【高野麻里佳 インタビュー】
“私の表現の全てを曝け出す
1stアルバム”を目指した
“カッコ良い”ではなく
“怖い”と言われることを目指した
アルバムも後半に突入し、いよいよ個人的には問題作の「Hide & Seek」が。
確かに問題作ですよね(笑)。今回は「Hide & Seek」で“ホラーロック”も作っていただきました。ホラーってちょっと怖いかもしれませんが、同時に胸を揺さぶるようなドキドキ感を届けられるところに魅力があると思うんです。そこで、制作を依頼した鈴木裕明さんに、あえて人が不快だと感じる音を鳴らしてほしいとお伝えしました。
また、すごい発注の仕方を(笑)。
制作初期こそ鈴木さんらしくカッコ良いロックな楽曲が仕上がってきたのですが、そのまま歌いたくもある願望を押し殺しながら、鈴木さんと何度もやりとりをしたんです。曲中で突然、静寂が走る部分は私が考えたアイディアですね。間奏のかくれんぼの演出は、鈴木さんが最後に入れてくださったもので、これがめちゃくちゃ怖かったからそのまま完成に至りました。
初めて聴いた時間帯が深夜だったのですが、怖すぎて思わず再生をストップしましたよ。ライヴでもステージの演出込みですごく怖かったです。
それは嬉しいですね! “カッコ良い”ではなく“怖い”と言われることを目指していたので!
続いては、“日常系ロック”の「夜更かして、午前2時」。
日頃からいろいろな音楽を聴いているのですが、“日常系ロック”の音楽って本当に広く親しまれていますよね。まさにトレンドな楽曲というところで、私も歌ってみたいとお願いをしたんです。
タイトルは“夜更かして、午前2時”ですが、高野さんも夜型人間ですか?
完全に夜型ですね。だから、1番Bメロの《毎朝、眠過ぎて 毎晩、夜更かして/まぁいいか。とも違って この感じを奪って》というフレーズが本当に自分とリンクして。夜更かしのせいで朝は眠いし、なぁなぁな日常を“まぁいいか”で済ませたくないけど、有耶無耶にしている自分もいる。この楽曲はそんなモヤモヤを吹き飛ばして、プラスの感情へと運んでくれるようなイメージです。だからこそ、私たちの日常にも根づいているような現実感を表現するために、あえてきれいな歌声は意識せず、感じるままに気持ち良く歌いきりました。
いい意味で書き殴りの歌詞を一発録りした雰囲気に仕上がっていました。高野さんも歌詞のようなモヤモヤを抱くことがあるのでしょうか?
今回のアルバムで私らしい楽曲を「ひとつ」だと言っておいてあれですが…「夜更かして、午前2時」にはグレている時の自分が描かれています。まさにこのまま(笑)。ちなみに今回の楽曲で唯一、メロディーラインだけで選んだ楽曲なんです。というのも、収録曲の決定時にはまだ歌詞がついておらず、仕上がりが少し不安だったのですが、完成した歌詞を読んで、この楽曲を歌えて本当に嬉しいという気持ちになれました。
一転して、「Flavored hug」はとてもチルな雰囲気な楽曲で。前回の取材時に“ポエトリーリーディングを含んだ楽曲を歌ってみたい”とおっしゃっていましたが、実現までが早かったですね。
本当に嬉しかったです! ディレクターさんから“ポエトリーな楽曲ならhisakuniさんが作るの上手だよ”と教えていただいて…やはり、hisakuniさんは信頼感があるお方ですね。本当に素敵なかたちに仕上げてくださって。もう楽曲自体が魅力的なので、私はヴォーカルの装飾的な表現を除くよう、なるべく力を抜いて歌いました。
ところで“Flavored hug”ってどういう意味なんですか?
“香りで感じるハグの距離感”でしょうか。香りって身体の内側にスッと入ってくるので、ある意味でハグよりも近い距離感を感じられるじゃないですか。思わず心がキュンとするような意味になっています。
とても理解できました。これで全ての新曲を解説したことになりますが、初回限定盤には「ひとつ」のMVも収録されていますね。お散歩をしながらカメラで撮影を楽しむなど、これまでのMVと比べてとてもカジュアルな雰囲気です。
そうなんです! 普段はスマホばかりですが、日常的に好きなものはちゃんと写真に残しているんですよ。いろいろなフィルター機能を使ってみたりして。
声優さん同士で自撮りをする機会もありますからね。
確かに。とはいえ、常日頃から自撮りを心がけているわけではないんですよ。よく自宅で飼っている猫ちゃんの写真を見て癒されたかったり、ふとした瞬間にSNSで何かを呟きたかったりするのですが、カメラロールを開くと自分の自撮りばかりな時があって、ちょっとゾッとして気持ちが萎えちゃうんですよね。なので、使い終わった自撮りは削除するようにしています(笑)。
もったいない…。私がもしも高野さんになれたら“今日もイケてんな!”と自撮りを見て癒されますけどね(笑)。
いやいや、それはないでしょう! たぶん、自分の顔の自撮りがたくさん並んでいるカメラロールを見るのはみんな嫌だと思いますよ(笑)。
なるほど(笑)。また、MVにはリビングのような空間で撮影したシーンもありましたが、衣装で着ているウィスタリアブルーのフーディがとてもお似合いでした。
あの衣装の他にも毛糸のニットが候補にあったんです。お洒落な家にあるラグのようなアーティスティックな柄で、女性人気も高かったんですけど…結果的にスタッフさんの投票によって惜しくもお披露目にはならず。
そんな裏話が。ちなみに高野さんはフーディの紐は結ぶタイプですか? 結ぶのがトレンドになっていますが。
私は紐を垂らすタイプでした。でも、トレンドを追うと“結んでいるな”と気がついて、最近はわりと結んでいますね。やはり結ぶほうが好評なんですかね!? うん。今後は執拗なくらいに結んでいきますね!(笑)
取材:一条皓太
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アルバム『ひとつ』2022年2月23日発売
日本コロムビア
- 【初回限定盤】(CD+Blu-ray)
- COZX-1866~7
- ¥4,400(税込)
- 【通常盤】(CD)
- COCX-41715
- ¥3,300(税込)
コウノマリカ:2月22日生まれ、東京都出身の声優・アーティスト。2014年に声優デビュー。TVアニメ『それが声優!』でメインキャラクターを演じ、番組派生の声優ユニット・イヤホンズのメンバーとしてもCD デビューし、活動の幅を広げる。TVアニメ『デジモンアドベンチャー:』太刀川ミミ役、TVアニメ『ウマ娘 プリティーダービー』サイレンススズカ役など、数々のTVアニメにもメインキャストとして出演し人気を集めている。21年2 月にシングル「夢みたい、でも夢じゃない」でソロアーティストとしてデビュー。同年7月に2ndシングル「New Story」を発表した。22年1月には自身初のワンマンライヴを大成功させ、2月23日に1stアルバム『ひとつ』をリリース。同年9月に2ndワンマンライヴを開催。10月に3rdシングル「LOVE&MOON」を発表する。高野麻里佳 オフィシャルHP
高野麻里佳 日本コロムビア アーティストページ
「ひとつ」MV
「ひとつ」
MVメイキングダイジェスト映像
「New story」MV
「夢みたい、でも夢じゃない」MV
『ひとつ』ダイジェスト試聴