浜田麻里

浜田麻里

【浜田麻里 インタビュー】
“自分は一生をかけて
何を残せるのかな?”と
考える年代になったんです

メタルだけで括られると
ちょっと困る

続いて、40周年ということにちなんでお訊きしますが、いつ頃、どんなふうにハードロックやメタルに目覚められたのでしょう?

歌は子供の頃から歌っていましたけど、激しい音楽のカッコ良さを知ったのは高校生の時でしたね。私がCM曲を歌ったりしているということは学校の周りの人たちみんなが知っていたので、“浜田、ハードロックのヴォーカルやらない?”という感じで声をかけられたんです。それがきっかけになって学校のバンドで歌うようになって、そこから他の高校でバンドをやっている人とも知り合ったりして世界が広がっていって…という感じでした。

いい出会いがあったんですね。ハードロックの入口はDeep PurpleやLed Zeppelinといった辺りでしょうか?

Deep PurpleとかRainbow、Heartといった辺りですね。ハードロックは歌が難しいじゃないですか。そこに惹かれたというのがあったし、近いうちにデビューするだろうということも決まっていたんですよ。そうなった時に、どういうかたちで世に出るのがカッコ良いかと考えて、激しい音楽でいきたいと思ったんです。引き留められましたけどね。CMを手がけていた音楽制作会社はニューミュージック的な路線で私をデビューさせようと思っていて、一応プロジェクトもあったので。でも、ハードロックやメタルのほうがカッコ良いから自分はこっちでいくと言いました。

麻里さんのデビューは衝撃的でしたので、その選択は正解だったと思います。

衝撃的でしたかねぇ…。

ものすごいインパクトでしたよ。何しろ群を抜いた歌唱力と端正なルックスを兼ね備えていましたから。麻里さんはHR/HM系女性シンガーの新たな像を提示されたわけですが、そういう自覚はありましたか?

自覚していました。あの時代の中で、すごく新しいヴォーカリストとして、どういう個性でいきたいかというのは自分の中で明確に描いていたので。誰かに言われたわけではなくて、自分の意思なんです。本当はそうだったんですけど、知らない間に“HMプロジェクト”に組み込まれてしまったことで、それが分かってもらえなくなったというのはありましたけどね。デビューが決まった時、誰にプロデュースさせるかという中でLOUDNESSとか、ギタリストの北島健二さんの名前が挙がったんです。事務所としてはそういうミュージシャンにプロデューサーをさせることで、ミュージシャン自身の格上げをしたかったんだと思います。それで、LOUDNESSの樋口宗孝さんがプロデュースしてくださることになったんです。デビューした時は、そういう流れでした。

当時から麻里さんがセルフプロデュースされていたということは、声を大にして伝えたいです。あの頃はアマチュアバンドのライヴなどに行くと、女性シンガーはみんな麻里さんでしたね。長い黒髪で、ミニスカートで、パワフルに歌うという。

デビューして2~3年の頃はそうでしたね。でも、今となっては本当にポイントの世代の人しか私のことはあまり知らないんですよ。

そんなことはないです。若い世代の女性シンガーが麻里さんの名前を挙げることはありますし、麻里さんのことを知らなくても、その人が好きなシンガーが影響を受けたのは麻里さんだったということが多々ありますから。

そういうふうに巡り巡っていることはなんとなく感じますけど、あまり実感はないですね。

HR/HM系シンガーの新たな像を提示して、後続に多大な影響を与えていることは間違いないです。そして、40年を経ても進化し続けていることは『Soar』を聴いたり、今年行なうツアーを観たりすると実感できると思います。

『Soar』がより多くの人に届くと嬉しいですね。ツアーはこれから考えていく段階なので、まだ具体的な話はできませんけど、比較的広い世代の人に楽しんでいただけるライヴになると思います。『Soar』を“メタルアルバムですね!”と言っていただける人もいて、確かにハードなものはよりハードになっていますけど、メタルだけで括られるとちょっと困るというか。もちろんメタルであることは否定はしないですよ。“ヘヴィメタルクィーン”と呼ばれることも全然否定しないし、誇りにも思っているし。でも、『Soar』はメタルオンリーのアルバムではないので。周りの人はプロモーショントークが難しいだろうとは思いますけど(笑)。

個人的には麻里さんはジャンルを超越していると言いますか、“浜田麻里”というジャンルだと思っています。ですので、“メタル”というワードにとらわれずに、ドラマチックかつ華やかな音楽として聴いてほしいと思います。

ありがとうございます。フラットな感覚で聴いていただけると嬉しいですね。『Soar』を聴いて“いいな”と思ったら、ぜひライヴにも来てほしいです。ミュージシャンも超絶プレイヤーが揃っているので、アルバムの再現だけではないプラスアルファをお観せできるようにしたいです。きっと楽しんでいただけると思います。

取材:村上孝之

アルバム『Soar』2023年4月19日(水)発売 Victor Records
    • 【初回限定盤】(CD+DVD)
    • VIZL-2180
    • ¥4,500(税込)
    • ※スリーブケース入り
    • 【通常盤】(CD)
    • VICL-65810
    • ¥3,500(税込)

『The 40th Anniversary Tour “Soar”』

10/04(水) 福岡・福岡国際会議場 メインホール
10/09(月) 大阪・フェスティバルホール
10/14(土) 東京・東京ガーデンシアター
10/21(土) 名古屋・日本特殊陶業市民会館フォレストホール
10/28(土) 札幌・カナモトホール

浜田麻里 プロフィール

ハマダマリ:15歳でプロシンガーとしてのキャリアをスタート。大学時代に参加した女性ロックバンドMisty Catsで出場した『East West'81』でスカウトされ、1983年4月にアルバム『Lunatic Doll』でデビュー。数多くのコンサートツアーとコンスタントなアルバムリリースにより、本格派女性ロックヴォーカリスト、ヘヴィメタルの女王としての地位を確立。80年代後半にはメタルクイーンからの脱皮を図り、幅広いフィールドで魅力が発揮できるアーティストへと転身。デビュー40周年の23年には通算27作目となるアルバム『Soar』をリリースするなど、精力的に活動を続けている。浜田麻里 オフィシャルHP

アルバム『Soar』トレイラー

OKMusic編集部

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