蓮ノ空好き好きクラブたちが東京に大
集結!全29曲の濃密すぎる1stライブ
ツアーをレポート『ラブライブ!蓮ノ
空女学院スクールアイドルクラブ 1s
t Live Tour ~RUN!CAN!FUN!~』
東京公演DAY2

2023年11月18日(土)・19日(日)の2日間に渡り、東京・武蔵野の森総合スポーツプラザ メインアリーナにて『ラブライブ!蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブ 1st Live Tour ~RUN!CAN!FUN!~』の東京公演が開催された。

本公演は10月末~11月末にかけて福岡・東京・愛知の三都市を巡る全6公演が行われ、今回は東京公演DAY2の模様をレポートしたいと思う。モバイルアプリ「Link! Live! ラブライブ!」のリリースから約半年間、蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブとしての活動が本格的に始動してからの集大成とも言えるステージは彼女たちの魅力あふれる楽曲を29曲も披露するという気迫に溢れるものだった。それは蓮ノ空が駆け抜けたこの半年間がいかに濃密な時間だったかを表す、何よりの証左だろう。
(c)プロジェクトラブライブ!蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブ
(c)プロジェクトラブライブ!蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブ
石川県金沢市の創立100年を超える伝統を持つ高校、私立蓮ノ空女学院。スクールアイドルクラブに所属する6人がそんな北陸を飛び出し、福岡・東京・愛知の地に降り立った。開演時間を迎えると各メンバーを呼び込むアタック映像がモニターに流れ、温かい手拍子に出迎えられ、6人が姿を現し、「Dream Believers」、「Yup! Yup! Yup!」と2曲続けて披露。2曲目の途中からはメインステージから突き出した花道の先にあるセンターステージまで移動し、元気いっぱいのパフォーマンスを届けてくれた。
(c)プロジェクトラブライブ!蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブ
「蓮ノ空のこと好き好きクラブの皆さん、こんばんわ〜」と、まずは花帆から挨拶。Youtubeチャンネルに動画が上がっている体力測定企画の話題になり「実はここ、飛田給で収録したんです!みなさん無意識聖地巡礼してましたよ!」と新たなパワーワードも生まれた所で、DAY1で喉を痛めてしまった花宮初奈より「今日は歌唱を控えてトークとダンスに専念します」とアナウンスがなされた。発表があった時は心配になったが、先駆けたパフォーマンスは喉の不調を感じさせないキレのあるダンスだったので、まずはひと安心。
ここからは改めて自己紹介パートへ。村野さやか役の野中ここなは「うるさくなるからイヤモニ取っても良いよ」とメンバーに気を使ってからの全力の「こんばんはー!」で元気よく切り込むと、夕霧理役の佐々木琴子「僕の赤、みんな振ってくださってありがとうございます」とゆる~く続き、そして「私たち2人で”氷上を舞う群青と紅蓮の炎”DOLLCHESTRAです」とユニットとしても決めポーズ。
続いてはスリーズブーケから「ただでさえダンスが上手な相方が、今日はダンスに極振りするというので、後輩として遅れを取らないよう頑張ります」と語る日野下花帆役 楡井(にれい)希実。「こんばんはー!」と元気よく問いかけた乙宗梢役の花宮初奈(にいな)は「(全力で返ってきたこんばんはー!に対して)大満足です。本日はいま出来る精一杯をお届けしたいと思います」と意気込む。例え歌うことがわなくても、こうしてトークやダンスやライブに必要なその他の部分を1つ1つ丁寧に束ねて、自分たちなりの花束にしようというのもスリーズブーケらしくて良いではないか。
続いては「はーい!」と声を出しただけで大歓声。「大沢瑠璃乃役 カンカンこと菅叶和です。今日はハートフルにいきたいから、みんな隣の人とハートを作ってみましょう」とソロ参戦オタクにはハードな無茶ぶりをカマし、「藤島慈(めぐみ)役の”こなち”こと月音こなです。私、もっかいハート見たいな(笑)」と促し、「ソロの人は私たちとハートを作ろう!」と今回はソロの方たちのハートもちゃんと回収してくれて嬉しい。
