JAKIGAN MEISTER

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【JAKIGAN MEISTER インタビュー】
おもちゃ箱をひっくり返して
遊びながら作っている感覚

テイストの違った3曲
というのは意識的

 2曲目「50415041」は「Que sais-je?」から一転して、ソリッド&ダークなギターリフを活かしたアップテンポのロックチューン。インダストリアルかつ“魔”を感じさせる雰囲気が非常にカッコ良い。

「このビート感にしたいというのが初めからあったんです。そこから入っていって、身体を動かしたくなるノリが出るように肉づけしていきました」

 リズムアプローチがきっかけになったというのは咲人らしい曲の作り方のひとつと言える。そして、“自分の欲望を満たすために打算的に生きてやる”ということをシニカルな視線で描いた歌詞も見逃せない。

「現代に蔓延っている、何とも言えない行動を眺めて、“こんな感じの人もいるだろうな”と想像しながら書きました。この曲に込めた自分の想いというものはありません。自分の中でイメージした人物の言葉や行動をシニカルに傍観しているだけです」

 プレイ面では歌詞のテイストに合わせて皮肉っぽさを感じさせるヴォーカルを披露していることや、どこか90年代を思わせるギターアプローチなどが印象的だ。咲人曰く“この曲のギターは完全に90s意識です。サビのリズムやリフ感は特にそれが色濃く出ていますよね”とのこと。

 そして、3曲目に収録されている「微笑む」は陰りを帯びたスローチューン。美麗な世界観はもとよりメロディーの良質さやドラマを感じさせる構成、サビの惹き込み力などもさすがと言える。

「この曲の原曲は4年前に作ったもので、雰囲気が良かったので今回手を加えて完成させました。バンドも含めていつもは、きっちりとしたビート、ギターや上モノはソリッドなものという意識で作りますが、この曲は真逆です。僕はベッドでゴロゴロしながら意識せずに作ると、こういうものができるんです(笑)」

 「微笑む」の歌詞は一見失恋した心情をファンタジックな言葉で綴ったように感じられるが、咲人はもっと広い視点で書いたという。

「亡くなった友達や肉親が夢に出てくることがよくあって、そこからイメージを膨らませて書きました。夢というのは脈絡がなかったりするじゃないですか。それを表現したくて、ファンタジー感が出るように綴りました」

 プレイ面ではヴォーカルはアンニュイなAメロ/Bメロと抒情的なサビというアプローチになっていることがポイント。ギターは導入のアコースティックギターや繊細なクリーントーン、世界観を深めるフェイザー・トーンなど、細やかな音色の使用が光る。また、リバースディレイを使った幻想的なギターソロも非常に魅力的だ。

「出だしのギターは実はアコースティックギターではなくて、エレキギターの生音をiPhoneのヴォイスメモで録ったものです。普通に聴いているとリズムインで騙されると思います(笑)。ソロというほどでもないですが、間奏のギターは何も考えずに弾きました。いつもきっちり弾きがちなので、ルーズなものへの憧れがあるのかもしれない。少しシューゲイザー的なものも意識しました」

 今作はテイストの異なる3曲が収録されていて、なおかつ3曲揃って完成度が高いことに圧倒される。咲人によると“テイストの違った3曲というのは意識的にそうしました。自分がリスナーだった場合、さまざまな曲調があるほうが好きなので”とのことだ。

OKMusic編集部

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