【宮野真守 ライヴレポート】
『MAMORU MIYANO LIVE TOUR
2017 〜LOVING!〜』
2017年10月15日 at 横浜アリーナ
しかし“愛”をテーマに、ライヴを想定して作られたアルバムの本領発揮はここから。ドゥーワップで手拍子を呼びながら腰を揺らし、ニャンニャンポーズで微笑んでセクシーとキュートの両極を同居させる「僕のマニュアル」を挟んで、恒例のバラードコーナーへ。吐息交じりで子守歌のようにしっとり聴かせた「愛溢れる」に、ピアノ中心のアレンジで切なさMAXの「HOW CLOSE YOU ARE」。さらにダンサブルな定番曲をアダルトに一変させて、ピンクに輝くペンライトの海を渡った「Kiss×Kiss」と、オーディエンスへの愛情をエモーショナルに爆発させて場内を魅了する。だが、単に“カッコ良い”だけで終わらないのが宮野真守。バラードタイムの最中にはバンドメンバーと愛を告白し合ったり(笑)、続くスペシャルムービーでは凝りに凝ったミュージカル仕立てでコメディへの愛を真剣に歌い上げて、客席を抱腹絶倒の渦に! リアルな大作ミュージカル経験を、こんなところでも全力で活かす真摯な姿勢には脱帽だ。
次々に衣装を替えて楽曲のムードをより引き立てながら、近未来風のモノトーン衣装で登場したラストブロックでは「恋されガール」でダンスレクチャーを行ない、会場の全員で踊るシーンも。かと思えばデジタリックなハードチューン「TRANSFORM」ではジャケットを脱ぎ捨て、衣装の胸元を掴み、勢いよくはだけさせて黄色い悲鳴を浴びまくる。アリーナ中央に設置されたセンターステージに移動してからは、さらに怒涛のクライマックスへ。ご当地ワードをコーラスに組み込んだ「SHOUT!」では、なんと横浜アリーナの公式キャラクター“ヨコアリくん”が登場してペンライトを振ったり、一転「The Birth」ではギター&ベースのメンバーと絡んで、ロックかつドラマティックなパフォーマンスで観る者を酔わせまくった。そして“みんなの笑顔に会うと、頑張ろうと思えます。その想いを込めて書いた曲です。僕に力をください! そして、僕からはみんなの明日のためにパワーを送りたいと思います!”とラスト曲「POWER OF LOVE」に至ると、場内は瞬く間にペンライトの白い光でいっぱいに! その純白の景色と、ゴスペル調の楽曲にオーディエンスの大合唱が加わった厳かな響きには、互いを信じ合う“愛”の波動が確かに感じられた。
“たくさんの人に笑顔を向けてもらえる、声をかけてもらえる。本当に感謝してます”。そんな想いを込めたアルバム『THE LOVE』を具現化せんと、その後アンコールを“LOVING!”の大合唱で締めくくるまで、実に3時間にわたって笑顔を絶やさなかった宮野真守。役者、声優、歌手、そしてその全てを包括したエンターテイナーとして、妥協なき道を進む彼の挑戦は続く。
撮影:上飯坂 一/取材:清水素子
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