最後に2人併せてユニットの挨拶をするのだが「私たちのテンションはここから〜……あっち行こうヨイショ…」と、メインステージまでダッシュ。上手下手に分かれて、また花道までぐるっと1周し「ここから~ここまで!みらくらぱーくです!」と他のメンバーが腕でトンネルを作って、2人の全力ダッシュを出迎える。
「以上、3つのユニット6人で蓮ノ空女学院です、よろしくお願いします!アプリリリースから約半年、花帆ちゃんたちが入学した4月からこの半年間をこのライブで表現したいと思います。今の全力をお届けするので、皆さんも付いてきてくださいね〜!最後まで一緒に楽しみましょう!おーっ!」6人と一緒に拳を突き立て、今日の公演の成功を改めて祈願した。
舞台は暗転し、そんな半年間の回想が始まる。「そうそう、こんなこともあったよね。」キラキラの花を咲かせたい。この学校をみんなの笑顔で満開にしてみせる。スクールアイドルクラブの門を叩き、梢先輩と出会う花帆は振り返る。失敗や挫折を超えて、やがて2人はユニットを組むことになる。それが、蓮の空に受け継がれる伝統のユニット、スリーズブーケ。
「踊ろう、さや。今ならすごい事ができそうだ。」夕霧先輩とユニットを組むもフィギュアスケートとの両立に悩むさやか。
「私はフィギュアがすごくなってもスクールアイドルを辞めずに頑張ってくれてるさやかちゃんが好きだから」落ち込むさやかを救ったのは花帆のひと言だった。「フィギュアスケートもスクールアイドルも辞めない。」氷上に誓った群青と紅蓮の炎、DOLLCHESTRA。
他校からのスカウトを蹴る梢。ラブライブ優勝の夢を叶えるなら、決して悪い話では無いはず。でも梢の夢はもう彼女ひとりだけの夢ではなかった。「ここで、みんなと一緒に叶えたい!」より一層深まっていく仲間との絆。
「撫子祭でのステージ、本当にすごかったよね。」
「目を瞑ると今でもハッキリ思い出せるよ。この時間がずっと続けばいいのにって。」
「ライブの日は眠れなかった…。」
暗転明け、ユニット衣装に着替えたスリーズブーケの2人が歌い出したのは「Reflection in the mirror 」。鏡越しに反転するように、ずっとシンメトリーな振り付けが続くのが印象的だ。同様に”手を取り合えば夢もほら夢じゃなくなる”や”キラキラ輝いてる、それは未来”といった歌詞も胸に響いた。そして最後に決めポーズする2人の笑顔が眩しい。そうかこれが2人が手を取り、紡いでいく"未来"なんだな……と確信する。
前曲が王道のアイドルソングな曲調に対して「残陽」はカッティングが心地よい切ないナンバー。落ちサビ前に梢が花帆を抱きしめて、行かないでとその腕を掴む。この曲も想いはひとつなのにすれ違う2人を描いているようで、もどかしい。
2曲続けた所でDOLLCHESTRAにバトンタッチし、「AWOKE」を披露。切ないナンバーが続く。打って代わり6曲目の「青春の輪郭」はアツいナンバー。早速トロッコに乗り、アリーナへ飛び込んでいく。クールな仮面の中に秘めたアツい情熱。それが DOLLCHESTRA 。まさに彼女たちを象徴するような流れだ。
(c)プロジェクトラブライブ!蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブ
夏制服にまたお着替えしたスリーズブーケが再び登場。「謳歌爛漫」は和モノっぽいサウンドで、”謳歌”と”桜花”をかけて桜の花びらが舞い散るキャラのライブ映像を背負って、同じ振り付けをステージで踊っている。キャラとリアルのリンク。これこそがラブライブの良さであることを再実感させられた。「Holiday∞Holiday」の2Aでは手を繋ぎ、大歓声の中を花道を駆けてセンターステージへ。サウンドとしてのメロディアスさとキャッチーさの中にスリーズブーケの魅力が詰め込まれている曲だ。
(c)プロジェクトラブライブ!蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブ
今度は黒のシックな衣装に着替えて登場したDOLLCHESTRAは「スケイプゴート」「Tragic Drops」を披露。どちらもクールで大人びたナンバーだが、後者はサビに向けてギターは激しさを増してアツい気持ちになっていく。続けて「DEEPNESS」をスリーズブーケとDOLLCHESTRAの4人で披露。激しめなダンスナンバーだが、4人のキレあるアイソレーションや息のあったフォーメーションで会場をロックした。
