バズ・ラーマン×松任谷由実の初対談
が実現！ 『ムーラン・ルージュ！ザ
・ミュージカル』日本版上演中
2023年6月24日（土）に帝国劇場にて開幕した『ムーラン・ルージュ！ ザ・ミュージカル』。世界七都市で開催されてきた本作の日本版での大きな魅力の一つが、ミュージックシーンで活躍するアーティスト達による日本語の訳詞提供だ。アーティストによる訳詞は、日本プロダクションが初の試み。松任谷由実を筆頭に、いしわたり淳治、UA、岡嶋かな多、オカモトショウ（OKAMOTO‘S）、栗原暁（Jazzin’ park） 、KREVA、サーヤ（ラランド）、ジェーン・スー、Jean-Ken Johnny（MAN WITH A MISSION）、Daoko、TAX（MONKEY MAJIK）、浪岡真太郎（Penthouse）、ヒャダイン、松尾潔、宮本亞門、Mayu Wakisaka といった、計17名の錚々たる顔ぶれが揃った。
このたび、原作映画『ムーラン・ルージュ』生みの親で、日本プロダクション版ミュージカルの開幕を見届けるために来日した、映画監督バズ・ラーマン氏と松任谷由実の対談が実現。日本のミュージックシーンのアイコンであり、５０周年を越える音楽活動で、あらゆる世代の心に刻まれる珠玉のポップソングを生み出してきたユーミンとの対面は、ラーマン監督も今回の来日において大変楽しみにしていたという。
共にハワイアンなテイストの装いで初対面を果たしたふたり。「You look fantastic!」と衣装の褒め合いからスタートした対談は、ラーマン監督の日本プロダクション版観劇の感想から始まった。
『ムーラン・ルージュ！ ザ・ミュージカル』は、19世紀にオペレッタを創始したオッフェンバックから、ローリング・ストーンズ、エルトン・ジョンやマドンナをはじめとする20世紀に大流行したメガヒット曲、21世紀が生んだ最高の歌手レディー・ガガまで、160年以上にわたるポピュラーミュージック約70曲が散りばめられたマッシュ・アップ・ミュージカル。
どの曲でも手拍子が出ていることに驚いたというラーマン監督は、日本プロダクションの特徴として、ラストで描かれる悲劇の愛がとりわけドラマチックで感動した、と話した。
「（世界各地の公演では）カラフルで華やか、派手で喜劇的という印象でしたが、日本プロダクションでは切なさや哀しみが深く感じられました」（ラーマン監督）
日本の古典的な演劇や歌舞伎において、悲劇に美しさを感じる、そんな精神性が日本にはあるのだと思う、と分析した。
今回 「Your Song」の訳詞を手掛けた松任谷。この曲は、10代半ばに衝撃を受けた曲だったそうで、「私、燃えたんです」と興奮気味に明かす。訳してみると、ものすごく繊細な歌詞であることに気づいたという。
「意訳しか出来ないけれどその心情を日本語にしたいと強く思いました。７０年代のシンガーソングライターにありがちな字余りの曲で、日本語に置き換えるのは難しかった。英語は 1 音節に 1 ワードだけど、日本語は 1 音節にカナ１文字しか乗せられない。けれど、受けとり手は、一つの言葉ですごく沢山の情報を得る感性を持っているので伝わると思いました」（松任谷）
そんな松任谷に対し、「歌詞がメロディーに綺麗に乗っていて感動した」とラーマン監督。「Your Song」は作中、“クリスチャンの才能が込められた曲”であり、「サティーンとクリスチャンはこの一曲で恋に落ちなければいけない。シンプルで、オペラのように壮大に終わる曲が理想でした」と、選曲時のこだわりを話した。楽曲使用にあたっては、当時知り合いではなかったエルトン・ジョンに電話し会いに行ったという。直感で承諾してくれた彼は、他のアーティストの説得にも協力してくれたそうで、人気のポップミュージックを多く使えたのはエルトンのおかげ、と制作秘話を明かした。
ユーミンが1970年代から2020年代まで、6つの年代でチャート1位を獲得していることに対し、「偉大なアーティストの証明だと思う」とラーマン監督。「我が道を行くユーミンやエルトンのような方がリーダーシップを発揮して、他のアーティストに影響を与える。今回、日本の多くのポップアーティストが手を取り合って参加してくれたことに感謝しています」と改めて日本プロダクションへの期待で締めくくった。
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