L→R 松尾レミ(Vo&Gu)、亀本寛貴(Gu)

L→R 松尾レミ(Vo&Gu)、亀本寛貴(Gu)

【GLIM SPANKY インタビュー】
ちょっと非現実的な風景だけど、
現実へのメッセージを込めて歌う

ファンタジーに組み込むことによって
いろんな自分のことに重ねられる

そういった楽曲もあり、「It’s A Sunny Day」のようなゆるりとしたものも。

松尾
最初はTeenage Fanclubみたいな、さわやかな風が吹く、ちょっとビートリーでブリティッシュな雰囲気のものを作りたくて。あと、自分たちのルーツとグランジのイメージを落とし込めた感じはしていますね。The Apples in Stereoの60年代のサウンドを組み込みながら90年代のサウンド…みたいな。歌詞はコロナ禍前にイギリスに行った時の田園風景の記憶をもとに書きました。
亀本
これはしっかりとした上質なロックサウンドになった気がします。イギリスのインディーズレーベルのダーティ・ヒット的な、“違うジャンルの人だけどグランジをやった”くらいの感じは少し意識しながら。

意表を突かれたのが「Sugar/Plum/Fairy」でした。タイトルからして“ん?”と。

松尾
あっ、嬉しいです! 最後にどうしても一曲作りたくなって、2日で完成させたんです。この“Sugar/Plum/Fairy”はいつか使いたいと思ってストックしておいた言葉で、間のスラッシュがないと“こんぺい糖の妖精”っていう『くるみ割り人形』のキャラクターになるんですけど、The Beatlesの『LOVE』というサウンドトラックに入っている「A Day In The Life」でジョン・レノンがカウント代わりに“Sugar、Plum、Fairy”と言っていて、それがお茶目で! そんなふうに日常の些細なこともお茶目心を持って見てみると意外といいよね…みたいな、それくらいの気持ちで曲を作りたいと思って、この言葉をタイトルにしました。で、最初はTomorrowの「My White Bicycle」とThe Pretty Thingsの「S.F. Sorrow Is Born」みたいなサイケな曲を書いていたんですけど、音録りをしていくうちに“何か違う!”となり(笑)。で、新たに練り直して。歌詞もイギリスの早朝の素敵な風景をストーリーにしたくて。通常の気持ちよりちょっと上乗せしたくらいのいい気分なテンションでアルバムをいったん終わらせたいというのもあって、この曲を書きました。

ポエトリーリーディングもいいですね。

松尾
それも自分の中で結構ポイントで。気怠さがあるんだけど歌いたいことがある…みたいな。で、最後のほうに《外はやけに陽射しが強い》という歌詞があるんですけど、“Sugar/Plum/Fairy”の頭文字を取ると“SPF”で、日焼け止めの意味になるという(笑)。そういう遊び心も込めています。

チャーミングな面は「HEY MY GIRL FRIEND!!」にも表れていますね。

松尾
この曲は野宮真貴さんに楽曲提供することが決まった時に、亀本が持ってきた曲で。でも、私は私で「CANDY MOON」があったのでそれを優先したんですけど、この曲もいいから自分たちでやろうと。だから、ちょっとポップな、今までの GLIM SPANKYにはないものになりました。サビのメロディーの置き方も、いい意味でサラッと聴いていられるよなポップさを心がけて。歌詞はラブコメ映画のワンシーンじゃないですけど、女友達が失恋していて励ます…そういうのがキュートで可愛いいと思って。あと、ピアノのレトロな感じも気に入っています。

ギターソロが爆発する瞬間では、思わず踊る手振りが激しくなりそうで。

松尾
あれもあまりうまく弾きすぎないで、衝動や荒さが出ているようなソロがいいと(笑)。それを弾きつつも自分の納得いくものにするのが大変だったよね?
亀本
大変だった。

そして、先日の日比谷野音のライヴでお披露目された「形ないもの」。これは何度聴いても泣けます。

松尾
弾き語りを亀本に渡して。ロックバラードって今までに何曲もやってきているから、それらとどう変化をつけるのかというところで、亀本がすごい頑張っていろいろ考えて作り上げました。
亀本
“リード曲を作ろう!”っていうことで「シグナルはいらない」と「形ないもの」を作っていったんですけど、リード曲だし、他の曲は打ち込みも多いから、トランペットとかチェロとかそういうオーセンティックな楽器を使うのもありきでアレンジを考えた結果、こういう方向にいったというか。
松尾
ブリティッシュロックのクラシカルな部分をちゃんとフィーチャーできましたね。だからと言ってマニアックすぎず、キャッチーに。この歌詞もメッセージを結構込めていて…“いろいろ消えていくもの、壊されていくものがある中で、何があなたのスポットライトですか?”というような。

アルバムのタイトルチューンでもある1曲目のイントロダクションは、タイトルに込めたイメージを共有されたのですか?