(c)プロジェクトラブライブ!蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブ
ここで幕間映像へ。場内に「し、新入部員だ〜!」という花帆の嬉しそうな叫び声が響き渡る。新たにスクールアイドルクラブの門を叩いたのはカリフォルニア帰りの大沢瑠璃乃。ハイテンションな「ベリーベリーナイスガール」の自己紹介にキャーキャーいう花帆につられて会場からも歓声が(笑)。
(c)プロジェクトラブライブ!蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブ
(c)プロジェクトラブライブ!蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブ
12曲目は「ジブンダイアリー」。”ダイアリー”らしくポエトリーリーディングぽさもあり「無理はせずに自分らしく」という歌詞が先ほどの瑠璃乃とのエピソードとリンクする。続けて情熱的なラテンナンバーの「Mirage Voyage」を披露。三度、衣装チェンジしてスリーズブーケは「眩耀夜行」「Kawaii no susume」を披露した。スリーズブーケもトロッコに乗って、アリーナへ。ちょうど対角で向かい合うくらいで、梢先輩のハートを花帆がキャッチ。そして投げキッスでお返しし、最後はステージで合流して2人で大きなハートを作るなどして尊みを届けてくれた。

(c)プロジェクトラブライブ!蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブ
再び幕間映像へ。「これからは瑠璃がめぐちゃんを引っ張って、めぐちゃんも瑠璃を引っ張る、新しいめぐるり始めようよ!」ようやく蓮ノ空、最後のピースがハマる。という事でみらくらぱーく!の2人が登場すると「ド!ド!ド!」で会場は割れるような歓声に包まれる。まだ曲数が少ないみらくらだけど、その分曲のインパクトはめちゃくちゃ強い。コール&レスポンスもしやすい曲が多いし、実際に「居残りね!」の掛け声もみんなちゃんと出ていた。ライブ後半にこうやって頭カラッポにして高まれる曲を持ってきてくれるのはありがたい。続く「ハクチューアラモード」はかわいさとキャッチーさの強烈な波状攻撃で、わずか2曲ながら”萌え”を過剰摂取してしまった。
(c)プロジェクトラブライブ!蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブ
ここで一度、幕間映像で転換を挟み、6人が夏らしいデニムのホットパンツの衣装に着替えて「夏めきペイン」、スリーズブーケの2人で「素顔のピクセル」を披露。この流れで聴くと「素顔のピクセル」もサマーチューンのような、爽快感と清涼感があって、これは発見かもしれない。遅れを取り戻すように、みらくらぱーく!は「アイデンティティ」「ココン東西」を披露。「ココン東西」ではトロッコに飛び乗り、まさに東奔西走。2人の声質の相性もそうだけど、2人の性格と楽曲自体のライブとの相性も抜群で、どの曲も楽しいからみらくらが出てくるだけで盛り上がるし嬉しい。
「Take It Over」では、まるでフィギュアスケートのようにステージを広く使って踊るし、DOLLCHESTRAの2人が向き合ったり絡む振り付けが多いので、本当にペアスケートを見てるような気分になってくる。
最後に梢先輩から「ここまで一緒に歩んでくれた皆様へこの曲を贈ります」とひと言だけ残し、「明日の空の僕たちへ」。”とっくに諦めただろう 私だけの夢ならば”の歌詞が染み渡る。間違いなく今の彼女たちの全てはこの曲に刻み込まれている。むしろ半年間の区切りとして行われたこのライブで、最後にこの曲を歌い上げた事で、この曲の持つ意味は更に深まったことだろう。「ありがとうございました」とだけ言い残して彼女たちがステージを後にした直後から、鳴り止まないアンコールの大合唱が、それを裏付ける何よりの証左だと思う。
