【雨のパレード インタビュー】
ここが僕らの
スタート地点であり、区切り
雨のパレードが完成させた3人体制となって初のアルバム『BORDERLESS』。蔦谷好位置を共同プロデューサーに迎えた「Ahead Ahead」などの5曲や、先行配信したDos Monosとのコラボナンバー、最新のサウンドデザインを彼らの手で構築したアルバム曲と全方位な仕上がりだ。マインドも音もタイトルを体現する新作についてメンバー全員にインタビューを行なった。
より外に発信する力を持った言葉が
多くなった印象がある
ライヴごとに違う対象というか、いろんな場所でライヴをしてらして。どんどんタフなバンドになっていってる印象があります。
福永
ライヴが制作に直接影響したというよりは、蔦谷さんと一緒にやったことや、3人体制初のライヴだった恵比寿LIQUIDROOM(2019年4月24日開催)で「Ahead Ahead」をやった時の反応とかで、ライヴに対する楽しみ方とかとらえ方みたいなものは新しくなりましたね。
あのLIQUIDROOMでの反応がトリガーに感じられたんです。
アルバムは蔦谷さんと共同プロデュースの曲とそれ以外の曲で構成されていますね。
福永
もともと蔦谷さんサイドからの要望で“数曲一緒にできないか”とおっしゃっていただいてて。というのも、1曲で完結してしまうアーティストの方が多かったみたいで。今思えば僕らも数曲重ねないと分かり合えないというか、数曲重ねていく上でお互いのことをすごい理解し合えて、好みもより理解できていいものができていくっていう感覚はあったんです。アルバム通して全てっていうことではなかったので、この割合になったんですけど。
なるほど。冒頭からタイトルチューンですけど、今回は福永さんの言葉の素直さに驚きました。
山﨑
蔦谷さんとやっていく中でいろいろ刺激を受けたっていうのもあるでしょうし、いろんなところからの影響を受けてっていうのもあって、より外に発信する力を持った言葉が多くなった印象はありましたね。
大澤さんは今回のアルバムに臨む気持ちはいかがでしたか?
大澤
ベースも抜けてほんとに変化の時期だったので、何から始めるかってなった時に“プロデューサーさんを入れてみよう”ってことになって、蔦谷さんとやることになり…やっぱり蔦谷さんの存在もすごく大きくて。私たちだけじゃ出せない力を引き出してくれたみたいなところがすごくあるので。歌詞に関しても今までの福永じゃ書けなかったというか、横で見ていてもマインドが徐々に変わっていったと思っていて。「BORDERLESS」の歌詞で言うと、サビの《明るい未来へ》って今までの福永だと出てこない言葉なんじゃないかって思ったんです。ここの部分は最後まで結構みんなでやり取りしたんですけど、最終的にその選択ができたことに私はグッと来て。みんなにより伝えたい…そういう言葉を選んだんじゃないかって感じました。
他の曲にもありますけど、この曲はピアノリフが印象的ですね。
福永
そうですね。Aメロのピアノリフはいろいろ聴いてる中で、FUN.とかを観てて…今聴いたらFUN.ってめちゃくちゃQueenぽかったんだなって思ったんですよ。で、“Queenだったらこんな感じのピアノリフだよな”って、こういうかたちになりました。
「BORDERLESS」って雨パレとしては熱い内容だし、この曲が1曲目にあることでアルバム全体が自分ごととしてとらえられる気がしました。
福永
そうですね、確かに。「BORDERLESS」ができた時、絶対に1曲目がいいと思って。集大成的な曲だから最後じゃないかってディレクターから提案はあったんですけど、この「BORDERLESS」って曲で今まで蔦谷さんとやってきた曲と僕らだけで作った曲、荘子itと作った曲を全部つなげられるような気がして。なんか1曲目が一番しっくりくると思いましたね。
「Walk on」はすごく雨パレのイメージがある曲ですね。
福永
そうですね。今回、80’sポップっぽいのがあんまりないので、逆に際立ってこれがそう聴こえると思うんですけど。
2020年版「Tokyo」(2016年1月発表のシングル)みたいな。
福永
うん。なんかそうなんですよね。この曲に限らず、作り方を見直せて。これは僕の中では密かに「Tokyo」のリブートだったりして…でも、あれはあれで完成されてる曲なんですけど。実は楽曲提供で「Tokyo」みたいな曲を書いてほしいって言われたことがあって、その時に書いたサビの歌詞がほぼこの曲にきてるんです。半分皮肉を込めて書いた歌詞だったんですけど、今の自分に当てはまる感じがして、自分バージョンをこのタイミングで書けたら面白いと思って書きました。