亀本
勝手に作りました。“そう言えば、イントロどうなった?”“あっ、聴く?”みたいなテンションで。
松尾
次の「レイトショーへと」につながる、まさに映画の導入部みたいな。
亀本
映画的な世界観っていうアルバムのイメージがあって、「レイトショーへと」という曲もできてきたし、それにイントロとなる曲をつけたらより世界観が見えたから“じゃあ、これでいこう!”と。「レイトショーへと」は今までにないテイストの曲だからパンチ力があって“なんだ、これ!?”ってなるし、ポップスとしての情報量も多いから大丈夫というところで頭に持ってきました。

GLIM SPANKY流のジャズファンクソウルロックですね。

松尾
そうですね。で、これも今の世界情勢だったり、自分や世間のいろんな状態を全て歌詞に落とし込みました。真っ直ぐ歌うのもいいけど、ちょっとファンタジーに組み込むことによって、よりいろんな人が自分のことに重ねられるかなと思って。

年末近くには待望のアルバムのリリースツアーも決まりましたね。

亀本
アルバムの始まり方もそうですけど、今まで以上に非現実的な空間にしたいと思っています。そこはもっと突き詰めたいというか、 GLIM SPANKYってそういうことができるポテンシャルがあるし。で、エンタメのショーとしての質をさらに上げて、みんなで楽しめればいいなと。
松尾;非現実感を書きがちっていうのは、自分にとってのある種のサイケデリックな表現なのかもしれないと思っていて。でも、その中でメッセージ性のあるものを伝えることによって、ともにいい毎日を送れるんじゃないかと思うので、そういうライヴにしたいと思います。

取材:竹内美保

配信シングル「シグナルはいらない」2022年7月22日配信 Virgin Music
アルバム『Into The Time Hole』2022年8月3日発売 Virgin Music
    • 【初回限定盤】(CD+DVD)
    • TYCT-69242
    • ¥5,170(税込)
    • 【通常盤】(CD)
    • TYCT-60198
    • ¥2,970(税込)
    •  
    • 【UNIVERSAL MUSIC STORE限定 タンブラーSET】
    • D2CE-11441
    • ¥6,270(税込)
    • ※通常盤CD+ステンレスタンブラー

ライヴ情報

『Into The Time Hole Tour 2022』
11/02(水) 神奈川・横浜ベイホール
11/04(金) 福岡・DRUM LOGOS
11/05(土) 広島・CLUB QUATTRO
11/11(金) 大阪・NHK大阪ホール
11/23(水) 北海道・札幌ペニーレーン24
11/25(金) 宮城・仙台GIGS
11/27(日) 長野・ホクト文化ホール 中ホール
12/03(土) 愛知・名古屋市公会堂
12/11(日) 新潟・LOTS
12/20(火) 東京・昭和女子大学 人見記念講堂
12/21(水) 東京・昭和女子大学 人見記念講堂

GLIM SPANKY プロフィール

グリム・スパンキー:⾧野県出身の男女二人組ロックユニット。ハスキーでオンリーワンな松尾レミの歌声と、ブルージーで情感深く鳴らす亀本寛貴のギターが特徴。特に60~70 年代の音楽やファッション、アート等のカルチャーに影響を受けており、それらをルーツに持ちながら唯一無二なサウンドを鳴らしている。2007 年結成、14 年メジャーデビュー。18 年に日本武道館ワンマンライヴを成功させ、同年開催の『FUJI ROCK FESTIVAL』GREEN STAGEに出演。ドラマや映画、アニメなどの主題歌を多数手掛けている。最近ではももいろクローバーZ や上白石萌音、DISH//、野宮真貴、バーチャル・シンガーの花譜など、幅広いジャンルで他アーティストへの楽曲提供も行なっている。GLIM SPANKY オフィシャルHP

「シグナルはいらない」Teaser

6th Album『Into The Time Hole』
全曲試聴映像

「形ないもの」from 野音ライブ
2022 / 「KATACHI NAI MONO」
from YAON LIVE 2022

「形ないもの」【Official Audio】

「ウイスキーが、お好きでしょ」
【Acoustic Live】

「風は呼んでいる」【Official Audio】

「未完成なドラマ」【Official Audio】

OKMusic編集部

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