営をしているので、行なう作業や業務も煩雑ですが、逆に、より血の通った音楽を徹底的に作り込めるメリットもあります。介在や媒体を通さず、よりフェイス・トゥ・フェイスでダイレクトに想いを楽曲に込められる。そういった意味でも配信リリースは有効です。CDに比べリリース対応もギリギリまで可能だし。おかげさまで毎回納得のいくまで作り込んでます」

OKMusic編集部

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