【8bitBRAIN インタビュー】
さらにマニアックな方たちが
ハチブレにハマってくれるといい
1stの時の共同生活がなかったら
2ndはこうなっていない
さて、2ndシングル「Out of order」は3タイプが発売されていて、それぞれカップリングが異なりますので、その異なるカップリング曲についても触れておきましょう。まず、タイプA収録の「Love&Sick」。8bitBRAINの“8bit”を強調したようなサウンドですね。
菊地
たぶん全楽曲の中で一番ピコピコしていると思います。これも「Out of order」と同じで、こっちは曲は変わっていないんですけど、歌詞を全部新しくしたんですよ。その詞は私が担当させていただきました。8bitBRAINで一番8bit感がある曲だからゲーム感のある歌詞にしたいと思って。恋の病の歌なので、ただ可愛くやっても面白くないと思ったので、1stを出す時にメンバー全員で90日間の共同生活をする企画があったんですけど、その時にアンズとサリがすごくゲームをやってて、私はあんまりゲームをやらないので、ゲームのイメージは完全にこのふたりだったんですよ(笑)。だから、ふたりがずっとやってた『Dead by Daylight』というゲームを意識したワードが散りばめられています。
アンズ
“あっ!?”って思った(笑)。そのゲームは可愛らしいゲームでも何でもなく、殺人鬼とかが出てくるサバイバルホラーゲームなんですけど。
菊地
ゲームの中毒性や依存性と、恋愛の中毒性や依存性とを合わせてみて、どちらもそれしか見えなくなっちゃう人のことを書いてみました。ふたりがずっと言ってたんですもん。“あ〜、早くデドバしたい!”って(笑)。
アンズ
毎日やってたもんね? “あと一回だけやろう?”って言って。
サリ
やらないと眠れなかった。一回が40分間くらいあるんですけど(笑)。
菊地
きっと恋愛の電話やLINEも同じで、“あと、10分だけ”って言いながら1時間になったり。そういう感覚で書いてみました。
続いて、タイプBの「EatMeat」。今回のシングル収録曲の中でももっとも狂暴なサウンドですが、前作にも「NemieNemie」や「Cure the sore」が収録されていたように、8bitBRAINにはこうした歌詞の楽曲が必要なんですね。
Koyoka
そうです! これがハチブレという(笑)。“8bitBRAIN”というグループ名がそもそも“8ビットの脳みそ=単細胞”みたいな感じなので、「EatMeat」や「NemieNemie」は初期からある曲で、プロデューサーが食欲だったり睡眠欲だったりをと。
本能なんですか、これは?
Koyoka
そうです。本能の歌詞、歌、曲であって、“8bitBRAINはここから始まっている”という感じの曲ですね。
なるほど。こういうタイプがこのグループのデフォルトなんですね。サウンドが狂暴なので、悪魔でも称えているの内容なのかと思いきや、歌詞を見ると“肉食べたい!”ですからね(笑)。こういうギャップが、またいいところなんでしょう。
アンズ
振り付けも結構ふざけてるもんね? お肉焼いたり、しゃぶしゃぶみたいな感じで(笑)。
サリ
私が全曲の振り付けをやってるんですけど、面白い曲にはお客さんも面白くなりたいだろうから、“お肉”って言ってるし、アイドルでこんな振り付けをやる人はあんまりいないと思って。そんな振り付けあんまり可愛くないじゃないですか(笑)。でも、イントロはツーステップで、振り付けにもツーステが入っているから、みんなでツーステ踏んでます。
そうそう! ここまで言ってこなかったですけど、8bitBRAINの楽曲はどれもこれもダンサブルではありますよね。
Koyoka
はい。サリが振り付けてくれるんですけど、8bitBRAINの楽曲は音数が多いのに、その全部の音を取ろうとするんですよ。
Koyoka
“ここは音が余ってるから”って言って。“それは分かるけど、ここまで入れちゃうと…”いうところまで全部振りを入れているので、容赦がないんです(苦笑)。この曲ではそれが如何なく発揮されている感じはありますね。
分かりました。タイプCに収録された「Avenge」ですが、個人的にはこの楽曲が一番好きですね。
叙情的なサビメロもいいですし、デスヴォイスにハイトーンのヴォーカルが重なっていくところとか、聴いててゾクゾクしますよ。
菊地
一番大事な時に歌う曲は、今は「Avenge」が多いんですね。
アンズ
私が入る前は《shut shut shut out!》のところは小谷のデスヴォイスだけだったんですよ。なので、死にかけてて(笑)。
アンズ
全部デスヴォイスでやってたのを、私が入ってからハイトーンが加わり、新しくなったんです。
Koyoka
2層になったんだよね。寂しくなくなったね?
