【a crowd of rebellion
インタビュー】
全部乗せマシマシで、
今のリベリオンを詰め込んだ作品
ツインヴォーカルの宮田大作と小林亮輔の喉の手術を経て完成した4thアルバム『Zealot City』。a crowd of rebellionらしいスクリーモ要素はもちろん、ラップやエレクトロの要素など新境地も切り開いた特大ボリューム作に仕上がった。
動けない時期に俺らがやれることは
音楽しかない
昨年6月にミニアルバム『Black_24:』、続いて11月にEP『:12_White』を発表しましたが、この2作品の狙いから教えてもらえますか?
宮田
自分たちの中にあるダークな部分とキレイな部分を分かりやすく分けて出したら、どうなるかなと思って。今まではごっちゃにして出してましたからね。まずは僕らが得意な音楽を並べた『Black_24:』を出して、その後に『:12_White』を出すことで、“どちらも違いはないんだよ”ということを伝えたかったんです。楽曲で表裏一体感を魅せる狙いでした。
この2作から何を再認識したんですか?
宮田
全部、俺らだなと再確認しました。自分たちの中にある“光と闇”をふたつの作品でうまく表現できましたからね。
昨年、宮田さんと小林さんは喉の手術を行ないましたが、その後はいかがでしょうか?
小林
以前はポリープが邪魔している中で、無理やり歌っていたんです。今はきれいになって、新しい歌い方にもトライしているので、大人しい歌い方になったんじゃないかと。ただ、手術後に録った『:12_White』(2019年11月発表の配信ミニアルバム)は苦戦しましたね。でも、戸惑いながらも最善の方法を見つけたので、結果的に素晴しい作品になったと思います。正直言って、今も模索している部分はあるんですけどね。
宮田
自分は叫ぶ専用の喉になっていたけど、手術後はきれいな声が出るようになったんです。だから、今までの感覚で叫ぼうとすると歪まないんですよ。うまく叫べなかったので大変でした。“どうやったら前の叫びに近づくかな?”と思ったけど、それは無理なので、今の喉の状態で叫ぼうと考えをシフトしたんです。
丸山
その分、バリエーションは増えたんじゃないかな? レコーディング中に“新しいシャウトができた!”と言ってましたからね(笑)。
高井
今作でふたりはまた新しい歌い方にチャレンジしているから、つらかったと思うけど、その分前に進めてます。
近藤
今は安心感がありますね。俺らが思っている以上に大変だと思うけど、みんなで支えていけたらなと。
そして、今作はa crowd of rebellion(以下、リベリオン)らしいヘヴィな攻撃力、J-POPにも負けないメロディアスな曲調、また奇想天外な曲展開もあれば、新しいテイストも取り込んでいて、もはや“全部乗せ”みたいな作風ですね。
宮田
全部乗せですね(笑)。コロナで時間もありましたから。これまでは制作しながらライヴもやってたけど、制作だけになったことで、全部乗せマシマシで“これも入れよう、あれも入れよう”って。それは曲数にも表れていると思います。動けない時期に俺らがやれることは音楽しかないから。
今作を作る上で明確なビジョンはありました?
小林
世の中が暗くて、悪いニュースばかりで…誰かが誰かを貶めたり、何かを信じすぎて誰かにすがったりとか、いろんなものに対して狂信者が多い気がして。そう思う中で、“この曲数だと、もはや街だよね”って話が出たんです。これだけ狂っている曲が集まるなら“Zealot City(=狂信者な街)”でしょうって。今作はコンセプチュアルな作品ではないけど、歌詞の描写も個人と個人だったり、何かと何かが離れているイメージが多くて。
宮田
一曲一曲を“Zealot City”に住んでいる人間に例えると、その全員が狂信者として街に住んでるイメージです。“狂信的な街”というのは、要するに狂ってる人間が集まった街という意味なんですよ。人間は人間に生まれた時点で人間を信じるしかない。それ自体が宗教であるという。それともうひとつは、俺たちは俺たちの音楽に狂信的であるという。
なるほど。楽曲的には以前は一曲の中にいろんな要素をぶち込んでいましたが、今作は一曲一曲ベクトルが明確になったものが多いなと。
丸山
楽曲制作が上手になったんですかね。シンプルにしたい気持ちも年々強くなって。今までのごちゃごちゃしたサウンドも好きなので、それをいい具合に落とし込もうと。
宮田
“こういう曲を作ってほしい”と丸山さんにリクエストをして、その考えを汲み取って作ってもらったものもあります。例えば「無罪者」は最後にできた曲なんですけど、他の曲が並んだあとにリード曲みたいなものが欲しいと丸山さんにお願いしました。デモをもらった時も、もっとストレートでパンチがあるやつがいいと注文したりして(笑)。
MVにもなった曲ですが、今作の中でもすば抜けてキャッチーですね。
丸山
分かりやすさを意識しました。王道の流れを踏まえつつ飽きさせないように作りましたね。
小林
あと、「〔←REDO.〕」の前の「Interlude-(NOT FOUND)」に関しては結構言いました。
丸山
“狂信者の街に迷い込んでいく感じを後半に出してほしい”と言われて。だから、不安を煽るような雰囲気を心がけて。