「ただいま〜」とメンバーたちがモニターに姿を見せる。「今日のライブはどうでした?」「みんなまだ充電は大丈夫?」「大丈夫、むしろここからパワーを出すところでしょ!」と息のあった掛け合いが微笑ましい。みんなで配信機材を買いに秋葉原へ行ったり「せっかく東京へ来たので」と、ライブの成功祈願にラブライブの聖地、神田明神へ行ったことも語ってくれた。「ラブライブ優勝もライブの成功も我々が努力して成し遂げることだから」と、絵馬に祈ったのは無病息災というのも部長らしい。

(c)プロジェクトラブライブ!蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブ
(c)プロジェクトラブライブ!蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブ
アンコール1曲目は「On your mark」。踊りもだけどみんな表情が良すぎる。これはライブでしか得られない要素だと思う。続けて各ユニットごとに「ノンフィクションヒーローショー」「KNOT」「千変万華」が披露された。「ライブはまだまだこれからですよ〜」と、再び6人揃って「Trick & Cute」。アンコールに突入してもその勢いは止まることを知らない。アンコールは6曲目に突入し「Legato」では最後は6人全員でトロッコに乗り、最後は3台でアリーナ中央に。「本日本当に最後の曲になります。最後まで全力で楽しみましょう!」と意気込み「永遠のEuphoria」へ。カメラの画角で遊んだり、和気藹々とした雰囲気でラストを迎える。
永遠のEuphoria (c)プロジェクトラブライブ!蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブ
「改めて東京公演DAY2いかがでしたかー?」ここまでアンコール7曲を含む、全29曲を披露。圧巻のボリュームだ。最後に各自、公演に向けての心境など、思い思いの言葉を語るが、楡井は冒頭でもあったYoutube企画の話を掘り返し「撮影で飛田給に来た時、このアリーナを見て、先輩たちがここでライブしてたのも見てたし、「こんなに大きな会場で私たちもいつかライブやりたいな」と思ったんですけど、まさか出来るとは。そしていつも応援してくれてるみんなでこの会場がいっぱいに埋まったこの景色を見る事が出来て嬉しい。」涙を浮かべながらその思いを語ってくれた。
また「今日は蓮ノ空の半年間のストーリーになぞらえながらライブをしましたけど、私も個人的に花帆ちゃんの気持ちを再確認しながらライブをしていました。「梢先輩に負けないように」と冒頭で言いましたけど、少しずつだけと先輩のことを支えられるようになった花帆に頼もしさも感じています。でも、私たちの目標はあくまでもラブライブ優勝!まだまだこれからも頑張らないといけないですからね、付いてきてください!」と最後に力強いコメントを残し、この日の公演は終了した。

(c)プロジェクトラブライブ!蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブ
やはり何と言っても全29曲の圧巻のライブパフォーマンスをまずは賞賛したい。メンバーがいて、キャストがいて、そのどちらのパフォーマンスも「ラブライブ!」にとっては必須なわけだが、この分野の先駆者として蓮ノ空はその2軸を活かした新たなコンテンツ作りをどんどん開拓していっていると感じた。アプリでの展開やYoutubeでのメディア発信など、現代にアジャストしたやり方だと思う。それはライブの演出ひとつをとってもそうだし、2人ずつの3ユニット、6人という人間関係を増やしすぎないバランス感覚も絶妙だと感じている。だからこそ、この半年間でここまで濃密なストーリーを描けているようにも思えるし、これまでのラブライブ!シリーズ以上に、彼女らをより身近な存在として感じられる工夫も非常に良いと思う。まだまだ可能性しかない彼女たち。蓮ノ空が描く空模様は、たぶん曇りのち晴れ。石川県を含む、北陸三県は全国的に見ても日照時間が平均以下で、曇天の日が多いと言われている。だからこそ、もし金沢へ聖地巡礼をした時、 (特に冬場に) 晴天の青空に出会えたとしたらあなたは幸運だ。きっとうまく行くことばかりじゃないからこそ、空が晴れ渡ると心も晴れやかな気持ちになる。雲ひとつない青空を僕たちは待っている。
レポート・文:前田勇介

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