【Little Parade インタビュー】
自分のきれいなところも
汚いところも全部詰め込めた
感情がマックスにこもった
作品になっている
4曲目の「煩悩グラインド」はどういう想いで作ったのでしょうか?
これも新しいタイプの曲を作ろうと思って作り始めました。お洒落な曲を作りたい気持ちがあって、力試しのつもりで普段は使っていないコードで作るというルールを自分に課してみました。
そういうふうに自分に課題を与えることでソングライターとして鍛えられる部分もありそうですね。
でも、“すごく努力している”という感覚でもないんです。小学生の頃にミニ四駆を作っていた時の感覚に近いかな? この曲はAqua Timezの大介と一緒に作ったから、特にそういう感覚になれたんだと思います。とにかく楽しかったので、また一緒にやりたいと思っています。
ラストの「晩秋のトロイメライ」についてもお願いします。
この曲はツアーに向けて作った曲で、ツアーでも披露しています。お父さんのことを書いた「ウィスキー」(2021年1月発表のミニアルバム『止まらない風ぐるま』収録曲)という曲があって、秋のツアーでもやったんですけど、すごく小さい時のことを思い出して、自分が小学生になる前とかの写真を見て、その懐かしさで一気に書きました。
懐かしさというか、ノスタルジックな要素を感じました。
そうですね。アルバムの中に残っているような、ちょっと懐かしい風景を思い出したりする感じですかね。僕は他の人よりも幼い頃のことに執着している自覚があって、“そんなことも覚えてるの?”と親に言われるぐらい、誰も覚えていないけど自分は覚えていることが結構あるんです。生まれ育った地元だったり、お父さんと歩いた道とか、そういうのが原体験になっていて、そこから曲を作ったりすることが多いんです。どこかに行って新しい想いを得るというよりも、そういう原体験のほうが大きいというか強いから、地元に勝るものはないのかなって。
自身を形成する時期に過ごした場所というのはずっと記憶に残っていたりしますからね。
そうですよね。そういう感覚は大切にしていきたいと思っています。
収録されている5曲について聞かせてもらいましたが、今作のタイトルの“感情特急”は曲が出揃ってからつけたのですか?
はい。感情がマックスにこもった作品になっていると思ったので、このタイトルにしました。自分のきれいなところも汚いところも全部詰め込めたと思っています。5曲が全部違う色になっていて面白い作品になったと思います。
そんな『感情特急』が完成しての今の想いは?
1980年生まれの自分にとって、10代の頃に90年代の音楽を経験したのがすごく大きくて。月9ドラマの主題歌とか、今では経験できないものがたくさんありましたから。今はすごく便利な世の中になって、それにも驚いてはいるんですけど、やっぱり自分が10代の頃に感じたものだったり、初めてMr.Childrenさんの「Tomorrow never knows」を聴いた時の“俺、音楽で感動したいんだな”と思った気持ちを忘れずにやっていきたいと、今でも思っているんです。今の若い子の音楽も素晴らしいけど、それに負けないおじさんの音楽になっていると思うので(笑)、お洒落な音楽ではないんですけど、直球で届く音楽になっているので、たくさんの人に聴いてもらえたら嬉しいですね。
そんなアルバムを2022年のうちにリリースできたわけですが、振り返ってみて2022年はどんな一年でしたか?
ツアーができて、制作ができて、努力もしました。この3つが重要だと思っていますし、これを続けていきたいな、これを2023年も続けていくんだなと改めて感じています。もしかしたら地味なことなのかもしれないですけど、それをやっていくのが自分の人生なのかなと思っていて、もし結果が実らなかったとしても種を蒔くことはやめないでおこうと思っています。
取材:田中隆信