L→R SHOUYA(Ba)、SYUTO(Pf)、YAFUMI(Vo)、SEIJI(Dr)、KAZUKI(Gu)

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【LAID BACK OCEAN インタビュー】
パンクロックから始まった俺が歌う
繊細な歌を俺自身が聴きたがっている

どこへ向かうのかは
引き続き自分自身に問うてる

YAFUMIさんの歌の背景にあるものって何ですか? メロディーメーカーとしてこの人にもっとも影響を受けたと思う人っていらっしゃいますか?

ちょうど今、振り返ることをやっている時で、自分が音楽を始めたところを紐解いているんですけど、誰かに憧れて始まったわけじゃないんですよ。同級生に誘われて“面白そうだな”っていうところから入っていったんで、強烈に影響を受けたヴォーカリストっていないんですよね。それこそTHE MAD CAPSULE MARKETSも好きだったし、初めて買ったCDは筋肉少女帯の「元祖高木ブー伝説」だったりするんで、そうやって考えると、僕の中の音楽は何かを励ましてくれたり、元気づけてくれたりするものじゃなくて、何か新しい視点を与えてくれるもの…“こんなものが世の中にあっていいの!?”っていうものだったので、そういうことをずっと追いかけてきた音楽人生なのかなと感じます。なので、“この人に強烈に…”というのはないんですよね。良くも悪くも。

もっと幼い頃、例えば幼稚園の時にお遊戯が大好きだったとか、そういう記憶はどうですか?

エレクトーン教室に通ってましたね。幼稚園から小学校の低学年まで通ってたんですけど、テレビが観たくて、教室へ行くのがめちゃくちゃ嫌でしたね(笑)。

それは童謡とかを弾いてたんですか?

うん。左手は和音で、右手はメロディーで。そう言えば、ヤマハ音楽教室に通ってましたよ。

それがに至る音楽活動の礎ですかね?

そうですね。確かにね。

LAID BACK OCEAN でも確認できるYAFUMIさんの歌メロってキャッチーでとても分かりやすいんですけど、独特の叙情性がある。それはコードにも関係しているのかとも思ってたんですけど、幼少期のエレクトーンが関係しているのかもしれませんね。

そうか…その観点から自分の音楽人生を紐解いたことはなかったな。でも、多少は影響しているでしょうね(笑)。

強引に結びつけるようですけど、もっとも自分らしいところが自然と出てきている可能性もありますね。

“自分らしさ”は追っかけてますね、やっぱり。それはJELLY→が終わって、LAID BACK OCEANを10年やってきたわけだけど、自分というものを掘り下げて、自分というものと向き合うツールとして音楽を使用しているというところに尽きると思う。そういう意味では、近年は自分の心象風景をより正確に表したくなってはいますよね。

その観点で言いますと、先ほど“以前と歌のメロディーは変わっていない”と申し上げましたが、言葉は変わってきた印象はありますよ。歌詞を見ていなくても耳に飛び込んでくるような、印象的な言葉は明らかに増えていると思います。

最新のものも追いかけてはいるんですよ。変わらないところを引きずりながらも最新のもの…例えばトラップとかヒップホップの流れの音楽だったり、K-POPはそこまで熱心に聴くことはないものの一応は聴いたり、メロディーへの言葉のハメ方は研究するし、そういう中でどういうふうに言葉を立たせるのかとか、音符に対する音のハメ方は工夫をしているところではあるので、そういう部分と自分の心象風景とのハメ方は確かにすごく考えていますね。

ヒップホップ的なところで言いますと、今回DISC2の10曲目に収録された「ダイバーシティ」の歌詞が顕著だと思いますが、韻を踏んでいる言葉は随所に見受けられますね。

そういうヒップホップに寄っていくような、リズムの中でどういうふうに言葉と意味を提案していくかというのは、ここ5年くらいはすごく考えていますね。

あと、メロディーへきっちり言葉がハマっているところは、J-ROCKやJ-POPの王道な感じはしますよ。

そこら辺のバランスはすごく考えてやっていますね。

すごく神経を使う作業じゃないですか?

嫌になる時もありますね(苦笑)。サウンドはどんどん最新になれるけど、言葉の乗せ方、表現の仕方はYAFUMIがYAFUMIであるというところに直結してくるから、そういうところのバランスはすごく考えてやってます。

それはYAFUMIさん自身が伝えたいことを余すところなく、きっちりと音楽に乗せていきたいという想いがどんどん強くなっているからではないかとも思うのですが。

やっぱりね、音楽の中では誠実にやろうとしちゃうんですよ。そこがすごく難しいところで。もともとパンクロックというすごく分かりやすい、何かに対するアンチテーゼの音楽…1970年代のイギリスの不況から生まれてきた音楽に影響を受けた日本人というか、そこからさらにいろいろなものに影響を受けた薄まり方でパンクを継承しているわけじゃないですか? だから、“政治家がダメだ”とか“大人に反抗しろ”みたいなことさえやっていれば何となく成立するようなところから、“じゃあ、その本質は何なんだ?”と2000年以降の日本で生きている奴らがロックというもので表現する…もっと言えばロックから離れたとしても“表現したいこと、表現しなければならないことは何だ?”となると、やっぱりそこに本質的な憂いとかも入れていきたくなるんですよね。歌詞って基本的にはキャッチコピーの連続だと思うから、分かりやすい二極化ってめちゃくちゃ効果的なんですよ。“政治家が悪い!“先生が悪い!”“大人が悪い!”というのが飛距離が一番出るんですよ。だけど、もうそれでは嫌なんです。そうすると、そこに対する誠実さを求めていくわけで。なかなか難しい闘いになるんですよね、歌詞って。

そもそもイギリスの初期パンクの“God Save the Queen”などはそのまま日本に持って来れないものですから、パンクの歌詞は本来難しいものかもしれませんね。

そうですね(笑)。話は少しぶれちゃうんですけど、ちょうどJELLY→を動かしていた時にコロナが起きて。本当はJELLY→を動かし終わってLAID BACK OCEANの10周年に入る予定だったですよ。今、宙ぶらりんのJELLY→がある中で…俺自身は宙ぶらりんだとは思ってないですけど、傍から見たら宙ぶらりんのJELLY→がある中では、“JELLY→で今のはっきりとしない政治とかに対して、何か反抗的な表現をしてくださいよ!”とかも言われるんですけど、俺が表現したいことはそういうことじゃないんですよね。そんなことはLAID BACK OCEANでも常にやっているんですよ、実は。“政治家はクソだ!”とか、そういうことを言ってないだけで。だから、そういうところが何なのかということもやりたいとは思うし、どこへ向かうのかは引き続き自分自身に問うてるところではあります。

OKMusic編集部

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