【キュウソネコカミ インタビュー】
ギリ昭和の世代がギリ平成に送る
ポップでリアルなロックアルバム
深みのあるバンドだってことに
そろそろ気付いてほしい
今作は“ギリ平成”というアルバムタイトルで、「ギリ昭和」なんて曲もありますが、やはりギリ昭和生まれで平成をまたいでってところで思うところもありました?
ヨコタ
昭和や平成がどうって話も懐かしむこともないんですけど、そういうことじゃなくて、時代が変わる瞬間に立ち会えてることはすごいことだと思うんですよ。せっかく音楽をやってて、こういうテーマも歌にできるバンドだし、“これをいじらない手はない!”って気はしてました(笑)。あと、昭和って突然終わったけど、平成は予告して終わりますからね。このタイミングで曲として残しておけるのは良かったなと思います。
《繋ぎ目はうまく捌く任せとけ》って歌詞もこの世代じゃないと歌えないと思いました。
ヨコタ
イベントに出た時とかに実感することがあって。上の世代と下の世代は大きな塊があるんですけど、実は僕らの世代の塊って結構小さくて。
確かに! 昭和と平成の間の世代かも。
ヨコタ
誰とも手をつないでないというか、宙ぶらりんみたいな状況があるんです。その分、垣根なくどっちの世代とも対バンできるっていう良いところもあるんですけど。デビューした頃には年下が多かったし、大きいイベントに呼んでもらうと30歳なのに若手に見られるし(笑)。そういう経験をたくさんしてきて、その感じの自覚もあったから、それが“ギリ昭和”とか“ギリ平成”ってテーマにもつながってると思います。
なるほど。でも、今作を聴いても「真面目に」みたいな昭和の考えに、「推しのいる生活」や「馬乗りマウンティング」みたいな平成の感覚にと、“ギリ昭和”生まれならではのキュウソが“ギリ平成”の今をちゃんと歌えてると思いました。
ヨコタ
「ギリ昭和」で歌いたいことも結局はそういうことですからね。拗ねたことも言いながら、最終的には“新しい時代に備えようぜ”って前向きな気持ちを歌っているんで。
そうですね。あと、セイヤくんの歌詞って自分の視点から見えることを自分の考えとして伝えた上で、“これってどう思います?”って問題提議して相手に考える隙を与える表現だなって。本来、アンチイズムや間違ったことにノーと言うのがロックやパンクの表現だけど、それとも違った他にない表現だと思うんです。
ヤマサキ
あ~、“これってどう思います?”はそうっすね。あと、断言はしないです。基本的には説教は好きなんで、“変なことやってんな”って思った奴に“こうしたらええのに”って言いたくなるんです。でも、最近はできるだけ言わんようにしようと思ってて。面倒臭いし、言い返されるし、そんなんそいつの人生やし、勝手に破滅すればええやないですか(笑)。もう言わんようにしてるから、それを歌詞に持ってくるんです。だから、まさに“こんな奴おったんですよ、どう思います?”って感じですね。説教ではないし、断言もしてない。
ヨコタ
あと、そもそも自分のことを偉いと思ってないところが大きいかもしれないですね。パンクにできる人って自分を大きく見せないと成り立たないと思うんですけど、セイヤはそれがないんで。“まぁ、俺も大した奴じゃないですけどね”っていうのを出すし、闘いたいつもりもなければ、敵を作りたいわけじゃないですからね。
“それ、俺のことか?”って凄まれたら、“いやいや、そうじゃなくて…”って言うだろうしね(笑)。
ヨコタ
そういうこと言ってくる奴って、“歌詞よく読んでる?”って思いますよね。“お前、そういうところだよ!”って。まぁ、口に出して言わないですけど(笑)。
ヤマサキ
“ヤベェ奴は病気だって思え”ってゴールデンボンバーの鬼龍院 翔さんが言ってたし。まったく意味が分からんこと言ってる奴とか、突っかかってくる奴はミュートしてます(笑)。
ヨコタ
“どう思います?”っていうのに加えて、“それでええのか?”って歌詞もセイヤだと思いますね。他の人はやらないし、できないスタイルを確立してると思います。
そうですね。だから、熱くシリアスなことも歌ってる「The band」や「越えていけ」が入ってるのもすごく良くて。これらの曲があるから他が引き立つところもありますね。
ヨコタ
シングル曲は頼りになりますね(笑)。「The band」で良い曲を作ったって空気感があったし、それがあったから自信を持ってツアーを回れたことも大きくて。この曲があるからふざけた曲もやれたし、がっかりされることもないなって。
ソゴウ
だから、このアルバム聴いて、深みのあるバンドだってことにそろそろ気付いてほしいですね。
深みのあるバンドは自分で言わないですけどね(笑)。
ヨコタ
あはは。ワンマンに来てくれるお客さんはふざけてるだけじゃないってことも分かってくれてるし、ちゃんと俺らのことを理解してくれてると思ってますけどね。
ヤマサキ
まぁ、深みなんてね、なかなか出せないですよ(笑)。SNSとかの距離感もインディーズの頃から何も変わってないし、電車も普通に乗るし…“電車に乗るんですね”って言われて“乗るっちゅうねん!”とか言ってるから深みも出ないんでしょうね。アーティストとして手の届かないような、高尚な感じが出せたら深みも出ると思うんですけど。先輩バンドとかは高尚な感じがする人も多いし、凄みも感じるけど、僕らがそういうところに行けるのはまだまだやなと思います。
ヨコタ
そうじゃないところから出てきちゃったからな、俺ら。今からカッコ付けても演出になっちゃうしね(笑)。まぁ、俺たちは無理して大きく見せずに、こういうかたちでやらせてもらってるのが合ってると思いますよ。
高尚なところからの“どう思います?”は意味が変わっちゃうから。“セイヤ様の言うことは絶対!”になると話が違ってくるんで、リアルヒーローでいるのがいいんじゃない?
