【doa インタビュー】
シングルのつもりで作った曲の
集まりだから密度とテンションが高い
コーラスワークを聴くだけでも
楽しめるんじゃないかと思う
そして、doaと言えばコーラスワーク! 聴き込んでいくとコーラスやハーモニーにも新たな発見がありました。
徳永
コーラスにはいろんなフォーメーションがあるんですけど、ロックチューンよりもコーラストラックは多いかもしれないですね。何十チャンネルも重ねているものもありますし。そういう意味では、コーラスワークを聴いてもらうだけでも楽しめるんじゃないかと思います。
吉本
それだけ歌うのが難しいんですよ。徳永さんがリードヴォーカルの曲は下ハモをほとんど僕が担当してるんですけど、“えっ、こんなところに行くの!?”みたいな。
大田
ちょっと変わっているしね。ハモっている感覚がないっていうか。
吉本
レコーディングしている時は、あまりハモっている感じがしないですね。最初はちゃんとハモれているのかも分からなくて…意外と複雑なメロディーを歌ってたりするんですよ。たぶん僕がリードヴォーカルの時は徳永さんがへんてこりんな…(笑)。
徳永
下ハモだと変なエスニックの曲みたいなメロディーになるんですよ(笑)。重ねると三声になるんで、ちょうどいいんですけどね。
差し色みたいなものもいろいろ入ってますよね。
徳永
囁き系みたいなね。
大田
ああいうのはだいたい徳永くんがひとりで何十本も重ねてます。
徳永
ブースに入るとしばらくは出てこない(笑)。山下達郎さんやThe Beach Boysとかの多重録音によるコーラスが好きなので、とにかく重ねてみようと。
“ここだけちょっとコーラスを入れてみて”というようなリクエストもあります?
大田
ありますよ。例えば「野の花」の《ずっと》の追っ掛けコーラスは僕が入れてるんですけど、“大田さん、ここに何か入れて”って言われたんですよ。あと、“エンディングで何か叫んで”や“イントロで何かやって”とか言われたり。だから、リードヴォーカルじゃない人がイントロで叫んでたりします(笑)。
サウンド面に関してもうかがいたいのですが、以前に徳永さんは“音色の持つ物語性を大切にしている”とおっしゃっていましたよね。
徳永
イントロで景色を描くというか、“どこに連れて行けるか”みたいなものを作るのが好きなんですよ。だから、イントロだけを聴いてもらっても、それぞれに個性が出ていると思います。
アウトロの余韻も絶妙です。
徳永
やりすぎない長さが好きなので、ちょっと足りないくらいで終わる…みたいな(笑)。“歌い切らない”とか“弾き切らない”というのは、いつも意識していますね。例えば「心のリズム飛び散るバタフライ」って実は3番まであったんですけど、2番の間奏終わりのサビ半分で終わるんです。作ってる最中に切っちゃったんですよ。通して聴いた時、感情の起伏が止まったあたりで切ったほうがいい感じがしたので。
今作のリリースで3部作が揃ったわけですが、それらを“こんなふうに聴けばいいんじゃない?”というご提案があれば、ぜひ!
徳永
朝、昼、晩ですね。
吉本
なるほど。僕は…ちょっと時間を空けて聴いていただいたほうがいいかなと。
大田
これから冬になるので、バラードアルバムから聴いてもらうのがいいかなと思います。
取材:竹内美保