写真左上段より時計回りに、鈴木慶一(Vo&Gu)、鈴木博文(Ba&Gu&Cho)、岡田 徹(Key&Cho)、夏秋文尚(Dr)、武川雅寛(Violin&Trumpet)、白井良明(Gu)

写真左上段より時計回りに、鈴木慶一(Vo&Gu)、鈴木博文(Ba&Gu&Cho)、岡田 徹(Key&Cho)、夏秋文尚(Dr)、武川雅寛(Violin&Trumpet)、白井良明(Gu)

期待を持ってもらえたから
ずっと挑戦し続けられた

それ以降も発表される作品は基盤となるバンドの音楽性は残しつつも、メンバーが楽しみながらいろんなジャンルの音楽に取り組まれている印象を受けました。『ヌーベル・バーグ』(1978年12月発表のアルバム)では日本ではいち早くシンセサイザーを取り入れ、『モダーン・ミュージック』(1979年10月発表のアルバム)ではヴォコーダーを取り入れられていました。新しい機材を取り入れていると、当時の日本のレコーディングスタジオでは対応できないとか、レコード会社に制作費がかかると言われたりとかはしなかったですか?

鈴木
新しいことに挑戦するにはすごく手間と時間がかかるから、それを許してくれた当時のレコード会社の方には感謝しています。他で得た資金でレコード会社はチャレンジを許してくれていたから、当時の音楽業界はまだ余裕があったのかもしれない。“こいつら、面白いことをやりそうだな”と思ってもらえて、先行投資してくれる感じだったよね?
白井
その都度、いろいろ期待してくれていましたね。
鈴木
次はヒット曲が出るんじゃないかという期待を持っていただけていたおかげで、ずっと新しい挑戦を続けてこられました。結果的に“ヒット曲がない!”ということになるんだけど(笑)。
白井
期待作りの名手!
鈴木
期待外れの名手かな?(笑)

そんなことないですよ(笑)。その時代で作られた作品や楽曲を振り返ってみて、どのように思われますか?

鈴木
外部の方やレコード会社の方、他のバンドやいろんな方から“こんな曲をやれば売れる”と言われた音楽をやらずにアルバムを作ってきたけど、“これをやらなきゃいけない!”と思って作ってこなかったことが、結果的に良かったと思います。過去の作品を聴いて…まぁ、“これはマズいな”と思うところは多少あるけど、そんなにたくさんはないですね。

まさにそうだと思います。振り返って作品を聴いていても、デビュー間もない頃からバンドの軸がしっかりとありますし、moonridersサウンドが出来上がるまでがとても早い印象がありました。だからこそ今の作品を聴いても軸は変わらないですし、今だから表現できる音に挑戦しながら、クオリティーの高い音楽を作り続けてこられていると思います。

鈴木
恥ずかしいことはやらなかったのが良かったと思いますよね。毎回、アルバムを作る時に、“違うことをしよう!”とメンバー全員が思うんです。それが推進力になっていましたね。

バンドの歴史の中でも起点となるのは、『DON'T TRUST OVER THIRTY』(1986年11月発表のアルバム)だと思います。発表後の結成10周年ライヴを機に5年間の活動休止をされましたので。91年発表のアルバム『最後の晩餐』で活動再開されますが、この2作は明らかに楽曲のカラーが違っていますよね? その変化を感じられた、空白の5年間はいかがでしたか?

鈴木
メンバー全員が事務所には所属していたので、それぞれがプロデュースや個人の活動をする期間にしようと思ったんですよ。1年から2年くらいだと予想していたけど、気づいたら5年が経っていて(笑)。
白井
みんなが忙しくなっちゃってね(笑)。それぞれが売れっ子になっちゃった。でも、その間に若いアーティストと音楽を作ったり、ライヴをしたりしていろいろなものを吸収したんです。その経験が『最後の晩餐』に反映されていますね。

『DON'T TRUST OVER THIRTY』はいろんな方と楽曲を共作されていましたが、『最後の晩餐』はメンバーのみで曲を作られています。今回はメンバーの曲でアルバムを作ろうという意識があったのですか?

鈴木
それもあったと思うね。あと、『最後の晩餐』を作る時に常に全員スタジオに入ろうということだけは決めていました。現場で弁当だけを食べて帰る人もいたけど、一緒にいるとということをこのアルバムだけは意識していました。

メンバーの間でもみんなでアルバムを見届けて作ろうという意識が5年間を経たことで生まれたんですね。

鈴木
5年の間に現場で一緒になったメンバーもいたけどね。コンピューターで打ち込んで作るだけじゃなく、スタジオにいろんな楽器を置いて好きに弾いて、打ち込みしてる間に暇な人はセッションしたり。
白井
現場で全然違う曲を作ったりしてね(笑)。

OKMusic編集部

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