ソゴウ
まぁ、化けの皮が剥がれていく人たちもいる中、俺たちのリアルさやマジさが伝わって、“こいつらすごかったんだ!?”と思わせたら自然と深みや凄みにつながっていくと思うんで、過剰な嘘はつかず、リアルを貫いていくしかないですね。
取材:フジジュン
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アルバム『ギリ平成』2018年12月5日発売
Getting Better Records
- 【完全限定生産盤(DVD付)】
- VIZL-1473 ¥3,800(税抜)
- 【通常盤】
- VICL- 65077 ¥2,600(税抜)
『DMCC REAL ONEMAN TOUR 2018
-EXTRA- ~PAINT IT WHITE!!!~』
11/21(水) 東京・新木場STUDIO COAST
11/27(火) 愛知・名古屋DIAMOND HALL
12/03(月) 大阪・なんばHatch
『DMCC REAL ONEMAN TOUR 2019 -Despair Makes Cowards Courageous- ~ギリ平成~』
1/22(火) 千葉・千葉LOOK
1/23(水) 東京・Zepp DiverCity Tokyo
1/26(土) 香川・高松Olive Hall
1/27(日) 愛媛・松山WstudioRED
1/31(木) 神奈川・F.A.D横浜
2/01(金) 埼玉・北浦和KYARA
2/03(日) 山梨・甲府CONVICTION
2/06(水) 広島・CLUB QUATTRO
2/08(金) 福岡・DRUM LOGOS
2/09(土) 長崎・Drum Be-7
2/11(月) 宮崎・SR HALL
2/14(木) 兵庫・神戸 太陽と虎
2/15(金) 大阪・Zepp Osaka Bayside
2/17(日) 京都・磔磔
2/18(月) 和歌山・CLUB GATE
2/20(水) 島根・出雲APOLLO
2/21(木) 岡山・YEBISU YA PRO
2/26(火) 静岡・清水SOUND SHOWER ark清水
2/28(木) 愛知・Zepp Nagoya
3/01(金) 三重・Club ROOTS
3/06(水) 北海道・札幌PENNY LANE 24
3/07(木) 北海道・旭川CASINO DRIVE
3/09(土) 北海道・釧路NAVANA STUDIO
3/11(月) 北海道・苫小牧ELL CUBE
3/19(火) 宮城・仙台Rensa
3/21(木) 秋田・club SWINDLE
3/22(金) 青森・Quartor
3/24(日) 宮城・石巻BLUE RESISTANCE
3/25(月) 茨城・水戸LIGHTHOUSE
4/01(月) 長野・CLUB JUNK BOX
4/03(水) 富山・MAIRO
4/04(木) 福井・CHOP
4/13(土) 沖縄・桜坂セントラル
キュウソネコカミ:2009年12月、大学の軽音楽部内で就職活動に敗れた者たちを中心に兵庫県西宮市で結成。10年よりライヴ活動を開始。エッジが効いたダンサブルでキャッチーなサウンド、身の周りの事柄への愚痴や文句を込めた世界観のない歌詞、エモーショナルで逆ギレ気味なMCとライヴスタイルにステージ下での腰の低さも合わさって、アンダーグラウンドからオーバーグラウンドまで比較的いろいろなジャンルのバンドとの対バンを重ねる。そして、14年6月、ミニアルバム『チェンジ ザ ワールド』でメジャーデビューを果たした。キュウソネコカミ オフィシャルHP