AKB、ももクロ…アイドルがいまでも
被災地に行く理由

その小島記者が大震災にて実際に「被災者の家族」となり苦悩し様々な葛藤を抱える中で、アイドルと大震災の本当の関係性を余すことなく記したのが新書【3.11とアイドル アイドルと被災地、ふたつの「現場」で目撃した1096日間の「現実」】。いままではメディアでもなかなか詳しくは報じられなかった、AKB48やももクロの被災地での活動。間近で見てきた小島記者だからこそ伝えられる、「アイドルによる復興」が記された貴重な一冊だ。
今回、この【3.11とアイドル】を発表した本当の意味、そしていまなお続くアイドルによる復興支援について話を聞いた。

―著書のキーワードとなるのが、AKBやももクロを中心とした「アイドルの復興支援」になります。4年目となる2014年、なかなかアイドル達の現地での復興支援は報じられません。
小島
事前告知すると被災地以外からのファンが集ってしまって復興支援の意味が無くなってしまうので、受け入れる自治体の担当者レベルにしか情報が出されないから報道されないんです。実は(取材日の)昨日も、ももクロが完全サプライズで女川町の地元ラジオ番組に出演したのですが、それをリアルタイムで聴いていた人だけが見に来るといった形でした。被災地に何度も足を運んでいるのですが、復旧作業が進む中で、圧倒的に娯楽が無いです。今回のももクロも現場では歌ったりLIVEをするわけではなく、ラジオ番組に公開で生出演しながら、写真を撮ったり、握手したりするだけなのですが、いるだけでその場がパーッと明るくなり、それはやはりアイドルだからこそできることなんです。ももクロも紅白に出てからはお年寄りでも…当然個人名まではわからないでしょうが「この子たち知っている」というリアクションがあるので、皆が知っているアイドルが来るということは老若男女、心の潤いにはなっていると思いますね。
―特にAKB、ももクロに関しては変わらずに被災地への訪問が続いています。
小島
AKBは自前のトラックで行って、そこでLIVEをやり、みな集まってくるという形なんですけど、いまだに続けて被災地を訪れているのは本当に立派だなと思います。普通できないですよね。今年の3.11でもAKBはグループで取り組みをしましたが、メンバーが現地に行って「元気をもらった」から、もう一回行ってお返しをしなければいけないと話すんです。大人の事情で言えば、この活動を続けるのは本当は大変な部分も多いでしょうけど、「風化させない」という意味でも続けていることは本当にすごいことだと思います。ももクロに関しては、5人しかいないので派手には出来ないですが、先ほど話した女川での活動は、新曲のPRで全国をそれぞれのメンバーが回っていて、発売日にどこに集まる?となった時に自然と女川に集まったんです。「被災地」「頑張ってください」ということは彼女たちは言わないんです。「お友達」だから、また戻ってきましたよ、という位の感覚なんです。
―東京に住む我々からすると、被災地の住民達は「アイドルが来る」ということをどう考えているのでしょうか?
小島
やっぱり、アイドルが来ると子供達が喜んで、それを見た大人も喜んで…と、みんなが喜べるというのは、アイドルだからなのかなと思います。実際にAKBがLIVEをやる場所は学校の運動場だったり体育館で、震災の当時は避難場所だったんですね。子どもたちが、そこに戻ってきて、無邪気に笑って楽しんでいる…本当は思い出したくない、来たくない場所なのかもしれないけど、そこにみんなで集まるということが出来るのはすごく素晴らしいことです。皆それぞれが嫌なことも悩みもあると思うんですが、LIVEを見ている何時間かは全部忘れることができるので、そういった「一つになれる力」はアイドルならではなのかなと思います。「夢と元気を与えている」というとすごくキレイ事に聞こえてしまうけど、本当に現場で見ているとアイドル達は夢も元気も与えています。
―そういった活動や現地での声が、今回の書籍を通じて広まると思います。
小島
3年経って、「一区切り」と思われてしまうのが怖くて、声を上げるのは今かなと思いました。AKB、ももクロ…ぼくが現場を見ていなかったから書かなかっただけで、他にも動いているアイドルの子たちもいるので、いましか無いと。現地では、「ももクロがここに来ました」と聖地巡礼的にファンが色々なところを訪れたりもしているようなので、アイドルファンが積極的に被災地でお金を遣ってくれるキッカケになってくれたりしたら嬉しいです。

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