小谷
うん。嬉しい。それまではひとりぼっちでした(苦笑)。
3人体制の時はメロディーを歌うパートとデスヴォイスのパートに距離はあるように感じて、小谷さんは孤独感を抱いていたことあると、他のインタビュー記事で読みましたよ。
小谷
そうです、そうです。私以外の人はオートチューンを使ってて、“この会場は遅れて聴こえてくるから早めに歌わなきゃね”ってふたりで会話をしてるんですよ。でも、私にはそれがないから“あぁ、そうなんだ”みたいな。“大変だなぁ”って疎外感がすごかった(笑)。
その辺で「Avenge」はグループの進化が分かる楽曲と言うことができますね。確実にメンバーが融合していることが示されているという。
アンズ
1stの時の共同生活…悔しいんですけど、あの影響だよね?
アンズ
もう二度とやりたくないんですけど、あれがなかったら2ndはこうなっていないと思うくらい、メンバー間の…何て言うんだろう? メンバーの考えていることが手に取るように分かるようになったので。
菊地
言葉にするのは難しいよね。信頼ともちょっと違うし。
アンズ
“一個になった”という言葉しか見つからないんですけど、何かがあそこで一個になったんだよね。
Koyoka
それがあったからこそ、「UTA」って曲もそうだし、2nd自体もこういうかたちで出せたと思うよね。
まとまりがそれまで以上に出てきたということなんでしょうね。
菊地
共同生活でメンバー全員がお互いに対して気飾らなくなったんですよ。“今、こういうことを思ってんだろうな?”とか、それがマイナスなことだとしても、“じゃあ、こうしてあげよう”って気持ちが回るようになって、お互いに不安感がなくなりました。
アンズ
それぞれに尊敬ポイントがあることに気づいた感じ(笑)。
Koyoka
みんな我が強くて、わりと個でも成り立つような感じだったんですけど、共同生活では弱い部分や強い部分を曝け出すしかなくて。なので、“ここにはこの子がいてほしい”とか、“ここはあの子が一番輝く”とか、無意識にそれが分かるようになったのが一番大きいですね。ステージでもそうですし、歌にもそれが出ていると思います。
なるほど。今、奇しくもサリさんが“もうやりたくない”と公言できていること自体が共同生活の成果のひとつなのかもしれませんね。ネガティブなことも含めて、メンバー間なら本音を言い合えるということでしょうから。
アンズ
普通のアイドルだったら、“いろんなことがあったけど、あの経験があったから頑張れる!”みたいなことを言うのが正解だと思うんですけど…
菊地
でも、この中にひとりでも“みんなで足並み揃えて頑張ろう!”みたいな人がいたら、たぶんヤバかったと思います。
アンズ
この中に“つらいけど頑張ろう!”みたいな奴がいたら解散してますね(笑)。
菊地
みんなで“つらいね”って言ってたから(苦笑)。
サリ
マネージャーに“もし2ndでも90日間の共同生活をするなら私は脱退します”って言いましたからね(笑)。
取材:帆苅智之
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シングル「Out of order」2020年11月4日発売
IMPERIAL RECORDS
- 【Type A】(CD)
- TECI-750
- ¥1,091(税抜)
- 【Type B】(CD)
- TECI-751
- ¥1,091(税抜)
- 【Type C】(CD)
- TECI-752
- ¥1,091(税抜)
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『8bitBRAIN 5thDIVE -2ndANNIVERSARY- [NextORDER]』
エイトビットブレイン:2018年3月結成。19年10月に現体制となり、20年7月にシングル「Under the weather」でメジャーデビューを果たす5人組ロックアイドルグループ。ここ近年アイドルシーンで注目のメロコア、ハードコアサウンドの流れを汲みつつもダンサブルで派手なアプローチを仕掛け、刺激的で挑発的なヴォーカルが聴く者を惹きつける。大胆にかけられたケロールサウンドのエフェクトヴォーカルは無機質なようで、有機的な暴れっぷりを見せている。また、リリックは隠語を含めたり、ちょっと批評的なメッセージを取り入れた内容となっていることも特筆すべきところ。現在、都内ライヴを中心に活動中!8bitBRAIN オフィシャルHP
「Out of order」MV