【中村ピアノ】赤裸々な女子の妄想が
魅惑の旋律に乗って爆発!!
精力的なライヴ活動により、その存在の噂が広まりつつある中村ピアノが、1stフルアルバム『ピアノショック!』をリリースする。表現力豊かな歌声とピアノを響かせ、奥行き深い物語を描き上げる彼女に、同作について語ってもらった。
取材:田中 大
ピアノを始めたのはいつですか?
3歳の時、お風呂から上がって、お母さんに“ピアノ習いたい”って言ったのは、よく覚えています。なんでそう言ったのか、きっかけは思い出せないんですけど。それでエレクトーンを習うようになりました。でも、発表会があまり好きではなく(笑)。小学生で辞めてしまいました。
音楽を聴くのは好きでした?
はい。母親は歌謡曲が好きなんです。父親は流しをやっていたことがあったので、洋楽も含めて幅広く聴いていましたね。そういうのが今の自分の音楽の好みに影響しているのかなと思います。あと、私は物心が付いた頃から替え歌を歌うのが好きでした。アニメの曲に乗せて、友達をネタにした歌を歌ったり(笑)。オリジナルというか、歌詞にもならないようなものを書き始めたのは中学生くらいからで、ちゃんとメロディーを付けて作り始めたのは20歳くらいからですね。
学生の頃、バンド活動は?
やっていました。中2の頃に始めたんですけど、音を鳴らせる場所がなくて。学校に軽音部の部室がなかったので先生に直談判したんですけど、ダメだったんですよ。だから、良いことをしたらなんとなるかな?と、勝手に校庭の草をむしりまくったんですけど、“ありがとう”で終わりました(笑)。
(笑)。世の中、甘くないってことを学んだ体験?
はい(笑)。だから、最初の頃はアコースティックユニットをやりました。私はピアノが嫌になっていたので、楽器は弾かずに歌だけでしたね。でも、メンバーそれぞれの進路とかで活動ができなくなって…。私は音楽をやりたかったので、“自分で弾くしかない”と、またピアノを弾くようになりました。
ピアノを弾いて作るようになったオリジナル曲は、亀田誠治さんが褒めてくださったそうですね。
はい。亀田さんがアマチュアの曲を聴くサークル(亀田大学)を立ち上げたので、音を送ったら、「火傷」を気に入ってくださったんです。“シンプルな歌詞と曲調だけど芯があっていい”と言っていただけて、とても嬉しかったです。
そして、その「火傷」も入っているアルバムがリリースされるわけですが、初めての作品ですか?
自主制作で3曲入りとかのものは出したことがあったんですけど、まとまったかたちで出すのは今回が初めてです。1枚目ですが、自分の中ではベスト盤みたいな感じがありますね。一番良いものをギュっと入れたので。
役柄に完全に入っているような歌が素敵ですね。一曲一曲に深い物語を感じます。
ありがとうございます。自分が作っている曲なので、そういうふうになるのかなと思います。
例えば「キャンディ キャンディ」はあどけなさが残る女の子に完全に成り切っているじゃないですか。
何度も弾いたり、ライヴを重ねたりすることによって、“こっちのほうが歌いやすい”とか“こっちのほうがしっくりくる”という感じでかたちになっていくんです。どの曲も私に起こったことや思ったことがもとになっているので、幼い女の子の感じの曲も大人っぽい曲も、全部自分だなと思います。
「103号室」は想いが強すぎるがゆえに迎える、悲劇的な結末が描かれている曲ですが、これもピアノさんの一面?
はい。これも体験がもとになっています。あの時は“人を殺そう”っていうくらいの気持ちになっていました(笑)。腹の中にあるそういう気持ちを他の人に言ったりはしないんですけど、曲にはしたいと思ったんです。私、“むかつく”とか“悲しい”とか…全部音楽にしています。
「14歳」もそうですけど、想いを激しく募らせる女性像が創作意欲を刺激する題材みたいですね。
片思いは特に妄想がすごく捗ると言いますか(笑)。思春期の頃に片思いばかりしていたので、叶わなかった時の辛さをずっと引きずっているところはあるんだと思います。そこが結構、自分が作るものの核になっているのかもしれないですね。
亀田さんが評価してくださった「火傷」、いい曲ですね。繰り返される《全部あなたのせい》という一節が激しい愛の言葉に聴こえるのがすごいと思いました。
そういうふうに聴いていただけるのは、とても嬉しいです。最初のうちは“あなたが悪い”っていう想いを込めて書いていたんですけど、曲が仕上がった時に、愛情があるからこそ“I LOVE YOU”と同じ意味になっているなと自分で思いましたから。
健気なラブソングですよ。
作った当時、付き合っていた人にむかつきすぎて、想いが成仏できなくて生まれた曲です(笑)。
(笑)。今回の作品、サウンドに関して言うと、バンド感のあるものが収録されているのも聴きどころですね。「落花生」がすごくカッコ良かったです。
リズムがあって、賑やかなものにしたい曲は、ドラムやベースとかも入れたかったんです。私はもともとバンドが好きなので。「落花生」は曲を作り始めた頃の曲なんですけど、大人の女の人に憧れている感じが出ていますね。
あと、どの曲にも言えることですが、メロディーがいいです。個人的には「ねぇ」がとても染みました。
同級生の女の子が亡くなってしまったんですけど、彼女の告別式の帰り道でパッと出てきた曲です。最初、歌詞が出てきた時に、これは暗い曲だと誰も聴きたくないだろうし、自分でも嫌だなと思ったんですよ。だから、ポップで明るい曲調のものになったんです。
今作のリリース後は、どんな活動をしたいですか?
いろんな自分の一面を曲にしていきたいです。弾き語りとかバンドとか、どちらかに固まるのではなく、自分の作品をどんどん外に出していきたいと思っています。
- 『ピアノショック!』
- TH-103
- 2016.06.08
- 2700円
ナカムラピアノ:鍵盤を弾きながら歌うシンガー。亀田誠治氏率いる亀田大学サークル部員。東京都生まれ。3歳からエレクトーンを始め、中学生でバンドを組み、高校に進学するとたくさんのコピーバンドを掛け持ちするように。音楽の専門学校へ進学後、ピアノの弾き語り、オリジナル曲の制作を開始。2016年6月8日にアルバム『ピアノショック!』を初めて全国リリース。中村ピアノ オフィシャルHP
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