ベルガモの番組「長谷川育美・川井田夏海のなんにもしたくありません」

ベルガモの番組「長谷川育美・川井田夏海のなんにもしたくありません」

【かねやん的アニラジの作り方】第2
9回 2022年残るもの消えるもの

ベルガモの番組「長谷川育美・川井田夏海のなんにもしたくありません」 あけましておめでとうございます。1月4日は株式会社ベルガモの創立記念日で今年3周年。このコラムもそのタイミングではじめさせてもらったので3年になります。あらためて、私の徒然に思うことを書いているこの駄文をお読みいただきありがとうございます。

 「石の上にも3年」というぐらいですから3年もたてば、なんらかの方向性が見えてきそうですがいまだ暗中模索の日々。というのも3年のうち2年はコロナ禍という極めて特殊な状況下で日々刻刻変わる状況下に合わせて小舟を漕いできたという印象です。ただこの特殊な状況というのは30年に及ぶ社会人経験からいうとずっと特殊な状況ともいえ、永遠に暗中模索していくのかもしれません。
 さて2022年です。やはり歴史は連続ドラマですから、コロナが今後どうなるかは別としてコロナによりできあがった社会風俗や文化が色濃く反映されていくでしょう。コロナはもちろん病気ですが社会の革命児的インパクトを与えました。というか与え続けています。そのうえで社会現象としてのコロナ的なことのなかで残るもの消えるものを年頭にあたり少し考えました。
 僕が思うコロナ的なものの中で象徴的だなと思うのは一言で言うと流動性です。東日本大震災からその流れはありましたが、今回のコロナでより顕著になりました。流動性、わかりやすく言うと、ひとところに立ち止まらないということでしょうか。テレワークなどはその典型です。我々が推進するオンラインイベントもそう。場所を流動化させた。場所が流動化するということは時間も流動化させます。そして絶対というものが失われていきました。最近イベントの直前になると決まって「いけなくなったので返金してほしい」という問い合わせがあります(当社は当社の事情によるイベントの中止・延期する場合を除いて返金は行っておりません)。コロナ前には絶対ない問い合わせでした。コロナ前にもチケットを購入した方が全員お越しになっていたわけではないのですが、この2年の払い戻しの日常化がこの「絶対」を失わせたのでしょう。このようにいろいろな絶対がこの2年で失われました。でもこの流動性は22年も加速していくと思います、
ベルガモのキャンプ番組「ここをキャンプ地にする!」より もうひとつ、「仲間内の密」を指摘したいと思います。最近当社制作の番組でも、中身というよりも単に声優数人が仲良さそうにしているコンテンツが受けているように思えます。確かに仲の悪い2人が番組をやるのも困りものですが、最近番組のゲスト1人呼ぶにしても「仲のいい人だれ?」という問いかけをすることが多くなりました。しかもこれはアニラジだけの現象だけかもしれませんが、タイトルに「がんばらない」とか「なんにもしたくありません」と言った、コンセプトそのものが複数のパーソナリティが家でゴロゴロしている感じを表現しようとしている番組が増えています。最近ドラマ化された「阿佐ヶ谷姉妹」もそれに該当するでしょうか。コロナによって大人数が一体となることが許されずにできた新しいコミュニティの形態が「仲間」。もちろん仲間は有史以来あるものですが、「仲間内が密」になっているように思えます。ボードゲームの流行もその一端と言えるのはないでしょうか。
 流動性と仲間内の密が、僕は2022年のキーワードになると思っています。流動性が高いから仲間内の密を聴きたい、見たいのかもしれません。フィジカルな面での密の復活はまだまだ時間がかかりそうです。そういう意味で仲間内の密を表現することはまだまだ需要がありそうです。
 最後に消えるものをひとつ書きたいと思います。それは、コロナによって生まれたコトモノに対するネガティブな感情です。当社ではこれまで番組のグッズとしてマスクを出すのをためらってきました。それはわざわざ番組グッズに苦しい病気を想起させるアイテムを出す必要はないと思ってきたからです。しかし21年の年末コミックマーケットに合わせマスクを何番組かで出すことにしました。それはマスクがTシャツと同じようなグッズのスタンダードなアイテムになったと思うからです。このように2年の月日を経て、コロナは病気であるとともに日常生活に深く溶け込み、「不便だな」「早く日常生活に戻りたい」という感情が消え、文化へと深化していくと思います。

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